九州大学文学部同窓会
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文学部長挨拶

九州大学文学部の現在と未来

文学部長 久保 智之

 文学部同窓会会員の皆さま、いかがお過ごしでしょうか。文学部のこの一年と、今後のことについて述べます。

 さて、いよいよ、やっと移転します。今年(二〇一八年)八月に引っ越し作業が行なわれる予定です。その後、速やかに建物が解体され、キャンパスは更地になり、一部には大きな道路が走る予定です。少なくとも今年七月までは建物・人間とも存在しておりますので、見に来ていただくことは可能です。
 移転関連では、文学部同窓会が二〇一七年九月三十日(土)に開催されましたが、「九州大学文学部同窓会六十周年記念事業」の一環として、箱崎キャンパス講義棟での総会の後、各講座研究室を同窓生の皆さまに訪問していただく機会を設けました。また九州史学会が二〇一七年十二月九日(土)・十日(日)に開催されましたが、「九州大学箱崎キャンパスの百年―さよなら箱崎キャンパス―」と題したシンポジウムが行なわれました。

【「安全の碑」のことなど】
 二〇一七年十月、「安全の碑」が、文系諸学部の移転先である伊都キャンパス・イーストゾーンの教育研究棟正面に設置されました。また、毎年十月一日を九州大学の「安全の日」とすることとなりました。さらに「教育における安全の指針~野外活動編~」が作成されました。授業をはじめとする諸活動で、学生諸君の安全を確保するための指針です。これらは、昨年報告させていただいた、当時文学部一年生であった原口翔二朗君が亡くなった事件(二〇一六年九月六日)を反省し、同様なことを二度と繰り返さないようにする、全学を挙げての取り組みの一環です。

【学生諸君のこと】
 二〇一七年三月には、百五十名が学士課程を卒業し、二十六名が修士課程を修了しました。同九月には四名が学士課程を卒業し、五名が修士課程を修了しました。なお、二〇一七年中に博士(文学)の学位を授与されたのは、甲(課程博士)が六名、乙(論文博士)が一名でした。永年の研鑽に敬意を表します。
 二〇一七年四月には、百七十二名が学士課程に入学、三十八名が修士課程に入学、十六名が博士後期課程に入学しました。同十月には十名が修士課程(広人文学コース)に、二名が博士後期課程に入学しました。
 二〇一六年度の学府長賞優秀賞は、須藤龍真(りゅうしん)氏(インド哲学史)、岩波俊彦氏(朝鮮史学)、高場清子(たかば  きよこ)氏(英語学・英文学)の三名が、同大賞は、森  貴教(たかのり)氏(考古学)、矢野雅貴(まさたか)氏(言語学)の二名が受賞しました。森氏の博士論文は、人文学叢書第十三巻『石器の生産・消費からみた弥生社会』(九州大学出版会)として二〇一八年三月に出版されます。

【教員のこと】
 二〇一七年四月には、三名の教員が着任しました。横田理博(みちひろ)教授(倫理学)(電気通信大学より)、今井宏昌(ひろまさ)講師(西洋史学)、井口千雪(いのくち  ちゆき)講師(中国文学)の諸氏です。また、同九月には、アシュトン・ラザラス講師(広人文学)が着任しました(シカゴ大学より)。同十月には、小野容照(やすてる)准教授(朝鮮史学)が着任しました(京都大学より)。さらに、二〇一八年二月には、アントン・シュヴァイツァー教授(広人文学)(テュレーン大学より)、同三月には、ケイレブ・カーター講師(広人文学)(ジョンズ・ホプキンズ大学より)と國分航士(こくぶ  こうじ)講師(日本史学)(成蹊大学より)が着任予定です。このお三方のポストは、活性化制度で配置されたものです。同じく三月に、九州大学に二〇一七年度に開設された数理・データサイエンス教育研究センターの特定プロジェクト教員(所属は人文科学研究院)として、矢野雅貴(やの  まさたか)助教が着任予定です。
 外国人教師は、二〇一七年四月にマリーア・ビュットナー氏(独文学)とケリー・ベノム氏(英語学・英文学)が着任しました。
 助教は、二〇一六年四月に関幹雄氏(中国哲学史)、山下洋平氏(日本史学)が着任しました。
 そのほか、太田真理(しんり)講師(言語学)が、日本学術振興会・海外特別研究員として、二〇一七年二月末から約一年、ニューヨーク大学に留学中です。なお、例年四名程度いるサバティカル中の教員は、今年度はいません。

【第三期中期目標・中期計画のこと】
 「文学部・人文科学府(大学院)、人文科学研究院(教員組織)」では、教育・研究体制をますます外に向かって開かれたものとしていくことが目標です。
 文学部では、二〇一八年四月に、国際コースを開設します。定員十名で、一年次には英語インテンシブ・コースの受講が義務づけられます。二年次以降は、他の文学部の学生諸君と同じく、二十一の専門分野のいずれかに所属することとなりますが、Introduction to Japanese …といった、日本のことを英語で学ぶ講義が選択必修となります。そのほか、留学が強く推奨されるなど、日本のことを発信できる能力を身につけつつ、国際的に活躍する人材へと成長してくれることを目指しています。二〇一七年秋には、文学部の教員が手分けして、福岡県はもとより、九州の多くの高校を訪問し、国際コースの宣伝に努めました。その結果、AOⅡ入試(センター試験、英語による小論文、英語による個別面接)で十名が合格しました(二〇一八年二月)。
 また、文系四学部の間で、同じく二〇一八年四月に、副専攻プログラムを設けます。これは、主専攻=文学部、副専攻=経済学部のように、各学部に副専攻プログラムを設けて、幅広い視野を身につけた学生を養成します。四学部を横断するプログラム(「現代のための歴史」など)も設けます。九州大学や文学部のホームページにも概要が掲載されています。このプログラムの構築・運営のために、各学部一名の教員が配置されました(活性化制度による)。文学部には、近現代日本史学が専門の國分航士講師が着任しました。今後は、教育の連携ばかりではなく、部局を横断した研究も進めて行く予定です。
 人文科学府の広人文学コースは、英語で授業を行ない、世界的な視野で日本学を教育・研究するコースです(大学院のみ)。その拡充計画が認められたことで、教員が五名に増員しました(活性化制度による)。二十二の講座中で、教員数は最多となりました。また、広人文学コースには、二〇一七年十月に博士後期課程を設置しました。
 このほか、ノルウェーのオスロ大学との交流協定が締結されました。また、人文科学府とJICA(国際協力機構)との連携で、「日本を知るためのプログラム」を計画中です。
 シラバスの公開・英文化、英文ジャーナル(Journal of Asian Humanities at Kyushu University 略称JAH-Q)の発行(二〇一八年三月に第三号を刊行予定)も順調に進んでいます。
 Progress 100という学内の競争的資金を得て、二〇一七年度は、三つの国際シンポジウムを行ないました(予定含む)。五月=台湾大学において「人文学から見た東アジア」。二月=九州大学において「Cultural Circulation in Asia — Narrative, Human, and Visual Flows」。三月=東北師範大学(長春)において「満族錫伯族語言歴史文化国際研討会」。いずれも五十名程度の規模のものですが、九州大学のレピュテーションを高めるのに貢献できると思います。
 二〇一七年度には、研究に重点を置いた外部評価を受けました。各講座ごとの外部委員による評価に加え、研究院全体に関して、阿部公彦(まさひこ)氏(東京大学准教授)、頼住光子(よりずみ  みつこ)氏(東京大学教授)、Bruce L. Batten氏(桜美林大学教授)の三名の方々にお願いし、十二月二十六日に外部評価委員会を開催しました。外部評価を受けるのは、十二年ぶりでした。文学部のホームページには、人文科学研究院の理念として、「現代社会が直面する危機的な諸問題に真摯に取り組み、人文科学の観点からその解決への指針を探求し提示することに努める」とあるのですが、研究の面で、現代社会との関わりが弱いのではないか、という指摘や、学部・学府・研究院の構造が複雑で、外部から見て分かりにくい、という指摘、教員の負担が増大しているのではないか、という指摘などがありました。広人文学コースの教育・研究の水準が特に高いこと、アジアに近く東京から遠いことを活かすべき、といった指摘もありました。詳細な報告書が、近く作成される予定です。
 平成三〇年度概算要求は、「人文学国際教育研究拠点の整備」(教員二名の要求など)として、文部科学省は通過して、財務省まで行ったのですが、結局だめでした。再度挑戦します。

【外部との連携、社会貢献のこと】
 昨年も報告いたしましたが、朝日新聞との提携授業「ジャーナリズム論」や、朝日カルチャーセンター福岡での、文学部との提携講座も、順調に開講されています。また、人文科学研究院附属の言語運用総合研究センター(上山あゆみセンター長)は、二〇〇三年四月に坂本  勉センター長のもとに設置されて以来、二〇一八年四月で十五周年を迎えることとなり、記念誌を発刊する予定です。アウトリーチ活動の一環として、「くずし字教室」をはじめ、日本語教師、言語聴覚士、国語教師を対象としたセミナーを続けています。ホームページも御覧下さい。

【重要なこと】
 以下、箇条書き的に書くこと、お許し下さい。
 昨年のこの欄で、本学名誉教授の中野三敏先生(国語学・国文学)が、平成二十八年度文化勲章を受章なさったことを報告いたしましたが、二〇一七年三月四日(土)に、西鉄グランドホテルにて、国語学・国文学研究室主催による祝賀会が、盛大に催されました。中野先生の御受章は、文学部を力強く応援して下さっていると感じます。
 二〇一七年三月二十二日に、本学名誉教授の荒木見悟(あらき  けんご)先生(中国哲学史)が逝去なさいました(享年九十九歳)。御冥福をお祈りいたします。荒木先生は、同日付けで正四位に叙位されました。
 九州大学に永くいらしたロバート・キャンベル氏(国文学研究資料館長)が、二〇一七年四月から、九州大学の経営評議会のメンバー、またアドバイザリー・ボードのメンバーにもなってくれています。心強い味方を得ました。
 五年間、研究院長秘書と同窓会事務局を勤めていただいた板野嘉代子さんは、二〇一七年三月末で退職なさり、その後七ヶ月の空白期間を経て、十一月から平原侑奈(ひらはら  ゆきな)さんに後任を務めていただいています。文学部のわがまま連中が、お世話になります。
 現在の、研究院長(文学部長、人文科学府長)・久保智之(言語学)、副研究院長・佐伯弘次(こうじ)(日本史学)、同・清水和裕(イスラム文明史学)の体制は、二〇一七年度末で終わります。二〇一八年度からは、研究院長・佐伯弘次、副研究院長・清水和裕、同・上山あゆみ(言語学)となる予定です。佐伯教授と清水教授には、二年間執行部を支えていただきました。文学部の教員の皆さま、事務部の皆さま、学生諸君にも感謝します。従来の小講座制をほぼ維持しつつも、外に見える改革を、ある程度実行できたと思います。この場をお借りして(文字通りですみません)、深く感謝申し上げます。
 同窓生の皆さま、今後とも、九州大学文学部の御支援をお願い致します。皆さまの御健勝をお祈りしつつ筆を擱きます。

 (くぼ ともゆき 一九八一年卒業 言語学)

【九州大学文学部同窓会お問い合わせ先】

  • 九州大学文学部同窓会
  • 住所:〒819-0395 福岡市西区元岡744 九州大学文学部内 文学部同窓会事務局
  • (9月3日まで 〒812-8581 福岡市東区箱崎6-19-1)
  • E-MAIL:bundo@lit.kyushu-u.ac.jp
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