九州大学東洋史学研究室

東洋史学研究室とはIntroduction

カリキュラムCurriculum

授業

ここでは、東洋史学専門分野(学部)・東洋史学専修(大学院)で開講している授業の概要を説明しています。卒業・修了あるいは資格取得に必要な単位や履修方法などについては、入学年の学生便覧で確認してください。

学部

専門分野科目は、大きく東洋史学講義と東洋史学演習の二種類に分類されます。

東洋史学講義は、主として、担当教員自身の研究成果や最新の研究状況をもとに、それぞれ専門分野の講義が行われます。科目・回によっては、概説・入門的な内容の授業もあります。専任教員が近年開講した授業の主なトピックは、明清史、東アジア海域史などが中心です。
東洋史学演習は、演習(ゼミ)形式で、主として文献・史料講読を行う科目です。あらかじめ、指定された文献・史料を読み込み、必要な文献調査(辞書・工具書・関連史料など)を行った上で、授業に臨むことが求められます。科目によっては、レジュメの作成が要求される場合もあります。東洋史学研究に関する日本語・英語・中国語の研究論文・研究書も取り上げています。
また、学外から研究者を非常勤講師として委嘱して、授業を担当して頂いています。東洋史学という専門分野は、広大かつ長大な領域・地域・時代に拡がっているので、専任教員では教授できない分野がでてきます。学外の一線の研究者にこうした分野を教授して頂くことにより、学生には幅広い多角的な知見と視点の獲得してもらいたいと考えています。
近年招聘した講師と講義題目は下記の通りです(所属・職位は授業担当時のもの)。

  • 山根直生 福岡大学・教授 「中国唐宋時代史研究における地域史の視座と手法」
  • 米谷均 早稲田大学・講師 「東アジア海域交流史の諸問題」
  • 宇野伸浩 広島修道大学・教授 「モンゴル帝国史の諸問題」
  • 豊岡康史 信州大学・准教授 「18・19世紀清朝沿海域の社会・経済・政治」
  • 野上建紀 長崎大学・教授 「陶磁考古学」
  • 木村直樹 長崎大学・教授 「近世日本とアジア」
  • 舩田善之 広島大学・准教授 「モンゴル帝国における情報伝達」
  • 荒川正晴 大阪大学・教授 「ソグドの歴史と文化」
  • 鹿毛敏夫 名古屋学院大学・教授 「戦国期日本とアジア」
大学院

九州大学大学院人文科学府の教育は、授業科目及び学位論文の作成等に対する指導(研究指導)によって行われています。

東洋史学専修が開講している科目には、特論、研究、博士演習、論文指導があります。

特論では中国政治史特論、中国文化史特論、中国経済史特論、中国社会史特論が、研究では中国政治史研究、中国文化史研究、中国経済史研究、中国社会史研究、アジア内陸圏史研究、アジア海域圏史研究が、それぞれ開講されています。いずれも、文献・史料講読とその分析、内容に関する考察と議論及び研究発表を重視した授業です。
博士演習は、博士後期課程の大学院生向けに開講されている科目です。こちらも文献・史料講読とその分析、内容に関する考察と議論及び研究発表をを重視した授業です。
論文指導は、学位論文作成のための研究指導の一環として行われます。
学部同様に、学外から研究者を非常勤講師として委嘱して、授業を担当して頂いています。詳細は、上の学部の項目及びシラバスで確認してください。

シラバス

個々の授業科目の内容については、九州大学 文学部・大学院人文科学府・大学院人文科学研究院時間割・シラバスをご覧下さい。時間割のページで「科目指定」のプルダウンから「東洋史のみ」・「歴史拠点のみ」を選択すると、それぞれ該当科目のみが表示されます。

学位論文

ここでは、東洋史学専門分野(学部)・東洋史学専修(大学院)で学位論文を作成する基本的な心得を説明し、近年提出された論文題目を掲げています。作成・提出のスケジュールやその要件などについては、入学年の学生便覧で確認してください。

卒業論文(学部)

九州大学文学部では、卒業論文が修得しなければならない単位となっています。卒業論文は、学生にとって、文学部における学びと研鑽の集大成にも位置付けられるものです。学生は、自身の関心に基づき、学界における研究状況と史料状況を考慮に入れ、教員の助言を受けつつ、卒業論文のテーマを決定することになります。ぜひ卒業後の人生の糧となるように、労を惜しまず、作成に邁進してください。

なお、近年の東洋史学専門分野卒業生の卒業論文題目は下記の通りです。

  • 戦前日本の中国大陸における対宗教政策
  • 元末の方国珍の乱について
  • 春秋戦国時代の公子の地位について
  • 台湾から見た辛亥革命
  • 近代中国の朝貢と互市
  • 清代~近代の女性史
  • 火器から見た明代の日中関係
  • 趙孟頫の事績と後世の評価
  • 三国期公孫氏政権の性格について
  • 戦国時代三晋地域における都市の発達
  • 塩鉄論からみる前漢後期の社会
  • 元代の探馬赤制度について
  • 三国時代の公孫政権について
  • 漢代の選挙制度について
  • 六朝における軍府について
  • 天眷・皇統和議成立の背景から見た金宋関係史
  • 明代初期における官僚の動向と地域性について―江西出身者を対象として―
  • 明代朝貢秩序の考察―礼制面を中心として―
  • 明から見た壬申倭乱
  • 清代の繙訳科挙に関する考察
  • 秦漢豪族論―その土地支配を中心に―
  • ダルガチから見るモンゴルの地方統治について
  • 王羲之の官界における動向とその背景
  • タイ国における華人社会の変遷―文化大革命終了後を中心として―
  • ケシクと類似した制度についての考察
  • ポルトガル史料による交易の時代のアチェ・スマトラ島
  • 徽州商人の倫理観と生活―塩商の活動を中心に政権とのつながりを考察する―
修士論文(大学院修士課程)

九州大学大学院人文科学府修士課程では、必要な単位を修得し、必要な研究指導を受け、修士論文を提出してその審査・最終試験に合格することが修了の要件になっています。修士論文は、修士課程大学院生にとって、人文科学府修士課程における研究の集大成にも位置付けられるものです。学術論文として、高い評価を得られるよう、その作成に邁進してください。とくに博士後期課程進学を考えているのであれば、その内容が一本ないし複数の論文として学術雑誌に掲載される水準を超えることを目指し、さらに進学後の研究の展開と拡がりを見据えたテーマを選択することが肝要です。

なお、近年の東洋史学専修修士課程修了者の修士論文題目は下記の通りです。

  • 明代後期における伝統兵器の運用と伝播
  • 17世紀初頭の日本―カンボジア外交と華人朱印船海商
  • 明末福建・台湾の海商と海寇
  • 明清中国における日本刀に関する研究――生産から受容まで
  • 元末紹興路における地方政府と地域保全
  • 元未明初における中国文人と日本禅僧の交遊
  • 10~16世紀の東アジアにおける扇の流通と伝播
  • 17世紀前半、福建沿海の海商と海寇―漳州・泉州地域を中心として―
  • 古代東アジアにおける麈尾について―中国・朝鮮・日本の場合―
  • 契丹治下の有力漢人家系の生存戦略について―燕雲地域を中心として―
博士論文(大学院博士後期課程)

九州大学大学院人文科学府博士後期課程では、必要な単位を修得し、必要な研究指導を受け、博士学位請求論文を提出してその審査・最終試験に合格することが修了の要件になっています。博士論文は、博士後期課程大学院生にとって、自身のそれまでの研究の集大成にも位置付けられるものです。博士論文のテーマと水準は、その後の研究者としての評価とキャリアを大きく決定するものです。学界の注目を集めるような論文となるよう、モノグラフとしての出版を念頭に置き、その作成に邁進してください。

なお、近年の東洋史学専修博士後期課程修了者の博士論文題目は下記の通りです(課程博士のみ)。

  • 近代移行期における日本産人参の輸出と中国市場
  • 明末奉教士人の社会関係と天主教受容―徐光啓を中心に―
  • 6~7世紀の中国における国家構造と国家意識
  • 明清交替期の東アジア海域と華人海商―『華夷変態』を中心として―
  • 中国古代賵賻制度研究
  • 元代江南知識人の動向と実像
  • 清代における朝貢使節の相互交流と情報収集―朝鮮燕行使を中心としてみた―
  • 中国古代・中世における和蕃公主の降嫁をめぐって
  • 東晋南朝の国制に関する研究
  • 前漢支配体制における監察制度

九州大学大学院人文科学府の博士論文については、平成15年度以降の情報が、論文博士も含めて、九州大学 文学部・大学院人文科学 府・大学院人文科学研究院博士論文に掲載されています。