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教員紹介

今井 宏昌(IMAI Hiromasa)先生(准教授)

1)経歴
 東京大学大学院総合文化研究科博士課程(後期)単位取得退学。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員(DC2)、同(PD)をへて、現職。

2)専門分野
  物理的・肉体的な暴力の経験が、時代状況とのかかわりの中でどのように変容し、また逆にその当事者や社会をどのように規定していったのかという問題関心から、第一次世界大戦後ドイツにおけるパラミリタリ(準軍隊)組織・義勇軍とそのメンバーのバイオグラフィを、経験史の観点から分析している。またこれと並行し、第一次世界大戦期に福岡県福岡市と久留米市に設立されたドイツ兵俘虜収容所の実態を「下からのグローバル・ヒストリー」の観点から検討している。

3)主要業績
1.『暴力の経験史:第一次世界大戦後ドイツの義勇軍経験 1918〜1923』(法律文化社、2016年)

2.「ドイツ革命期における「武装せる市民」:ハレ住民軍を事例に」(『軍事史学』56巻4号、2021年)

3.「戦間期ドイツの「赤い伯爵」における義勇軍経験」(『歴史評論』843号、2020年)

4.「ヴァイマールと向き合う:戦後日本のドイツ研究における「教訓の共和国」」(『ドイツ研究』54号、2020年)

5.「ドイツ義勇軍経験とナチズム運動:ヴァイマル中期における「独立ナチ党」の結成と解体をめぐって」(『ゲシヒテ』11号、2018年)

6.『第一次世界大戦と民間人:「武器を持たない兵士」の出現と戦後社会への影響』(共著、錦正社、2022年)

7.ローレンツ・イェーガー『ハーケンクロイツの文化史:シュリーマンの「再発見」からナチ、そして現在まで』(共訳、青土社、2023年)

8.アンドレアス・ヴィルシング/ベルトルト・コーラー/ウルリヒ・ヴィルヘルム編『ナチズムは再来するのか?:民主主義をめぐるヴァイマル共和国の教訓』(共訳、慶應義塾大学出版会、2019年)

9.トーマス・キューネ/ベンヤミン・ツィーマン編『軍事史とは何か』(共訳、原書房、2017年)

10.ジェフリー・ハーフ『ナチのプロパガンダとアラブ世界』(共訳、岩波書店、2013年)

4) ひと言
 ドイツ現代史というと、ヒトラー、ナチズム、アウシュヴィッツといった単語を思い浮かべる人が多いかもしれません。私の研究は、そういったドイツ現代史の血塗られた部分とダイレクトに関係するものです。第一次世界大戦後のドイツ・ヨーロッパを舞台に、戦争、内戦、テロなどの物理的・肉体的な暴力の経験が、当時の時代状況とのかかわりの中でどのように変化し、また暴力をふるった人/ふるわれた人や彼らの生きる社会に対して、どのような影響を与えたのか――この点を、歴史学の立場から分析しています。
 過去の悲惨な出来事について学ぶことは、確かに辛い作業です。ですが、後世に生まれたわれわれが、これからの時代をどのように生きていくかを考えるうえで、とても重要なことです。過去やそこに生きた人びとと対話し、考え、言葉を紡いでいく。これはわれわれが常日頃から意識的/無意識的におこなっている営みですが、それを学問的な形でより確かなものとしていくことが、歴史学の真髄であり醍醐味であると思います。西洋史学研究室で、その一端を味わってみませんか?




九州大学大学院人文科学府
西洋史学研究室

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