九州大学哲学研究室
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授業情報


◆倉田先生

・哲学講義 社会存在論概説
社会存在論(social ontology)とは、社会的世界の構成要素(行為者、集団、社会的・制度的事実、社会種、慣習・規範・制度など)の本性とそれらのあいだの諸関係を明らかにしようとする形而上学の一分野である。 この講義では、社会存在論の基礎と最新の動向を初学者にも分かる仕方で解説する。 前期は、主にサールにおける「標準モデル」、社会的事実の基礎づけ、社会種の理論を論じる。 後期は、とりわけ「共同行為と集合的志向性」、「集団行為者と集団の責任」、「制度の存在論」を論じる。

・英米哲学演習 帰納論理
いわゆる「帰納の問題」は、ヒューム以来、哲学者たちを悩ませてきた難題として知られる。演習では、この難題によりよくアプローチするために、帰納論理(inductive logic)に関する入門的なテキストを精読する。

・英米哲学演習 社会存在論の諸問題
社会存在論の代表的トピックスに関する比較的短い英語論文を講読する。



◆大西先生

・哲学史講義 ドイツ観念論哲学
本講義では先立つ四年間をかけて、古代から中世を経て17世紀近世哲学まで辿り、昨年度後期はカントの『純粋理性批判』を詳細に検討した。 今年度は、そのカントを一つの契機として18世紀から19世紀前半に展開された、いわゆるドイツ観念論哲学について論ずる。 前期は、フィヒテとシェリングを中心に、ヘーゲル哲学の導入にまで進みたい。 哲学的テーマとしては「(「私」ならぬ)自我」、「自由」、「自然」、「自己意識」などが重要になるだろう。 後期はヘーゲルの哲学を検討する。若書きの主著『精神現象学』の筋を辿ったうえで、著作ごとにではなく、「存在」「論理」「歴史」などの重要概念に焦点を当てながら、改めて、近代の観点から先立つ哲学史を振り返る機会ともしたい。

・近現代哲学演習 R. デカルト『省察』精読
昨年度までを継承し、R. デカルトの主著『省察』を精読してゆく。

・近現代哲学演習 哲学論考を読む
この演習では、哲学(史)を学ぶうえで示唆に富む――一度は読んでおくに値する――複数の研究論文(いずれも本邦の研究者による邦語著作に収録されたもの)を共同で検討する。出席者それぞれの哲学的素養の涵養と関心の展開を促すことが目的である。



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