文学部 人文学科 人間科学コース
心理学 専門分野
専門分野科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年: 学部2年 学部3年 学部4年
対象学部等:
臨床心理学講義IV
Clinical Psychology IV
講義題目  心理療法における統合的なアプローチ、ならびにその視点から見た心理面接の基本
京都大学学生総合支援センター教授 杉原 保史
科目ナンバリングコード:
講義コード:
2016 後期
集中
箱崎 教室
J科目 (日本語, 日本語)
更新情報 : 2016/10/12 (01:52)
授業の概要 心理療法の入門書は、主要な学派の概要のバラバラで並列的な記述であるか、いずれか1つの学派についての体系的な記述であるか、そのいずれかであることが多い。そこでは入門者はいずれか1つの学派を選択し、もっぱら排他的にその学派を学んでいくことが暗黙の前提となっている。この講義は、この前提に挑戦するものである。受講学生が、異なる様々の学派間の隠れた共通性や両立可能性についての認識を深めること、ならびに、実践の中で複数の学派の知恵を調和的に活用できるための準備性を整えること、を目標とする。また、心理療法のパフォーミング・アート(技芸)としての側面について考察し、そうした視点から、心理療法に共通する基本的なスキルについて実習を通して体験的に学ぶ。

(Textbooks for beginners of psychotherapy usually describe each of major schools of psychoterapy separately, or else, describe only one school of psychotherapy exclusively. Anyway, one is usually tacitly expected to select one school of psychoterapy and study it exclusively. I want to challenge this presumption. The aim of this subject is to recognize common elements among every and all schools of psychoterapy, and to prepare to utilize strengths of each school of psychotherapy harmonically in the practice. Also, I am going to discuss about the aspect of psychothrapy as a performing art. And I will give you some experiential lessons on basic skills common for all psychotherpies. )
キーワード : 心理療法への統合的アプローチ、アートとしての心理療法、傾聴スキルの訓練
履修条件 : 基幹教育科目「心理学入門」を履修した学部2年生以上
履修に必要な知識・能力 : 臨床心理学や心理療法に対する関心が高く、心理学に関する一般的な知識(例えば、フロイトの名前と業績を知っているなど)があることが望ましい。
特記事項 集中講義:2017年2月14日(火)、15日(水)、16日(木)の3日間(予定)
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :  認定心理士
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
B_A-b [アプローチの理解]
学派によって構成されている心理療法の発展の性質について、またそれらを統合したアプローチについて理解する。
心理療法における統合的アプローチが扱う領域と課題を正確に説明できる 心理療法における統合的アプローチが扱う領域と課題を説明できる 心理療法における統合的アプローチが扱う領域と課題の基本的な用語の名称をっている 心理療法における統合的アプローチが扱う領域と課題の基本的な用語の名称を知らない
B_B1-d [専門的研究手法]
心理面接における傾聴のスキルの基礎を身につける
心理療法における統合的アプローチが扱う領域と課題を学ぶための具体的な方法論を自分なりのやり方で明確に提案することができる 心理療法における統合的アプローチが扱う領域と課題を学ぶための方法論について自分で調べることができる 心理療法における統合的アプローチが扱う領域と課題を学ぶための方法論の概要を理解できる 心理療法における統合的アプローチが扱う領域と課題を学ぶための方法論について理解できない
汎用的技能
対人コミュニケーションの言語的な側面と非言語的な側面について理解する
自分の意見の表明を,その根拠とともに良く構造化された論理的な文章として構成することができる 自分の意見の表明のために必要な情報を,構造化された論理的な文章として構成することができる 自分の意見の表明のために最低限必要な情報を文章化できる 自分の意見の表明のために必要な情報を文章化できない
態度・志向性
心理療法の諸学派の理論を上位の視点から批判的に見る態度を涵養する
指示されない時であっても,自発的な学修を十分に行うことができる 指示された事柄以上の学修を自発的に行なうことができる 指示された最低限の学修を行うことができる 指示された学修を行わない
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : とくになし。
参考書 : 杉原保史(2012) アートとしてのカウンセリング入門 創元社
杉原保史(2015) プロカウンセラーの共感の技術 創元社
杉原保史(2009) 統合的アプローチによる心理援助 金剛出版
Paul L. Wachtel (2011/2014) 心理療法家の言葉の技術 金剛出版
Paul L. Wachtel (1997/2002) 心理療法の統合を求めて 金剛出版
Julia Frank & Jerome Frank (1991/2007) 説得と治療 金剛出版
授業資料 : 資料は毎回授業の開始時に配布する。

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 統合的アプローチとは何か
2 学派とは何か
3 学派を超えて共通する治療要因 演習
4 基本的なスキルとしての傾聴の理解
5 傾聴の非言語的な側面 演習
6 カウンセラーの言葉:言い回しが伝えるメタメッセージ
7 カウンセラーの傾聴的態度の諸相
8 傾聴における内的なスキル:注意の制御 演習
9 循環的心理力動アプローチ:ポール・ワクテルの統合的心理療法
10 傾聴における要約の技術
11 カウンセラーの言葉の工夫:無罪証明的コメント 演習
12 カウンセラーの言葉の工夫:防衛の一時的支持 演習
13 ロールプレイで学ぶ傾聴のスキル1 演習
14 ロールプレイで学ぶ傾聴のスキル2 演習
15 ふり返り・質疑応答

成績評価
観点→
成績評価方法
B_A-b
[アプローチの理解]
B_B1-d
[専門的研究手法]

汎用的技能

態度・志向性
備考(欠格条件、割合等)
レポート
授業への貢献度
授業への貢献度

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 :
学習相談 学習相談 : 授業時間の合間に、適宜、応じます。

授業以外での学習に当たって : 別記参考書の購読を勧める。

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)