人文科学府 歴史空間専攻 広域文明史学 分野 西洋史学 専修 専修科目 (単位数 2) 選択必修科目 対象学年: 対象学部等: |
Early Modern European Society (SeminarT)
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科目ナンバリングコード: 講義コード: 2016 前期 毎週 金曜3限 箱崎 演習室 教室 E/J科目 (日本語, English) |
授業の概要 |
本演習は、戦間期イギリスにおいて出現した精神医学の知見に基づく子ども相談活動が、子どもを総体として、彼らを取り巻く環境を含めた包括的な理解を必要としていくにつれて、その家庭生活へと関心を深め、関与を強めていく様相を解明したStewart, John. ’I Thought You Would Want to Come and See His Home’: Child Guidance and Psychiatric Social Work in Inter-War Britain’, Jackson, Mark, ed., Health and the Modern Home, Routledge, 2015を講読する。 子どもの教育、発達についての相談事業の着手、クリニックなどの施設の開設は、大きな文脈では、国際的な精神衛生運動の展開に位置づけられる。第一次世界大戦後の国際協調の動きのなかで、一方ではアメリカの文化帝国主義的覇権、他方では移民統制などのナショナリズムの強化に科学的根拠を与えつつ、同時に精神衛生に関わる専門職集団への国家的後ろ盾において各国が協調した大きな動きのなかで生じたものだとされている(Thomson, Mathew., Mental Hygiene as an international movement, Weindling, Paul, ed., International health organisations and movements, 1918-1939. Cambridge UP, 1995)。 教育、発達、そしてまたそれについての「問題」への対応、方策は、ともするとどの時代、社会にも当てはまる客観的、標準的な、あるべきものとして存在すると考えられがちである。しかしながら、まさにそうした考え方そのものが、歴史的、社会的な要請と条件のもとで、醸成されてきた。社会的文脈から遊離した科学的知見がある、という考え方自体が、フィクションなのである。このような、教育や発達の問題のみならず、人間の生そのものの科学化のポリティクスへの視座は、分化、細分化が進行した専門領域内部に閉じた思考の危うさを再考する意味でも、今、非常に重要な意義をもつものといえる。 イギリスの子ども相談事業は、スチュワートによれば、精神医学者の主導のもと、アメリカの財団資金援助を受けつつ、心理学者、ソーシャル・ワーカー等の専門家の協力体制において、独立した施設(クリニック)と、専門職養成課程の設置などによって推進された。そこで行われた子ども相談の内容や形式、その組織体制、経営方針、相談員の養成課程、さらにこの事業、実践が拓いた子どもの生と家庭生活、親子関係のありようとその歴史的意味を考えてみたい。 なお、英語論文を読む前に、関連する日本語論文を読み、導入とする。 () | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
キーワード : 児童相談、精神衛生運動、精神医学、ソーシャル・ワーク、イギリス史 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
履修条件 : 履修に必要な知識・能力 : 英語論文講読に必要な英語力 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
特記事項 |
教職 : 資格 : | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
到達目標 |
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー 九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー 九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ 九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ 九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ 九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
授業方法 |
テキスト : Stewart, John. ’I Thought You Would Want to Come and See His Home’: Child Guidance and Psychiatric Social Work in Inter-War Britain’, Jackson, Mark, ed., Health and the Modern Home, Routledge, 2015 (配付する) 参考書 : 適宜紹介する。 授業資料 : 開始時に配付する。 授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
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成績評価 |
GPA評価
成績評価基準に関わる補足事項 : 観点に添った評価。 担当についてのレジュメ、議論への参加などによる評価。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
学習相談 |
学習相談 : 適宜メールでアポイントをとってください。 nonomura.toshiko.868@m.kyushu-u.ac.jp 授業以外での学習に当たって : 論文は、文脈を理解しなければ読むことはできない。担当以外の箇所も必ず読み、不明点、疑問点などを授業で確認すること。 合理的配慮について : 障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。 <相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階) (電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp) |