文学部 人文学科 哲学コース
倫理学 専門分野
専門分野科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
現代倫理思想演習 VI
Contemporary Ethical Thoughts (Seminar VI)
講義題目  生命倫理:安楽死、尊厳死の是非
横浜市立大学国際総合科学群 准教授 有馬 斉
科目ナンバリングコード: LET-HUM4186J
講義コード:
2018 前期
集中
伊都イーストゾーン 教室
J科目 (日本語, 日本語)
更新情報 : 2018/10/25 (13:00) 〔シラバス公開後に配布資料についての追記を行う可能性があります。〕
授業の概要 人工呼吸器、胃ろう、透析、臓器移植など、延命に役立つ医療技術の進展により、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)が低いと思われる状況でも長く生きることが可能となった。延命治療を中止(いわゆる尊厳死)したり、致死的な薬物を投与(いわゆる安楽死)したりすることで、病人を死なせたり殺したりすることが、常に倫理的に許されないことだとは必ずしも考えられていない状況が生まれている。いくつかの国や地域では現実に尊厳死や安楽死が合法化され始めている。
 本講義では安楽死・尊厳死の是非を中心とする終末期医療の倫理問題を取り上げる。もっとも基本的なレベルで問われるのは、「生きるに値する生命とは何か」、「生命の質を評価したり比較したりすることはできるか」、「自分の命を絶つことは不正か」、「人を殺したり死なせたりすることはなぜ不正か」など、生命の価値や人の命を奪うことの是非にかかわる問いである。
 功利主義、カント主義、リベラリズムなど、現代の主要な倫理学理論に基づいて、この問題を考察してきた研究者の議論を幅広く紹介し、検討することをとおして、倫理学の理論が実践的な課題に応用される可能性を探る。

( Introduction to bioethics)
キーワード : 終末期医療の倫理、安楽死、尊厳死、自殺幇助
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項 4月30日、5月1日、5月2日の三日間で行います。
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
B_A-a [人文学の視座の理解]
現代の終末期医療がもたらす倫理問題(とくに安楽死・尊厳死・自殺幇助の是非)を理解するとともに、倫理学の抽象的な理論を応用して具体的問題を検討する方法について学習する。
生命科学や医療技術の進歩がもたらす現代社会に特有の問題の内容、および問題を考察するための理論についてきわめてよく理解できている。 生命科学や医療技術の進歩がもたらす現代社会に特有の問題の内容、および問題を考察するための理論についてよく理解できている。 生命科学や医療技術の進歩がもたらす現代社会に特有の問題の内容、および問題を考察するための理論について、大まかに理解できている。 生命科学や医療技術の進歩がもたらす現代社会に特有の問題の内容、および問題を考察するための理論について、あまり理解できていない。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト :
参考書 :
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 イントロダクション:終末期医療の臨床で現実におきている倫理的な問題の内容を概説する。安楽死、尊厳死、自殺幇助といった言葉の用いられ方について紹介する。
2 死と幸福:功利主義者による安楽死正当化論について検討する。関係者の福利を守ることの良さに訴えて安楽死や尊厳死を正当化することができるか考察する。
3 自由主義と死の自己決定権:宗教的寛容、プライバシー権、インフォームド・コンセントの原則といった前提に基づく安楽死正当化論を紹介する。
4 医療費の高騰と高額治療の利用制限:お金がかかるから延命は許されないと考えることの妥当性を検討する。
5 社会的弱者への脅威:安楽死や尊厳死の合法化は、低所得者や高齢者、機能障害者など、周囲の人々に負担がかかりがちな人々を死へ追いやるのではないか、とする懸念について検討する。
6 命に内在する価値:人の存在そのもの、命そのものに大きな価値が内在しているため、人命破壊は許されない、と考えることの妥当性を検討する。

成績評価
観点→
成績評価方法
B_A-a
[人文学の視座の理解]
備考(欠格条件、割合等)
レポート 70%
授業への貢献度 30%

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 :
学習相談 学習相談 :

授業以外での学習に当たって : 講義の終わりにレポートの課題を出します。また、講義の内容を補う文献資料をお渡しする可能性があります。

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)