文学部 人文学科 文学コース
国語学・国文学 専門分野
専門分野科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年: 2年生 3年生 4年生
対象学部等:
国語学講義 II
Japanese Linguistics (Lecture II)
講義題目  史的連濁論
教授 高山 倫明
科目ナンバリングコード: LET-HUM2512J
講義コード:
2018 後期
毎週 木曜2限
伊都 E110 教室
J科目 (日本語, 日本語)
授業の概要  「世の中は澄むと濁るのちがいにて、刷毛に毛があり、禿に毛がなし」とか。「福に徳あり、河豚に毒あり」という続きもある。濁点の打ち方ひとつで変われば変わるもので、「長閑なる霞ぞ野辺のにほひなり」も「咽が鳴る粕味噌の屁の匂ひなり」と相成る(木曽街道続膝栗毛)。
 ところで、日本語におけるスムとニゴルの相違とは何なのだろうか。濁点の有無はどのような音の相違に対応しているのだろうか。
 連濁と呼ばれる現象がある。ある小型国語辞書は「二語が結合して一語となる時に、後の要素の最初の音が清音から濁音になること。例、「草」と「花」とが合して「くさばな」となる時の、「は」から「ば」への変化。」と説明し、ある専門書は「複合語において、後部要素の語頭子音が有声化する現象。」と記す。前者は一般向けの平明な説明、後者は専門用語を用いた定義といった趣だが、じつは後者の説明には難があり、前者が例示した「「は」から「ば」への変化」さえも十分に説明できていない。現代日本語における清音と濁音の対立は、たしかに基本的には頭子音の無声と有声の差(声帯振動を伴うか否か)に対応しているが、まったく平行的な関係にあるわけではなく、清音=無声音、濁音=有声音ではないからである。
 また、古代語〜中世語には、鼻音のあとで清音が濁音化する現象が観察される(古来「うむの下濁る」と呼ばれている)。フミ+テはフンデを経てフデ(筆)、ナニ+ソはナンゾを経てナゾ(謎)になり、鼻音韻尾字に後接する漢語複合サ変動詞は案ズル、感ズル、応ズル、生ズル、等々となった。しかし現代語では生産的ではなく、アナタ・ボクノウチはアンダ・ボクンヂとはならないし、レンジでチンじて、中間地点をターンじて、などとも言わない。
 この講義では、連濁現象を軸に、日本語におけるスムとニゴルの対立を、通時的観点から分析してみたいと思う。

(This course provides an outline of Japanese Historical Phonology.)
キーワード : 清濁 有声音 無声音 鼻音同化 前鼻音
履修条件 : 特になし
履修に必要な知識・能力 :
授業計画 テキスト : プリントを配布する。
参考書 :
授業資料 :

進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 はじめに(濁点の来歴と運用の歴史)
2 1.清・濁と無声・有声
3 2.共時規則と言語の合理性
4 3.連濁の諸条件の整理 3-1.音的条件
5 3.連濁の諸条件の整理 3-2.語構成
6 3.連濁の諸条件の整理 3-3.語種
7 4.連濁の音声学的蓋然性
8 4.連濁の音声学的蓋然性(承前)
9 5.連濁の史的変遷
10 5.連濁の史的変遷(承前)
11 6.連濁の起源(研究史1)
12 6.連濁の起源(研究史2)
13 7.濁音と頭音法則
14 総括
15 総括(承前)

授業以外での学習に当たって :
学習相談 : 木曜5時限目のオフィスアワーの他、可能なかぎり随時相談に応じる。メールでの問い合わせも可(アドレスは配布資料参照)。
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
B_B1-d [専門的研究手法]
専門分野に固有の問題設定や研究手法を正しく身に付けることができる。
日本語史研究の方法を広く深く理解している。 日本語史研究の方法を広く理解している。 日本語史研究の方法を概ね理解している。 日本語史研究の方法を十分に理解するに至らない。
B_B1-e [専門資料の分析]
専門分野で必要な史資料や文献を収集、分析して、その内容を自分の言葉で精確に表現できる。
先行研究をよく理解し、批判的に分析することができる。 先行研究を理解し、批判的に分析することができる。 先行研究に関する一定以上のの知識を持つ。 先行研究に関する知識に不足する。
B_B2-a [総合把握力]
知識を総合的かつ有機的に把握する能力を身に付ける。
講義内容を正しく理解し、批判的に自らの考えを展開することができる。 講義内容を正しく理解し、自らの考えを展開することができる。 講義内容を理解し、自らの考えも持つことができる。 講義内容を十分に理解するに至らない。
GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。
成績評価
観点→
成績評価方法
B_B1-d
[専門的研究手法]
B_B1-e
[専門資料の分析]
B_B2-a
[総合把握力]
備考(欠格条件、割合等)
期末試験 5回の欠席で受験資格を失う

成績評価基準に関わる補足事項 :
その他 その他 :

教職 : 教職(国語)
資格 :

更新日 : 2018/3/23 (19:13)