文学部 人文学科 文学コース
独文学 専門分野
専門分野科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
ドイツ文学講義 III
German Literature (Lecture III)
講義題目  トーマス・マン研究 ――九州大学所蔵のマン書簡をめぐって――
教授 小黒 康正
科目ナンバリングコード: LET-HUM2633J
講義コード: 18052108
2018 前期
毎週 火曜2限
伊都イーストゾーン 204 教室
J科目 (日本語, 日本語)
更新情報 : 2018/8/8 (06:25)
授業の概要  トーマス・マン(1875-1955)は、『トニオ・クレーガー』『ヴェニス死す』『魔の山』『ヨゼフとその兄弟たち』『ファウスト博士』などの文学作品で著名なドイツ文学を代表する作家です。26 歳の時に公にした長編小説『ブッデンブローク家の人びと』(1901)で、1929年にノーベル文学賞を受賞しただけに、20世紀の世界文学を代表する作家と言っても過言ではありません。
 マン文学は、膨大で、多岐に渡ります。例えて言いますと、すそ野が広く、実に険しい高山です。事実、マンは、ショーペンハウアー、ニーチェ、ヴァーグナー、ゲーテ、さらにはトルストイ、ドストエフスキー、シラー、フロイトなどから影響を受けました。マン文学は過去の文学や思想が多層的に交錯する磁場です。それだけに、深山幽谷にアプローチする入り口は少なくありません。
 そんな「登山口」の一つが、実は九州大学にあります。マンの書簡が、直筆の手紙を含め5通も九州大学付属図書館に貴重図書として所蔵されているのです。2017年6月、マンの書簡と高橋義孝元教授の研究ノートからなる寄贈が同教授のご遺族から九州大学にあり、寄贈の経緯やマン書簡公開記念式典について、2018年3月2日と11日に NHK で報道され、多くの方々の耳目を集めました。
 本講義では、マンの重要なエッセイを解説しながら、九州大学所蔵書簡の文学的かつ思想的背景を明らかにします。マンの著作は、文学作品のみならず、エッセイであれ、手紙であれ、日記であれ、膨大であり、難解です。とは言え、そこに踏み込んだ者をとりこにするまさに「魔の山」でもあります。本講義は、私たちの身近な研究資料を用いた「登山ガイド」になるのではないでしょうか。

(This lecture course focuses on selected letters and essays by Thomas Mann in order to provide an overview of the basic perspectives and concepts of modern German literature and thoughts.)
キーワード : トーマス・マン、書簡、エッセイ、九州大学、高橋義孝
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項 基本的に講義形式の授業です。但し、授業中に何度か書いてもらうレスポンスペーパーを通じて、授業が一方通行にならないように努めます。なお、この科目はEU研究ディプロマプログラム(EU-DPs)指定科目です。同プログラムについては、以下のサイト(http://eu.kyushu-u.ac.jp/indexjp.html)をご参照ください。
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 : 教職(ドイツ語)
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
B_A-a [人文学の視座の理解]
人文学の基礎知識を踏まえて、現代人文学の視座の特質を理解できる。
講義内容に関する問題を十全に説明できる。 講義内容に関する問題を充分に説明できる。 講義内容に関する問題を概ね説明できる。 講義内容に関する問題を説明できない。
B_B2-c [思考能力]
専門分野に固有の問題設定や研究手法を正しく身に付けることができる。
みずからの思索をみずからの言葉でかなりよく論述できる。 みずからの思索をみずからの言葉でよく論述できる。 みずからの思索をみずからの言葉で概ね論述できる。 みずからの思索をみずからの言葉で論述できない。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : テキスト(1)『トオマス・マン短篇集』、実吉捷郎訳、岩波文庫。(2)トーマス・マン『トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す』、高橋義孝訳、新潮文庫。
参考書 : 参考書(3)小黒康正『黙示録を夢みるとき トーマス・マンとアレゴリー』、鳥影社、2001年。(4)トーマス・マン『ドイツとドイツ人』、青木順三訳、岩波文庫。(5)『トーマス・マン全集 XI』、森川俊夫他訳、新潮社、1972年。(6)トーマス・マン『非政治的人間の考察 上中下』、前田敬作・山口知三訳、 筑摩叢書、1968-1971年。
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 導入、高橋義孝「地球の良心トーマス・マン」(1955)
2 『道化者』(1897
3 『墓地への道』(1900)
4 『神の剣』(1901)
5 『トニオ・クレーガー』(1903)
6 『預言者の家にて』(1904)
7 『ヴェニスに死す』(1912)1
8 『ヴェニスに死す』(1912)2
9 『非政治的人間の考察』(1918)1
10 『非政治的人間の考察』(1918)2
11 エルンスト・ベルトラム宛てマン書簡(1920)
12 『ドイツ共和国について』(1922)
13 平田次三郎宛てマン書簡(1949)
14 高橋義孝宛てマン書簡(1949、1951、1954)
15 予備日

成績評価
観点→
成績評価方法
B_A-a
[人文学の視座の理解]
B_B2-c
[思考能力]
備考(欠格条件、割合等)
小テスト
レポート

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 : 平常点50%+レポート50%(レポートの執筆要領ならびに採点基準を授業中に数回にわけて説明する)
学習相談 学習相談 : 本授業の終了後、ならびにオフィスアワー(火曜3限)にて相談に応じる。

授業以外での学習に当たって :

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)