文学部 人文学科 文学コース
独文学 専門分野
専門分野科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
ドイツ文学演習 V
German Literature (Seminar V)
講義題目  背教者の系譜(1)
教授 小黒 康正
科目ナンバリングコード: LET-HUM3636J
講義コード: 18052306
2018 前期
毎週 火曜4限
伊都 独文演 教室
J科目 (日本語, 日本語)
授業の概要  紀元後4世紀のローマ皇帝ユリアヌス(331/2-363、在位361-363)は、「背教者」として知られている人物である。文学と新プラトン主義に傾倒し、太陽神ヘリオスを崇拝するあまり、次第にローマ帝国の親キリスト教政策を放棄して「背教」の道を踏み出した哲人皇帝であった。『反キリスト教論』という著作を後世に残したユリアヌスは、ガリア平定後のペルシア遠征で戦傷死した際に、イエス・キリストのことを意識して「ガリラヤ人よ、お前の勝ちだ」と叫んだと言われている。この背教者をめぐっては、『黄金伝説』が示すように中世において否定的に評価されたものの、フランス啓蒙主義やドイツロマン派、とりわけフケー(1818)やアイヒェンドルフ(1853)などの再評価を経て、北欧の劇作家イプセンは歴史劇『皇帝とガリラヤ人』(1873)を,ロシアの象徴主義者メレシコフスキーは小説『背教者ユリアヌス 神々の死』(1894)を世に問うたのであった。

 昭和の作家である辻邦生は『背教者ユリアヌス』(1972)について以下のような自作解説を行っている。「たとえば私が『背教者ユリアヌス』を書こうと思ったのは、古代異教世界の崩壊期に、運命の偶然から、たまたま皇帝となった学問好きの青年が、時代の潮流にさからって、もう一度古代の叡知の支配する世界を実現しようと努める姿のなかに、現代の知識人の姿勢と、どこか似たものを感じたからである。いわば地中海世界の崩壊という鏡にうつしてみて、現代の複雑多様な歴史の転換の全貌を、包括的に、つかむことはできまいか、と考えたからである」と[辻邦生「歴史小説の地平」、『海辺の墓地から』(新潮社、1974年)所収]。

 キリスト教の禁欲的戒律を拒み、ギリシアの自由と美の復活を望んだローマ皇帝は、総じてキリスト教と異教、一神教と多神教、霊と肉、宗教と芸術などの二項対立の中で描かれることが多かった。本授業では、中世末期のヴォルムスを舞台とする芸術家小説としても読むことができるフケー『皇帝ユリアヌスと騎士たちの物語』を詳細に検討しながら、背教者の系譜を検討していく。

(Proseminar über Friedrich de la Motte Fouqués „Die Geschichten vom Kaiser Julianus und seinen Rittern“)
キーワード : ドイツ文学、フケー、背教者、ユリアヌス、フケー
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
授業計画 テキスト : コピーを配布する。
参考書 : Käte Philip „Julianus Apostata in der deutschen Literatur“, Leipzig 1929.
辻邦生『背教者ユリアヌス』(1972)
中西恭子『ユリアヌスの信仰世界 万華鏡のなかの哲人皇帝』(慶應義塾大学出版会、2016年)
漆谷育志『背教者の肖像 ローマ皇帝ユリアヌスをめぐる言説の探求』(ナカニシヤ出版、2017年)
授業資料 :

進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 導入 演習
2 演習 演習
3 演習 演習
4 演習 演習
5 演習 演習
6 演習 演習
7 演習 演習
8 演習 演習
9 演習 演習
10 演習 演習
11 演習 演習
12 演習 演習
13 演習 演習
14 試験
15 予備日

授業以外での学習に当たって :
学習相談 : 本授業の終了後、ならびにオフィスアワー(火曜3限)にて相談に応じる。
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
B_A-c [言葉の理解]
「言葉」に対する自覚的かつ反省的な関わりを通じて、人間存在への理解を深める。
対象作品をかなり精密に読解できる。 対象作品を精密に読解できる。 対象作品を概ね読解できる。 対象作品を充分に読みこなすことができていない。
B_B1-b [専門文献の解釈]
専門分野の基本文献を精確に解釈、分析することができる。
独文学研究に必要な研究手法をかなり秀逸に身につけている。 独文学研究に必要な研究手法を秀逸に身につけている。 独文学研究に必要な研究手法を概ね身につけている。 独文学研究に必要な研究手法を身につけていない。
GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。
成績評価
観点→
成績評価方法
B_A-c
[言葉の理解]
B_B1-b
[専門文献の解釈]
備考(欠格条件、割合等)
期末試験
授業への貢献度

成績評価基準に関わる補足事項 :
その他 その他 : 独文の専門生以外も履修可能です。なお、この科目はEU研究ディプロマプログラム(EU-DPs)指定科目です。同プログラムについて、詳しくは以下のサイト(http://eu.kyushu-u.ac.jp/indexjp.html)をご参照ください。

教職 :
資格 :

更新日 : 2018/5/13 (19:09)