人文科学府 人文基礎専攻 芸術学 分野
芸術学 専修
専修科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
東洋美術史特論 III
History of Oriental Fine Arts (Specialized Lecture III)
講義題目  宋元絵画史の諸問題―大徳寺伝来五百羅漢図の作品誌―
教授 井手 誠之輔
科目ナンバリングコード:
講義コード:
2018 前期
隔週 火曜5限・火曜6限
伊都 教員室 教室
J科目 (日本語, 日本語)
授業の概要 京都大徳寺に伝来してきた五百羅漢図は、1幅に5人の羅漢をあらわし、都合100幅で構成される壮大な作例として知られている。大徳寺が88幅を所有、アメリカのボストン美術館に10幅、フリーア美術館に2幅が分蔵されている。大徳寺本は、13世紀には故郷を離れて鎌倉時代の日本に将来され、長らく異国の地における羅漢図制作の規範とされてきた。近代になるとアメリカの東海岸で展覧会(1894年)が開催され、その後の東海岸における分蔵を契機として、欧米では中国を代表する宗教画として認知され、さまざまな東西比較の議論を惹起してきた。大徳寺本は、その誕生から今日に至るまで、さまざまな異なる時空のコンテクスト間を越境移動してきたが、その履歴を起点に展開してきた事象は、仏画制作と地域社会、外来美術の受容、美術の制度と古美術、東西美術の比較考察という今日的な美術史学の課題を網羅するだけでなく、仏教史や歴史学、宗教学、文化人類学などのさまざまな人文学の領域に対して、雄弁な視覚資料を提供している。本講義では、近年の大徳寺本に関する研究を紹介しながら、モノの社会生活や越境移動に注目する作品誌の観点から、大徳寺本の歴史的役割を検証し、一作品がローカルであると同時にグローバルな言説に対しても開かれた存在であることを明らかにする。

(The 500 Luohans, preserved for centuries at Daitokuji Monastery in Kyoto, is a renowned work that consists of 100 scrolls, each depicting five luohans (arhats). Currently Daitokuji possesses 88 of the scrolls, whereas 10 more are in the Museum of Fine Arts, Boston, and 2 in the Freer Gallery of Art in Washington D.C. These scrolls were noted early on as important works of Southern Song Buddhist painting. Since the epochal Nara National Museum exhibition Sacred Ningbo in the summer of 2009, when the entirety of the set preserved in Japan was put on display for the first time, research on the 500 Luohans has advanced at a rapid pace. It has once again become the focus of attention as a work with which the circumstances of local society and Buddhist worship in the Ningbo region in Southern Song Jiangnan can be understood.
This class explores the historical role of the Daitokuji 500 Luohans from the perspective of an art historical biography attentive to the social life of things and the consequences of transregional circulation. It aims to demonstrate the many ways in which a single artwork can be responsive to both local and global contingencies, and by doing so hopes to offer new humanistic approaches to the study of art objects.)
キーワード : 五百羅漢図、作品誌、フェノロサ、大徳寺、南宋 地域社会
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
授業計画 テキスト :
参考書 : ・井手誠之輔 『日本の宋元仏画』 日本の美術418号 至文堂 2000年2月

・奈良国立博物館 『聖地寧波―日本仏教1300年の源流〜すべてはここからやって来た〜』 2009年10月

・奈良国立博物館/東京文化財研究所『大徳寺伝来五百羅漢図 銘文調査報告書』2011年3月奈良国立博物館/東京文化財研究所『大徳寺伝来五百羅漢図』思文閣出版 2014年5月
授業資料 : 別途配布する

進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 4/11 オリエンテーション 美術史学の現在と作品誌
2 4/18  大徳寺伝来五百羅漢図の概要と研究
3 4/25  故郷での誕生
4 5/2   故郷での誕生
5 5/16 故郷での誕生
6 5/23  故郷での誕生
7 5/30  日本への渡海
8 6/6   日本への渡海
9 6/13 唐絵としての規範
10 6/20 唐絵としての規範
11 6/27 宝物から美術へ
12 7/4 宝物から美術へ
13 7/11 戦後の美術史学
14 7/25   最終講義 まとめ

授業以外での学習に当たって : 授業中に配布する資料や講義で利用した画像について、別途の条件によって受講者の方々に開示します。皆さんの美術史講義の理解のために画像の利用は不可欠の要件となります。規則を遵守して学習に活用されてください。
学習相談 : オフィスアワーで対応する
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
MP_A-c [研究史と方法論の体系的理解]
史資料・文献・作品の分析と解釈、および実地調査などに基づいて、世界における文化・歴史・社会の多様性と共通性を理解し説明できる。
宋元仏画の品質や形状の違いを的確に把握し、仏画以外の作例にも広く通じている 宋元仏画の品質や形状の違いを把握し、仏画以外の作例にも関心が深い 宋元仏画の品質や形状の違いがあることを知っていて、仏画以外の作例をある程度知っている 宋元仏画の品質や形状の違いが理解できていないし、世俗画にも関心がない
MP_B1-a [一次資料の読解]
視覚資料としての絵画を正しく分析することができる。
宋元仏画の図像的かつ様式的特色や制作背景について卓越した理解をえている 宋元仏画の図像的かつ様式的特色や制作背景について理解している 宋元仏画の図像的かつ様式的特色や制作背景について概ね理解している 宋元仏画の図像的かつ様式的特色や制作背景についてある程度の理解が認められる
DP_B2-a [総合把握力]
モノの社会生活、越境移動という観点や作品誌の手法について自覚的に考える。
宗教画像の機能の違いを正確にとらえている。 宗教画像のもつ機能について深い認識を示している 宗教画像の機能の違いについて区別することができる 宗教画像の機能がよくわかっていない
GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。
成績評価
観点→
成績評価方法
MP_A-c
[研究史と方法論の体系的理解]
MP_B1-a
[一次資料の読解]
DP_B2-a
[総合把握力]
備考(欠格条件、割合等)
期末試験
出席 出席しないと回答できない問題を課すことにしている。

成績評価基準に関わる補足事項 : 出席50% 試験50%
その他 その他 : 国際シンポジウム「徹底討論:大徳寺五百羅漢図の作品誌」に参加すること。

教職 :
資格 :

更新日 : 2018/10/27 (09:20)