人文科学府 言語・文学専攻 日本・東洋文学 分野 国語学・国文学 専修 専修科目 (単位数 2) 選択科目 対象学年: 対象学部等: |
History of Japanese Language (Specialized Lecture II)
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科目ナンバリングコード: 講義コード: 2018 後期 毎週 火曜2限 伊都イーストゾーン 教員室 教室 J科目 (日本語, 日本語) |
授業の概要 |
「世の中は澄むと濁るのちがいにて、刷毛に毛があり、禿に毛がなし」とか。「福に徳あり、河豚に毒あり」という続きもある。濁点の打ち方ひとつで変われば変わるもので、「長閑なる霞ぞ野辺のにほひなり」も「咽が鳴る粕味噌の屁の匂ひなり」と相成る(木曽街道続膝栗毛)。 ところで、日本語におけるスムとニゴルの相違とは何なのだろうか。濁点の有無はどのような音の相違に対応しているのだろうか。 連濁と呼ばれる現象がある。ある小型国語辞書は「二語が結合して一語となる時に、後の要素の最初の音が清音から濁音になること。例、「草」と「花」とが合して「くさばな」となる時の、「は」から「ば」への変化。」と説明し、ある専門書は「複合語において、後部要素の語頭子音が有声化する現象。」と記す。前者は一般向けの平明な説明、後者は専門用語を用いた定義といった趣だが、じつは後者の説明には難があり、前者が例示した「「は」から「ば」への変化」さえも十分に説明できていない。現代日本語における清音と濁音の対立は、たしかに基本的には頭子音の無声と有声の差(声帯振動を伴うか否か)に対応しているが、まったく平行的な関係にあるわけではなく、清音=無声音、濁音=有声音ではないからである。 また、古代語〜中世語には、鼻音のあとで清音が濁音化する現象が観察される(古来「うむの下濁る」と呼ばれている)。フミ+テはフンデを経てフデ(筆)、ナニ+ソはナンゾを経てナゾ(謎)になり、鼻音韻尾字に後接する漢語複合サ変動詞は案ズル、感ズル、応ズル、生ズル、等々となった。しかし現代語では生産的ではなく、アナタ・ボクノウチはアンダ・ボクンヂとはならないし、レンジでチンじて、中間地点をターンじて、などとも言わない。 この講義では、連濁現象を軸に、日本語におけるスムとニゴルの対立を、通時的観点から分析してみたいと思う。 (This course provides an outline of Japanese Historical Phonology.) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
キーワード : 清濁 有声音 無声音 鼻音同化 前鼻音 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
履修条件 : 特になし 履修に必要な知識・能力 : | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
特記事項 |
教職 : 教職(国語) 資格 : | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
到達目標 |
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー 九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー 九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ 九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ 九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ 九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
授業方法 |
テキスト : プリントを配布する。 参考書 : 授業資料 : 授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
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成績評価 |
GPA評価
成績評価基準に関わる補足事項 : | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
学習相談 |
学習相談 : 木曜5時限目のオフィスアワーの他、可能なかぎり随時相談に応じる。メールでの問い合わせも可(アドレスは配布資料参照)。 授業以外での学習に当たって : 合理的配慮について : 障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。 <相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階) (電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp) |