人文科学府 言語・文学専攻 西洋文学 分野
独文学 専修
専修科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
ドイツ近代文学研究史特論 III
German Modern Literature (Specialized Lecture III)
講義題目  背教者ユリアヌス
教授 小黒 康正
科目ナンバリングコード:
講義コード:
2018 前期
毎週 火曜2限
伊都 204 教室
J科目 (日本語, 日本語)
授業の概要 紀元後4世紀のローマ皇帝ユリアヌス(331/2-363、在位361-363)は、「背教者」として知られている人物である。文学と新プラトン主義に傾倒し、太陽神ヘリオスを崇拝するあまり、次第にローマ帝国の親キリスト教政策を放棄して「背教」の道を踏み出した哲人皇帝であった。『反キリスト教論』という著作を後世に残したユリアヌスは、ガリア平定後のペルシア遠征で戦傷死した際に、イエス・キリストのことを意識して「ガリラヤ人よ、お前の勝ちだ」と叫んだと言われている。この背教者をめぐっては、『黄金伝説』のように中世において否定的に評価されたものの、ドイツロマン派のフケー(1818)やアイヒェンドルフ(1853)の再評価を経て、北欧の劇作家イプセンは歴史劇『皇帝とガリラヤ人』(1873)を,ロシアの象徴主義者メレシコフスキーは小説『背教者ユリアヌス 神々の死』(1894)を世に問うたのであった。
昭和の作家である辻邦生は『背教者ユリアヌス』(1972)について以下のような自作解説を行っている。「たとえば私が『背教者ユリアヌス』を書こうと思ったのは、古代異教世界の崩壊期に、運命の偶然から、たまたま皇帝となった学問好きの青年が、時代の潮流にさからって、もう一度古代の叡知の支配する世界を実現しようと努める姿のなかに、現代の知識人の姿勢と、どこか似たものを感じたからである。いわば地中海世界の崩壊という鏡にうつしてみて、現代の複雑多様な歴史の転換の全貌を、包括的に、つかむことはできまいか、と考えたからである」と[辻邦生「歴史小説の地平」、『海辺の墓地から』(新潮社、1974年)所収]。
キリスト教の禁欲的戒律を拒み、ギリシアの自由と美の復活を望んだローマ皇帝の描き方に着目しながら、本授業ではフケー『皇帝ユリアヌスとその勇者たちの物語』を精読しながら、内容を詳細に検討していく。フケーの作品は、中世末期のヴォルムスを舞台とする芸術家小説としても読むことができよう。

(This lecture course focuses on selected letters and essays by Thomas Mann in order to provide an overview of the basic perspectives and concepts of modern German literature and thoughts.)
キーワード : 背教者ユリアヌス、フケー、イプセン、メレシコフスキー、辻邦生
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
授業計画 テキスト : テキスト(1)『トオマス・マン短篇集』、実吉捷郎訳、岩波文庫。(2)トーマス・マン『トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す』、高橋義孝訳、新潮文庫。
参考書 : 参考書(3)小黒康正『黙示録を夢みるとき トーマス・マンとアレゴリー』、鳥影社、2001年。(4)トーマス・マン『ドイツとドイツ人』、青木順三訳、岩波文庫。(5)『トーマス・マン全集 XI』、森川俊夫他訳、新潮社、1972年。(6)トーマス・マン『非政治的人間の考察 上中下』、前田敬作・山口知三訳、 筑摩叢書、1968-1971年。
授業資料 :

進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 導入、高橋義孝「地球の良心トーマス・マン」(1955)
2 『道化者』(1897
3 『墓地への道』(1900)
4 『神の剣』(1901)
5 『トニオ・クレーガー』(1903)
6 『預言者の家にて』(1904)
7 『ヴェニスに死す』(1912)1
8 『ヴェニスに死す』(1912)2
9 『非政治的人間の考察』(1918)1
10 『非政治的人間の考察』(1918)2
11 エルンスト・ベルトラム宛てマン書簡(1920)
12 『ドイツ共和国について』(1922)
13 平田次三郎宛てマン書簡(1949)
14 高橋義孝宛てマン書簡(1949、1951、1954)
15 予備日

授業以外での学習に当たって :
学習相談 : 本授業の終了後、ならびにオフィスアワー(火曜3限)にて相談に応じる。
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
ML_A-b [先行研究の読解]
人文学の基礎知識を踏まえて、現代人文学の視座の特質を理解できる。
講義内容に関する問題を十全に説明できる。 講義内容に関する問題を充分に説明できる。 講義内容に関する問題を概ね説明できる。 講義内容に関する問題を説明できない。
ML_B2-a [総合把握力]
専門分野に固有の問題設定や研究手法を正しく身に付けることができる。
みずからの思索をみずからの言葉でかなりよく論述できる。 みずからの思索をみずからの言葉でよく論述できる。 みずからの思索をみずからの言葉で概ね論述できる。 みずからの思索をみずからの言葉で論述できない。
GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。
成績評価
観点→
成績評価方法
ML_A-b
[先行研究の読解]
ML_B2-a
[総合把握力]
備考(欠格条件、割合等)
小テスト
レポート

成績評価基準に関わる補足事項 : 平常点50%+レポート50%(レポートの執筆要領ならびに採点基準を授業中に数回にわけて説明する)
その他 その他 : 基本的に講義形式の授業です。但し、授業中に何度か書いてもらうレスポンスペーパーを通じて、授業が一方通行にならないように努めます。なお、この科目はEU研究ディプロマプログラム(EU-DPs)指定科目です。同プログラムについて、詳しくは以下のサイト(http://eu.kyushu-u.ac.jp/indexjp.html)をご参照ください。

教職 :
資格 :

更新日 : 2018/5/13 (19:11)