人文科学府 言語・文学専攻 西洋文学 分野
独文学 専修
専修科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
ドイツ近代文学研究 III
German Modern Literature (Seminar III)
講義題目  背教者の系譜(1)
教授 小黒 康正
科目ナンバリングコード:
講義コード:
2018 前期
毎週 金曜4限
伊都イーストゾーン 独文演 教室
J科目 (日本語, 日本語)
更新情報 : 2018/5/14 (15:22)
授業の概要  紀元後4世紀のローマ皇帝ユリアヌス(331/2-363、在位361-363)は、「背教者」として知られている人物である。文学と新プラトン主義に傾倒し、太陽神ヘリオスを崇拝するあまり、次第にローマ帝国の親キリスト教政策を放棄して「背教」の道を踏み出した哲人皇帝であった。『反キリスト教論』という著作を後世に残したユリアヌスは、ガリア平定後のペルシア遠征で戦傷死した際に、イエス・キリストのことを意識して「ガリラヤ人よ、お前の勝ちだ」と叫んだと言われている。この背教者をめぐっては、『黄金伝説』のように中世において否定的に評価されたものの、ドイツロマン派のフケー(1818)やアイヒェンドルフ(1853)の再評価を経て、北欧の劇作家イプセンは歴史劇『皇帝とガリラヤ人』(1873)を,ロシアの象徴主義者メレシコフスキーは小説『背教者ユリアヌス 神々の死』(1894)を世に問うたのであった。
 昭和の作家である辻邦生は『背教者ユリアヌス』(1972)について以下のような自作解説を行っている。「たとえば私が『背教者ユリアヌス』を書こうと思ったのは、古代異教世界の崩壊期に、運命の偶然から、たまたま皇帝となった学問好きの青年が、時代の潮流にさからって、もう一度古代の叡知の支配する世界を実現しようと努める姿のなかに、現代の知識人の姿勢と、どこか似たものを感じたからである。いわば地中海世界の崩壊という鏡にうつしてみて、現代の複雑多様な歴史の転換の全貌を、包括的に、つかむことはできまいか、と考えたからである」と[辻邦生「歴史小説の地平」、『海辺の墓地から』(新潮社、1974年)所収]。
キリスト教の禁欲的戒律を拒み、ギリシアの自由と美の復活を望んだローマ皇帝の描き方に着目しながら、本授業ではフケー『皇帝ユリアヌスとその勇者たちの物語』を精読しながら、内容を詳細に検討していく。フケーの作品は、中世末期のヴォルムスを舞台とする芸術家小説としても読むことができよう。

(Proseminar über Friedrich de la Motte Fouqués "Die Geschichten vom Kaiser Julianus und seinen Rittern")
キーワード : ドイツ文学、フケー、背教者、ユリアヌス、フケー
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
ML_A-c [研究史と方法論の体系的理解]
専門分野に固有の問題設定や研究手法を正しく身につける。
当該分野における研究史と方法論の体系的説明がかなり優れている。 当該分野における研究史と方法論の体系的説明が優れている。 当該分野における研究史と方法論の体系的説明ができる。 当該分野における研究史と方法論の体系的説明ができない。
ML_B2-b [理論的思考力]
専門分野に固有の実証的な方法と理論的な思考力を身につける。
当該分野における実証的な方法と理論的な思考力がかなり優れている。 当該分野における実証的な方法と理論的な思考力が優れている。 当該分野における実証的な方法と理論的な思考力をもつ。 当該分野における実証的な方法と理論的な思考力をもたない。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : プリントを配布する。
参考書 : 授業中に指示する。
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 (1)全般的な教育目標:ドイツ文学に関する知見を深める。(2)個別の学習目標:ドイツ語テクストを正確に読む力を高めながら、文学研究の基本を学ぶ。 演習

成績評価
観点→
成績評価方法
ML_A-c
[研究史と方法論の体系的理解]
ML_B2-b
[理論的思考力]
備考(欠格条件、割合等)
期末試験
授業への貢献度

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 :
学習相談 学習相談 : 本授業の終了後、ならびにオフィスアワー(火曜3限)にて相談に応じる。

授業以外での学習に当たって :

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)