文学部 人文学科 歴史学コース
朝鮮史学 専門分野
専門分野科目 (単位数 1)
選択科目
対象学年: 2年生 3年生 4年生
対象学部等:
朝鮮歴史文化論講義 IA
Korean Culture (Lecture I)A
講義題目  東アジア冷戦下の朝鮮−日本関係をめぐる諸問題  ―8・15以後の在日朝鮮人と朝鮮半島・日本社会
福岡教育大学 教育学部 教授 小林 知子
科目ナンバリングコード: LET-HUM2373J
講義コード:
2024 春クォータ
毎週 水曜3限
伊都イーストゾーン E110 教室
M/J科目 (日本語, 韓国語)
更新情報 : 2024/4/5 (13:45)
授業の概要  東アジア 〜とりわけ朝鮮半島は、現代世界の抱える諸矛盾が集約的に示されている地域といっても過言ではありません。2018年に開催された久しぶりの南北首脳会談、そして初の米朝首脳会談は、緊張の極みにあった朝鮮半島情勢を大きく転換し、朝鮮戦争終結をも展望させるものとなりました。しかし、その後の状況は一進一退し、最近もふたたび緊張が高まっているのが現実です。加えて、日本と韓国・北朝鮮(DPRK)との関係も、とりわけ歴史認識をめぐり、今なお深刻な課題が山積しています。とはいえ、K-POP人気や旅行者の増加は、着実に、日韓間の民間交流の裾野を広げてきました。
 朝鮮半島の緊張緩和、そして日韓・日朝関係の改善は、東アジアの平和構築に直結する重要な課題です。そもそも、朝鮮(南北総称)はなぜ分断され、今日に至るのでしょうか。第二次大戦後、日本は朝鮮との関係をどのように再構築してきたのでしょうか。東アジア冷戦下で、植民地支配をめぐる問題はどのように議論され、また、民衆被害の実態は、どのように追究されてきたのでしょうか。
 この科目では、このような問題を検証しながら、今日の朝鮮半島情勢や日韓関係・日朝関係をめぐる膠着した諸状況を、歴史的に捉える視座を養うことをめざします。同時に、8・15以後の在日朝鮮人(総称)の、朝鮮半島・日本社会との関係をたどりながら、築き上げられていく国民国家の壁に対して「多様化」せざるをえないアイデンティティや、国境線内には収まりきらないトランスナショナルな生活実態、家族関係についても考えます。

*授業に関連する資料などはmoodle上に提示していきます。Zoomのリンク先、オンライン授業時等の課題提出先もここに示します。
履修を考えている人は、moodleでこの授業をコース登録するとともに、定期的にmoodleの更新をチェックするようにしてください。

(This course provides an in-depth examination of the history of Korea-Japan relations after WW2. Themes of focus include the history of the Koreans in Japan under the Cold War.)
キーワード : 東アジア冷戦 朝鮮分断 朝鮮戦争 在日朝鮮人 韓国社会 朝鮮学校 歴史和解 日韓関係 日韓国交正常化 日朝関係 
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項 何回かオンライン授業(含 Zoom等でのリアルタイム双方向形式)を併用します。
対面授業でもオンライン授業でもフレキシブルに対応できる人のみ受講してください(対面・オンラインの予定は初回授業時等に説明します)。
*初回(4/10)は対面授業で行い、第2回(4/17)はオンライン(Zoom形式)で試行してみる予定です。
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業 https://moodle.s.kyushu-u.ac.jp/user/index.php?id=57914
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
U_B-2 [専門分野の知識と理解]
現代の朝鮮半島情勢や韓国・朝鮮社会、日韓/日朝関係、在日朝鮮人等についての理解を、地域の現実にそくして歴史的文脈のなかに捉えて考察する視座を養う
現在の朝鮮半島情勢等を秀でて総合的に理解するとともに、それを歴史的文脈のなかに捉えて考察する視座を十分に養えた 現在の朝鮮半島情勢等を総合的に理解するとともに、それを歴史的文脈のなかに捉えて考察する視座を養えた 現在の朝鮮半島情勢等をある程度理解するとともに、それを歴史的文脈のなかに捉えて考察する視座を一定程度養えた 現在の朝鮮半島情勢等の理解が不十分であり、それを歴史的文脈のなかに捉えて考察する視座を養えたとはいえない
U_A-1 [主体的な学び]
朝鮮現代史・在日朝鮮人史に関わる問題関心を深め、自らが設定したテーマについて、歴史的文脈をふまえ、創造的・批判的に吟味・検討することができる
朝鮮現代史に関する問題について深められた視座や認識を基礎に、具体的なテーマについて秀でて詳細に議論を展開することができた 朝鮮現代史に関する問題について深められた視座や認識を基礎に、具体的なテーマについて十分に議論を展開することができた 朝鮮現代史に関する問題についてある程度は深められた視座や認識を基礎に、具体的なテーマについて議論を展開することができた 朝鮮現代史に関する問題についての視座や認識が深められたとは言いがたく、具体的なテーマについての考察も不十分である
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義 講義中心の予定ですが、受講生の人数と関心によっては、講義と演習をくみあわせた内容に組み替える可能性があります。映像資料(韓国語の場合は字幕あり)を多用します。
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : 特になし
参考書 : 参考書は講義のなかで紹介していきますが、さしあたり、導入書や総論的な文献として
・石坂浩一、福島みのり編著『現代韓国を知るための61章』〔第3版〕明石書店、2024年
・石坂浩一編『北朝鮮を知るための55章』〔第2版〕、明石書店、2019年
・徐仲錫『韓国現代史60年』明石書店、2008年〔韓国民主化運動記念事業会企画〕
・金聖甫、奇光舒、李信K『写真と絵で見る北朝鮮現代史』コモンズ、2010年〔韓国歴史問題研究所企画〕
・ブルース・カミングス『現代朝鮮の歴史』明石書店、2003年
・上原一慶、桐山昇、高橋孝助、林哲『東アジア近現代史』〔新版〕有斐閣、2015年
・水野直樹、文京洙『在日朝鮮人』岩波新書、2015年
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 はじめに(授業の概要の説明、概観:現在の朝鮮半島と日本、「在日朝鮮人」という呼称について)

I.日本敗戦・朝鮮解放から朝鮮戦争・サンフランシスコ講和へ
参考資料の読解・視聴など
2 独立運動・「親日派」の系譜と「朝鮮人民共和国」 参考資料の読解・視聴など
3 朝鮮の独立問題の展開と済州4・3事件 参考資料の読解・視聴など
4 解放直後の在日朝鮮人@ 朝鮮学校の設立 参考資料の読解・視聴など
5 解放直後の在日朝鮮人A 朝鮮学校の強制閉鎖 参考資料の読解・視聴など
6 朝鮮戦争の展開 参考資料の読解・視聴など
7 朝鮮戦争と日本社会 小括とディスカッション

II. 朝鮮分断の固定化と日本の戦後処理
疑問点・論点の整理
8 日韓会談と「過去清算」の課題  参考資料の読解・視聴など
9 韓国民主化運動の展開 参考資料の視聴・視聴など
10 日韓条約体制の成立と日朝関係 参考資料の読解・視聴など
11 在日朝鮮人と朝鮮半島・日本社会 小括とディスカッション

III. 米ソ冷戦体制の終結と東アジアにおける信頼醸成の課題
疑問点・論点の整理
12 南北対話の歴史と現在  参考資料の読解・視聴など
13 日本の「過去清算」をめぐる諸問題 参考資料の読解・視聴など
14 在日朝鮮人のあゆみから問いなおす朝鮮分断・日本社会の現在

おわりに
参考資料の読解・視聴など
15  総括とディスカッション  疑問点・論点の整理

成績評価
観点→
成績評価方法
U_B-2
[専門分野の知識と理解]
U_A-1
[主体的な学び]
備考(欠格条件、割合等)
レポート 70%
授業への貢献度 30%

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 : *「授業への貢献度」は、主に、講義時のリアクションペーパーの記載内容で判断します。
学習相談 学習相談 : 授業前後の時間帯など。メールやZoomでの相談にも応じます。

授業以外での学習に当たって :

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)