文学部 人文学科 歴史学コース
西洋史学 専門分野
専門分野科目 (単位数 2)
選択必修科目
対象学年:
対象学部等:
ヨーロッパ史学演習 XI
European History (Seminar XI)
講義題目  第一次世界大戦における「敵性外国人」I
准教授 今井 宏昌
科目ナンバリングコード: LET-HUM2447J
講義コード:
2024 前期
毎週 月曜3限
伊都イーストゾーン 西洋史研 教室
M/J科目 (日本語, German)
更新情報 : 2024/4/10 (14:09)
授業の概要  20世紀前半に勃発した二つの世界大戦は、世界中の人びとを巻き込む形で展開された、文字通りの「世界戦争」であった。そこでは「総力戦」の名のもと、女性や子どもを含む民間人や植民地の住民、さらには捕虜となった敵国人までもが動員され、戦時体制に組み込まれることになる。ただ、敵国人が安全保障上の「脅威」とみなされたのは言うまでもなく、彼ら/彼女らは参戦各国で「敵性外国人(Enemy Aliens/Feindliche Ausländer)」として扱われ、差別や迫害の対象となった。
 近年の現代史研究では、この「敵性外国人」とその扱いに注目することで、世界大戦の時代における安全保障と人道の相克を明らかにし、世界大戦の「世界性」を問い直す作業が盛んになってきている。本演習では、そのような傾向を代表する大著、アルント・バウアーケンパー『第一次・第二次世界大戦における安全保障と人道:例外状態における敵国民間人の扱い』(2巻組、2021年)の、第1巻(第一次世界大戦編)をテキストとして採用する。
 演習中は⽂法の確認のほか、歴史的な背景や⽂脈、歴史⽤語や専⾨⽤語などを適宜解説する。

(In this seminar, students will continue to develop their knowledge and reading skills in history. Students need to interpret an essay and documents written in German on the "'Enemy aliens' in World War I" for their presentations.)
キーワード :
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項 出席は演習への参加を通じて確認する。
西洋史学研究室外からの参加者は、履修に際し必ず事前に相談すること。
連絡先:imai*lit.kyushu-u.ac.jp(*は@)

この科目はEU研究ディプロマプログラム(EU-DPs)開講科目に該当する。同プログラムについて、詳しくは以下のサイトを参照のこと。http://eu.kyushu-u.ac.jp/indexjp.html
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 : 教職(社会)(地理歴史)
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
U_A-1 [主体的な学び]
深い専門的知識と豊かな教養を背景とし、自ら問題を見出し、創造的・批判的に吟味・検討することができる。
深い専門的知識と豊かな教養を背景とし、自ら問題を見出し、創造的・批判的に吟味・検討することができる。 深い専門的知識と豊かな教養を背景とし、自ら問題を見出し、創造的・批判的に吟味・検討することがある程度できる。 深い専門的知識と豊かな教養を背景とし、自ら問題を見出す。 深い専門的知識と豊かな教養を背景とし、自ら問題を見出せない。
U_B-3b [歴史学コース固有の課題]
先行研究を批判的に読む中で自らの問題関心を鋭敏にし、史・資料を解読し史跡を調査することにより、自らの視角から、ある特定の地域と時代の社会像を復原できる。
先行研究を批判的に読む中で自らの問題関心を鋭敏にし、史・資料を解読し史跡を調査することにより、自らの視角から、ある特定の地域と時代の社会像を復原できる。 先行研究を批判的に読む中で自らの問題関心を鋭敏にし、史・資料を解読し史跡を調査することにより、自らの視角から、ある特定の地域と時代の社会像をある程度復原できる。 先行研究を批判的に読む中で自らの問題関心を鋭敏にし、史・資料を解読し史跡を調査することができる。 先行研究を批判的に読む中で自らの問題関心を鋭敏にし、史・資料を解読し史跡を調査することができない。
U_C-1-1 [文献分析力]
それぞれの専門分野の基本文献を正確に解釈、分析することができる。
専門分野の基本文献を精確に解釈、分析することができる。 専門分野の基本文献を解釈、分析することがある程度できる。 専門分野の基本文献を邦訳することができる。 専門分野の基本文献を邦訳することができない。
U_C-1-4 [外国語運用能力]
外国語の運用能力を高め、自らの考えを表現できる。また、自らが所属する専門分野が扱わない外国語を学び、言語の多様なあり方を説明できる。
外国語の運用能力を高め、自らの考えを表現できる。また、自らが所属する専門分野が扱わない外国語を学び、言語の多様なあり方を説明できる。 外国語の運用能力を高め、自らの考えを表現できる。また、自らが所属する専門分野が扱わない外国語を学び、言語の多様なあり方をある程度説明できる。 外国語の運用能力を高め、自らの考えを表現できる。 外国語の運用能力を高め、自らの考えを表現できない。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : Arnd Bauerkämper, Sicherheit und Humanität im Ersten und Zweiten Weltkrieg. Der Umgang mit zivilen Feindstaatenangehörigen im Ausnahmezustand, Band 1: Erster Weltkrieg, Berlin 2021.
参考書 : モードリス・エクスタインズ(金利光訳)『春の祭典:第一次世界大戦とモダン・エイジの誕生』(新版、みすず書房、2009年)
ローベルト・ゲルヴァルト(小原淳訳)『敗北者たち:第一次世界大戦はなぜ終わり損ねたのか 1917-1923』(みすず書房、2019年)
マイケル・ハワード(馬場優訳)『第一次世界大戦』(法政大学出版局、2014年)
ジャン=ジャック・ベッケール/ゲルト・クルマイヒ(剣持久木/西山暁義訳)『仏独共同通史 第一次世界大戦』(上下巻、岩波書店、2012年)
フォルカー・ベルクハーン(鍋谷郁太郎訳)『第一次世界大戦 1914-1918』(東海大学出版部、2014年)
ユージン・ローガン(白須英子訳)『オスマン帝国の崩壊:中東における第一次世界大戦』(白水社、2017年)
荒木映子『第一次世界大戦とモダニズム:数の衝撃(ショック)』(世界思想社、2008年)
飯倉章『第一次世界大戦と日本参戦:揺らぐ日英同盟と日独の攻防』(吉川弘文館、2023年)
伊香俊哉『近代日本と戦争違法化体制:第一次世界大戦から日中戦争へ』(吉川弘文館、2002年)
池田嘉郎編『第一次世界大戦と帝国の遺産』(山川出版社、2014年)
伊藤定良『第一次世界大戦への道とドイツ帝国』(有志舎、2023年)
大津留厚『捕虜が働くとき:第一次世界大戦・総力戦の狭間で』(人文書院、2013年)
大津留厚『さまよえるハプスブルク:捕虜たちが見た帝国の崩壊』(岩波書店、2021年)
大津留厚『青野原俘虜収容所の世界:第一次世界大戦とオーストリア捕虜兵』(山川出版社、2007年)
小野塚知二編『第一次世界大戦開戦原因の再検討:国際分業と民衆心理』(岩波書店、2014年)
木村靖二『第一次世界大戦』(筑摩書房、2014年)
久保昭博『表象の傷:第一次世界大戦からみるフランス文学史』(人文書院、2011年)
河本真理『葛藤する形態:第一次世界大戦と美術』(人文書院、2011年)
小関隆『アイルランド革命 1913-23:第一次世界大戦と二つの国家の誕生』(岩波書店、2018年)
小関隆『徴兵制と良心的兵役拒否:イギリスの第一次世界大戦経験』(人文書院、2010年)
小林啓治『総力戦とデモクラシー:第一次世界大戦・シベリア干渉戦争』(吉川弘文館、2008年)
中野耕太郎『戦争のるつぼ:第一次世界大戦とアメリカニズム』(人文書院、2013年)
長與進『チェコスロヴァキア軍団と日本 1918-1920』(教育評論社、2023年)
鍋谷郁太郎編『第一次世界大戦と民間人:「武器を持たない兵士」の出現と戦後社会への影響』(錦正社、2022年)
奈良岡聰智『「八月の砲声」を聞いた日本人:第一次世界大戦と植村尚清「ドイツ幽閉記」 』(千倉書房、2013年)
野村真理『隣人が敵国人になる日:第一次世界大戦と東中欧の諸民族』(人文書院、2013年)
西川正雄『社会主義インターナショナルの群像 1914-1923』(岩波書店、2007年)
西川正雄『第一次世界大戦と社会主義者たち』(岩波書店、2013年)
馬場優『オーストリア=ハンガリーとバルカン戦争:第一次世界大戦への道』(法政大学出版局、2006年)
林忠行『チェコスロヴァキア軍団:ある義勇軍をめぐる世界史』(岩波書店、2021年)
林田敏子『戦う女、戦えない女:第一次世界大戦期のジェンダーとセクシュアリティ』(人文書院、2013年)
早瀬晋三『マンダラ国家から国民国家へ:東南アジア史のなかの第一次世界大戦』(人文書院、2012年)
藤原辰史『カブラの冬:第一次世界大戦期ドイツの飢饉と民衆』(人文書院、2011年)
諸橋英一『第一次世界大戦と日本の総力戦政策』(慶應義塾大学出版会、2021年)
山室信一『複合戦争と総力戦の断層:日本にとっての第一次世界大戦』(人文書院、2011年)
山室信一/岡田暁生/小関隆/藤原辰史編『現代の起点 第一次世界大戦』(全4巻、岩波書店、2014年)
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 テキストに関する説明 演習
2 テキストの読解 演習
3 テキストに関する討論 演習

成績評価
観点→
成績評価方法
U_A-1
[主体的な学び]
U_B-3b
[歴史学コース固有の課題]
U_C-1-1
[文献分析力]
U_C-1-4
[外国語運用能力]
備考(欠格条件、割合等)
プレゼンテーション 60%ほど。
授業への貢献度 40%ほど。
出席 5回以上(クォーターの場合は3回以上)の欠席は除籍とする。

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 : やむを得ない事情で欠席する場合、メール等で教員まで連絡すること。
学習相談 学習相談 : オフィスアワーのほか、必要であれば個別に面談(その際、事前に連絡すること)。

授業以外での学習に当たって : 毎週テキストの指定部分を事前に通読し、不明な点や疑問に思う点などを予め確認しておくこと。

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)