文学部 人文学科 文学コース
独文学 専門分野
専門分野科目 (単位数 1)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
ドイツ文学演習 VB
German Literature (Seminar V)B
講義題目  初期トーマス・マン文学(1)
教授 小黒 康正
科目ナンバリングコード: LET-HUM3636J
講義コード:
2024 前期
毎週 火曜4限
伊都イーストゾーン 独文演 教室
J科目 (日本語, 日本語)
更新情報 : 2024/2/29 (17:50)
授業の概要 2024年は小説『魔の山』が刊行されて100年目の年です。ノーベル賞作家トーマス・マンの代表作は、世界文学における「最高峰」の一つと言えましょう。実際に、この長編小説は古今東西の文学の中でもとりわけ難解であります。それにもかかわらず、いや、それだからこそ、人生において一度は読んでおきたい文学作品です。そこには人類の精神史の総体が詰まっていると言っても過言ではありません。今こそ『魔の山』を登頂するときではないでしょうか。

もっとも、皆さんの中には、険しい山に挑む前に、まずは低山で足腰を慣らしておきたいという方がおられると思います。そんな方々には、マンの初期短編、とりわけ『小男フリーデマン氏』(1897年)、『道化者』(1897年)、『トーニオ・クレーガー』(1903年)がおすすめです。いずれの作品でも『魔の山』で大きく展開する問題がまるで序曲のように凝縮されています。もっとも低山と言っても、マン文学の場合、やはりそれなりに険しいと言えましょう。

本演習では、成立順とは前後しますが、前期に『トーニオ・クレーガー』を、後期に『道化者』を読みます。マン文学は、自伝的要素を取り込みながら、ディレッタントの孤独を自家薬籠中の物とすることで始まりました。そうした中で、新しいディレッタンティズムの文学的結晶化こそ、『道化者』であり、『トーニオ・クレーガー』なのです。

『魔の山』では「西」と「東」という対立項がありますが、これに対して『道化者』と『トーニオ・クレーガー』には、「北」と「南」の対立があります。『トーニオ・クレーガー』の場合、トーニオという「南」の名前とクレーガーという「北」の名字をもつ主人公が、芸術の道に生きるか、それとも通常の市民的な生き方をするかという問いの間で右往左往します。興味深いことに、『魔の山』の主人公もまったく異なる文脈ですが、右往左往する人物です。私たちは、、『道化者』と『トーニオ・クレーガー』を通じて、トーマス・マンの文学的挑戦とその展開を見渡すことができるのではないでしょうか。低山と言っても決して侮れません。

(Proseminar: Thomas Mann)
キーワード : ドイツ文学、トーマス・マン
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項 この科目はEU研究ディプロマプログラム(EU-DPs)指定科目です。同プログラムについては、以下のサイト(http://eu.kyushu-u.ac.jp/indexjp.html)をご参照ください。
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
U_C-1-1 [文献分析力]
それぞれの専門分野の基本文献を正確に解釈、分析することができる。
対象作品をかなり精密に読解できる。 対象作品を精密に読解できる。 対象作品を概ね読解できる。 対象作品を充分に読みこなすことができていない。
U_C-1-2 [研究手法]
それぞれの専門分野に固有の問題設定を理解し、研究手法を正しく身に付けて実践し、必要な史資料や文献を収集できる。
独文学研究に必要な研究手法をかなり秀逸に身につけている。 独文学研究に必要な研究手法を秀逸に身につけている。 独文学研究に必要な研究手法を概ね身につけている。 独文学研究に必要な研究手法を身につけていない。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : 授業中に指示する。
参考書 : 授業中に指示する。
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 導入 演習
2 演習 演習
3 演習 演習
4 演習 演習
5 演習 演習
6 演習 演習
7 演習 演習
8 演習 演習
9 演習 演習
10 演習 演習
11 演習 演習
12 演習 演習
13 演習 演習
14 試験
15 予備日

成績評価
観点→
成績評価方法
U_C-1-1
[文献分析力]
U_C-1-2
[研究手法]
備考(欠格条件、割合等)
授業への貢献度

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 :
学習相談 学習相談 : 本授業の終了後、ならびにオフィスアワー(火曜3限)にて相談に応じる。

授業以外での学習に当たって :

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)