文学部 人文学科 人間科学コース
心理学 専門分野
専門分野科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
心理学講義 VIII (司法・犯罪心理学)

講義題目  心理学講義VII(司法・犯罪心理学)
福岡大学人文学部 教授 大上 渉
科目ナンバリングコード:
講義コード:
2024 前期
集中
伊都イーストゾーン 教室
E/J科目 (日本語, English)
更新情報 : 2024/2/16 (09:03)
授業の概要 法務省や家庭裁判所,警察などのさまざまな刑事司法機関において,多くの心理職が専門的業務に従事している。また近年,司法・犯罪心理学の分野では,裁判員制度や取調べの可視化の導入,客観性の高いポリグラフ検査や犯罪者プロファイリングの実施,実効性の高い再犯防止プログラムの実施とその効果測定などが求められており,高い専門性を備えた心理職の重要性に対する理解が進み,その活躍の場が広がりつつある。 本講義では,警察の科学捜査研究所において検査・鑑定等に従事してきた担当教員の経験を活かし,公認心理師として必要な司法・犯罪心理学に関する事柄,すなわち(1)犯罪・非行,犯罪被害及び家事事件,並びに(2)司法・犯罪分野における諸問題解決に向けた心理支援などに関する基本的な知識の習得と理解を目指す。

(This course provides an overview of the basic theories, concepts, and terms regarding with forensic and criminal psychology to need for acquiring a licensed psychologist.)
キーワード :
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項 〇8月中旬から8月下旬の期間内に集中講義として開講予定。
〇犯罪事象を扱うため,授業では一部不快な内容を伴うこともある。
〇講義資料はMoodleにアップするので受講者は事前に出力し講義時に持参すること。なお,講義資料は頁数が多い。印刷時には1枚の用紙に複数枚印刷する割り付け印刷を行うなど各自工夫すること。
〇成績評価は主にMoodle上の小テストで行う。受験期間内に必ず受験すること。受験し忘れに対する寛容な措置は原則行わない。
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 : 教職(公民)
資格 :  認定心理士
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
U_B-2 [専門分野の知識と理解]
犯罪・非行,犯罪被害及び家事事件についての基本的知識を習得し,関連する事象について思考・分析し,他者に説明することができる。
刑事司法の手続きや刑事司法機関,児童福祉機関などにおいて,心理学がどのように活用され,また期待されているかを正しく理解し,理論や用語を踏まえて的確に説明できる。 刑事司法の手続きや刑事司法機関,児童福祉機関などにおいて,心理学がどのように活用され,また期待されているかをおよそ理解し,理論や用語を踏まえて説明できる。 刑事司法の手続きや刑事司法機関,児童福祉機関などにおいて,心理学がどのように活用され,また期待されているかについて関心を示すことができる。 刑事司法の手続きや刑事司法機関,児童福祉機関などにおいて,心理学がどのように活用されているか知らない。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義 授業担当教員によるパワーポイントを用いた解説を主とした形態であり,時折,学生との問答を通じて,関連の知識を深めていく。
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : テキストは使用しない。Moodleを通じてスライド資料(PDF)を配布する。
参考書 : 「司法・犯罪心理学」(岡本吉生編)(ISBN: 978-4866160696)
「司法・犯罪心理学入門 捜査場面を踏まえた理論と実務」(桐生正幸・板山昂・入山茂編)(ISBN: 978-4571250538)
「犯罪心理学」(大渕憲一著)(ISBN:978-4563058838)
「非行・犯罪心理学――学際的視座からの犯罪理解」(松浦直己)
(ISBN: 978-4750341880)
「犯罪心理学事典」(日本犯罪心理学会 編)(ISBN:978-4621089552)
「テキスト 司法犯罪心理学」(越智啓太・桐生正幸編著)(ISBN:978-4762829758)
「Progress &Application 犯罪心理学」(越智啓太著)(ISBN:978-781912998)
「テロリズムの心理学」越智啓太著)(ISBN: 978-4414416602)
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 犯罪,犯罪心理学,司法・犯罪心理学の定義
2 〇少年犯罪と少年犯罪の司法手続き (少年法,保護の精神,非行少年の区別,少年鑑別所,少年院,児童自立支援施設,家庭裁判所,少年審判,保護処分,少年犯罪による被害者の支援,保護観察所と保護観察官,施設内処遇と社会内処遇等)
3 〇成人犯罪の刑事司法手続き(刑事司法手続きの流れ,警察の役割,司法警察と行政警察,捜査・初動捜査・科学捜査,科学捜査研究所,検察の役割,起訴独占主義,裁判員制度,裁判員制度による量刑の変化,医療観察制度とその仕組み,心神喪失と刑事責任)
4 〇家事事件(家事事件の内容,家事事件の対応で求められること,家事事件の調停・審判,成年後見制度,離婚と面会交流,ハーグ条約,児童虐待,児童虐待による心理・脳神経への影響,児童虐待が深刻化する夫婦関係)
5 〇犯罪被害者支援(日本の刑事司法における被害者の地位,犯罪被害者等基本法,警察・民間による犯罪被害者の支援,広義の心のケアと狭義の心のケア,犯罪被害者への経済的支援,犯罪被害者遺族の心理,喪の作業,PTSDとその病態,犯罪被害者のPTSD有病率,犯罪被害者遺族のPTSD有病率,PTSDの保護因子とリスク因子,PTSDの効果的治療法,持続エキスポ-ジャー法,反復被害と近接反復被害の法則,性的強要被害にあった女性の特徴,犯罪者からみた被害者の行動特徴等)
6 〇犯罪・非行の原因論1(生物学的要因,生物・心理・社会モデル,生来性犯罪人説,家系研究・双生児研究・養子研究,テストステロンと攻撃性,前頭前野・扁桃体)
7 〇犯罪・非行の原因論2(心理的要因,知能,ケーキの切れない非行少年,言語性知能VS動作性知能,敵意的反すう傾向,敵意帰属バイアス,反抗挑発症,素行障害,反社会性パーソナリティ障害,非行少年に特徴的な自損行為障害,自己愛性パーソナリティ障害)
8 〇犯罪・非行の原因論3(社会学的要因,緊張理論,緊張理論と米国の犯罪組織,社会的不平等と殺人率,分化的接触理論,社会的絆理論,高齢者の犯罪者は最近なぜ多いのか)
9 〇犯罪の矯正(RNRモデル,リスク原則,ニーズ原則,応答性原則,法務省式アセスメントツール,セントラルエイト,日本における矯正処遇,矯正施設と刑事施設,監獄法と刑収法,刑罰モデルからリハビリテーションモデル,刑事施設のもつ4つの機能,矯正処遇の種類,改善指導・一般改善指導・特別改善指導,処遇効果の検証法,無作為化比較対照試験)
10 〇捜査の支援(捜査心理学,ポリグラフ検査,隠匿情報検査法,裁決質問と非裁決質問,ポリグラフ検査の生理的指標,ポリグラフ検査の精度,感度と特異度,ポリグラフ検査の証拠能力,伝統的捜査手法の限界,犯罪者プロファイリング,一貫性仮説,相同性仮説,署名的行動,初期の犯罪者プロファイリング,FBIの犯罪者プロファイリング,秩序型と無秩序型,統計的犯罪者プロファイリング,犯人の犯罪行動と個人属性の関連性と可視化)

成績評価
観点→
成績評価方法
U_B-2
[専門分野の知識と理解]
備考(欠格条件、割合等)
小テスト 90%。配付教材ごとにMoodle上で小テストを行う。
授業への貢献度 10%。授業内容への質問,コメント,着座位置など

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 :  小テストについては,Moodle上で教材ごとに小テスト(10問〜20問)を実施する。この授業では5回程度実施する予定である。出題形式は,選択問題,正誤判断問題や記述問題などである。成績は90点満点で点数化する。具体的には,90点を小テストの実施回数で除した値に(もし5回小テストを実施したのであれば18点となる),正答率を乗じた値を小テストごとに算出し,その合計値を小テストの成績とする。評価基準については,授業で解説した用語や知見を理解できているか,またそれらが知識として定着しているかを基準にして評価する。
学習相談 学習相談 : 授業終了後に10分間ほど教室に待機していますので,その間に学習相談を受け付けます。またE-mail(oue@fukuoka-u.ac.jp)などもご活用下さい。

授業以外での学習に当たって : 1.受講者はMoodle上にアップロードした講義資料を予めダウンロード・出力し,予習しておくこと(60分)。
2.重要な箇所については講義中に強調して説明する。そのような箇所は重点的に復習しておくこと(60分)。

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)