文学部 人文学科

人文学科共通科目 (単位数 1)
選択科目
対象学年: 2年生、3年生、4年生
対象学部等:
人文学 C-2
The Humanities C-2
講義題目  人文学C−2 「かたる」
教授 鵜飼 信光
科目ナンバリングコード:
講義コード:
2024 秋クォータ
毎週 水曜2限
伊都イーストゾーン B112 教室
E/J科目 (日本語, English)
更新情報 : 2024/3/10 (11:15)
授業の概要  最初の4回は鵜飼が担当する。第1回はダニエル・デフォーの『ロビンソン・クルーソー』(1719)を取り上げ、28年にわたる島での生活を含む半生記を通し、ロビンソンが罪と悔い改めの物語をいかに自己の「語り」で演出しようとしているか、ロビンソンが意図せずに露呈させている様々な問題を含めて考察する。デフォーのその作品では、一人称の語り手であるロビンソンの語りを批判的に提示しようという意図はあまり感じられないが、第2回では、ジョナサン・スウィフトの『ガリヴァー旅行記』(1726)において、作者スウィフトが一人称の語り手であるガリヴァーといかに距離を取って、揶揄するように彼を描いているかに注目する。『ガリヴァー旅行記』はガリヴァーが漂着する小人国、巨人国、飛ぶ島、馬の国などの異界を描きながら人類のあり方を批判、揶揄する作品だが、語り手のガリヴァー自身への揶揄を通してもスウィフトは人間が抱える問題をさらに描いている。第3回はエミリー・ブロンテの『嵐が丘』(1847)において、作品の9割ほどで一人称の語り手を務めるネリー・ディーンという家政婦長の無意識の悪意が描かれていることを考察する。第4回はチャールズ・ディケンズの『大いなる遺産』(1860−61)において、一人称の語り手である主人公ピップが、犯罪的なものとの絆からの解放を語ろうとするのに、作者(作品)は、ピップが悪夢的に絆に絡め取られたままであり続ける様子を微妙に描いていることを考察する。小説は「語る」という行為の問題が最も顕在化する場の一つだが、その問題を上記の英国小説の四作品を通して見ていく。
 後半の3回は岡野が担当する。民衆の間で古くから「語り」によって伝えられてきた昔話(folktale)の学問は、ドイツのグリム兄弟の蒐集から本格的に始まったといってよいが、この授業ではそのグリム以後、昔話は世界でどのように研究が展開されて、どのような研究手法が編み出されたか、その一端を紹介したい。
 この3回の授業では、世界各地に口承で伝わってきた説話のうちで有名なものを毎回取り上げて、それらの説話資料を読みながら、昔話というジャンルの「語り」の固有性を明らかにし、研究の手法を説明する。
 第1回は「昔話と何か」から説明を始めて、グリム兄弟の仕事を紹介する。そしてグリム童話の中の「いばら姫」(眠りの森の美女)の話を取り上げる。次の第2回ではグリムの「白雪姫」の話を取り上げる。この第1回と第2回ではマックス・リュティによる昔話の様式研究などを説明する。
 第3回はグリムの「千枚皮」(いぐさの頭巾、鉢担ぎ姫)を取り上げる予定である。第3回では、その昔話を読みながら、昔話の国際的な比較研究の仕方として、アールネ&トンプソンの話型目録や、トンプソンのモチーフ・インデックスの仕事、また日本における柳田国男から始まる民話研究などを紹介したい。
 This lecture approaches the theme of "narrating" through consideration of English novels in the first four weeks by Ukai and German folktales in the following three weeks by Okano.

(This lecture approaches the theme of "narrating" through consideration of English novels in the first four weeks by Ukai and German folktales in the following three weeks by Okano.)
キーワード :
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
U_B-1 [人文学の広範な知識と理解]
人文学全般の多様な専門分野の基礎知識を身につけ、人文学固有の思考や方法を説明できる。
人文学全般の多様な専門分野の基礎知識を身につけ、人文学固有の思考や方法を説明することにおいて、かなり優れている。 人文学全般の多様な専門分野の基礎知識を身につけ、人文学固有の思考や方法を説明することにおいて、優れている。 人文学全般の多様な専門分野の基礎知識を身につけ、人文学固有の思考や方法を説明することにおいて、及第である。 人文学全般の多様な専門分野の基礎知識を身につけ、人文学固有の思考や方法を説明することにおいて一層の努力が必要である。
U_C-1-1 [文献分析力]
それぞれの専門分野の基本文献を正確に解釈、分析することができる
それぞれの専門分野の基本文献を正確に解釈、分析することにおいてかなり優れている。 それぞれの専門分野の基本文献を正確に解釈、分析することことにおいて優れている。 それぞれの専門分野の基本文献を正確に解釈、分析することにおいて及第である。 それぞれの専門分野の基本文献を正確に解釈、分析することにおいて一層の努力が必要である。
U_C-1-2 [研究手法]
それぞれの専門分野に固有の問題設定を理解し、研究手法を正しく身に付けて実践し、必要な史資料や文献を収集できる。
それぞれの専門分野に固有の問題設定を理解し、研究手法を正しく身に付けて実践し、必要な史資料や文献を収集することにおいてかなり優れている。 それぞれの専門分野に固有の問題設定を理解し、研究手法を正しく身に付けて実践し、必要な史資料や文献を収集することにおいて優れている。 それぞれの専門分野に固有の問題設定を理解し、研究手法を正しく身に付けて実践し、必要な史資料や文献を収集することにおいて及第である。 それぞれの専門分野に固有の問題設定を理解し、研究手法を正しく身に付けて実践し、必要な史資料や文献を収集することにおいて一層の努力が必要である。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
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授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : ・板書
・スライド資料(電子媒体)
参考書 :
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 『ロビンソン・クルーソー』
2 『ガリヴァー旅行記』
3 『嵐が丘』
4 『大いなる遺産』
5 「いばら姫」
6 「白雪姫」
7 「千枚皮」

成績評価
観点→
成績評価方法
U_B-1
[人文学の広範な知識と理解]
U_C-1-1
[文献分析力]
U_C-1-2
[研究手法]
備考(欠格条件、割合等)
レポート

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 : 学期末のレポート(2000字以上)50%
平常点50%
学習相談 学習相談 :

授業以外での学習に当たって :

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)