文学部 人文学科 文学コース
英語学・英文学 専門分野
専門分野科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
アメリカ文学講義 V
American Literature (Lecture V)
講義題目  Vladimir Nabokov, Pale Fireを読む
京都大学大学院文学研究科 准教授 森 慎一郎
科目ナンバリングコード: LET-HUM4581J
講義コード:
2017 前期
集中
箱崎 教室
J科目 (日本語, 日本語)
更新情報 : 2017/2/28 (22:16)
授業の概要  Vladimir Nabokovのアメリカ時代の代表作の一つで、ポストモダン小説の傑作などと言われたりもするPale Fire (1962)を、みんなであれこれ考え話し合いながら読む、というのがこの授業の概要です。ある(架空の)アメリカ詩人の999行からなる詩と、別の人物がその詩に添えた前書き、注釈、索引からなるこの「小説」は、発表当時にMary McCarthyが評したように、まさに文学の「ビックリ箱」のごとき作品で、テクスト内に仕掛けられた大小の謎をはじめ、語りの信頼性、引用言及される他の文学作品との関連性、絶えずせめぎ合う虚構と現実の関係などなど、実にいろいろなことを考えさせてくれます。またこの作品には、文学を読むという営みについて考える一助となってくれる、そして、読者それぞれの文学作品との関わり方に新たな刺激をもたらしてくれる、そういう面もありそうな気がします。
 Nabokovに関する知識はいっさい問いませんが、Nabokov作品の中ではわりに読みやすい小説とはいえ、ペーパーバックで300ページほどのテクストを数日でカバーすることになりますので、事前にざっとでも作品を一読しておくことをお勧めします。翻訳でもかまいません。

(The purpose of this class is to read and discuss Vladimir Nabokov's Pale Fire (1962), one of the oddest novels in literary history. A fictional "jack-in-the-box" as Mary McCarthy called it, the novel consists of a renowned poet's 999-line poem, briefly introduced and lengthily commented by his neighbor and critic (and what not). Bristling with textual conundrums and intertextual ramifications, it offers in its formal complexity such issues as narrative reliability, textual authority and the ethics of reading, through the consideration of which students will be able to enrich their view of fictional art and refine their sensibility toward literary texts.)
キーワード :
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
B_A-c [言葉の理解]
「言葉」に対する自覚的かつ反省的な関わりを通じて、人間存在への理解を深める。
作家の用いる言葉に対してたいへん旺盛な興味を持ち、そこにたいへんおもしろい問題を見出すことができる。 作家の用いる言葉に対してかなり旺盛な興味を持ち、そこにかなりおもしろい問題を見出すことができる。 作家の用いる言葉に対してまずまず旺盛な興味を持ち、そこにまずまずおもしろい問題を見出すことができる。 作家の用いる言葉に対してあまり興味を持たず、そこにあまりおもしろい問題を見出すことができない。
B_B1-a [古典の読解]
長い文化的伝統のなかで人類が生み出してきた知的所産である「古典」を、厳密に読解する能力を身に付けることができる。
テクストをたいへん精緻に、かつ豊かな感性をもって読み解くことができる。 テクストをかなり精緻に、かつかなり豊かな感性をもって読み解くことができる。 テクストをまずまず精緻に、かつまずまず豊かな感性をもって読み解くことができる。 テクストをあまり精緻に読み解くことができない。
B_B1-f [批判的討論]
専門分野の基本文献を精確に解釈、分析することができる。
自分の考えを積極的かつ説得的に、他の人の意見を踏まえたうえで発言できる。 自分の考えを説得的に、他の人の意見をある程度踏まえたうえで発言できる。 自分の考えを問われれば答えられ、他の人の意見もきちんと聞いている。 自分の考えを述べられない、または他の人の意見をよく聞いていない。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : Vladimir Nabokov, Pale Fire (Vintage), ISBN:978-0679723424
参考書 :
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 イントロダクション
2 詩と前書き(pp.13-69)―講義
3 詩と前書き―ディスカッション
4 Canto 1への注釈(pp.73-147)―精読(一部)
5 Canto 1への注釈―講義/発表
6 Canto 1への注釈―ディスカッション
7 Canto 2への注釈(pp.148-222)―精読(一部)
8 Canto 2への注釈―講義/発表
9 Canto 2への注釈―ディスカッション
10 Canto 3およびCanto 4への注釈(pp.222-301)―精読(一部)
11 Cantos 3およびCanto 4への注釈―講義/発表
12 Cantos 3およびCanto 4への注釈―ディスカッション
13 索引、および作品全体について―講義/発表
14 索引、および作品全体について―ディスカッション
15 まとめ

成績評価
観点→
成績評価方法
B_A-c
[言葉の理解]
B_B1-a
[古典の読解]
B_B1-f
[批判的討論]
備考(欠格条件、割合等)
授業への貢献度 70%
レポート 30%

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 : 受講者数が少ない場合は平常点のみの評価に切り替えるかもしれません。
学習相談 学習相談 :

授業以外での学習に当たって : 事前に作品を一読しておくことをお勧めします(翻訳でも可)。

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)