文学部 人文学科 文学コース
独文学 専門分野
専門分野科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
ドイツ文学講義 VIII
German Literature (Lecture VIII)
講義題目  現代ドイツ文学におけるクロノトポス
早稲田大学文学部 准教授 山本 浩司
科目ナンバリングコード: LET-HUM3633J
講義コード:
2017 後期
集中
箱崎 教室
J科目 (日本語, 日本語)
更新情報 : 2017/11/8 (10:07)
授業の概要 数世代にわたる過去を表現するにはいくつかの文学的方法があるだろう。19世紀小説によく見られたように時系列に即して過去を再構成する年代記的記述は律儀だけれど、ボリュームがふくれあがる恐れがある。スピードを重視する現代文学では、特定の空間にさまざまな時間を沈殿させる例がよく見られる。
本授業では、バフチンのクロノトポス論のほかアスマンの「想起の空間」論なども参照しながら、戦後から21世紀の現在にいたる同時代ドイツ文学のクロノトポス表現を検討していく。この方法が現代ドイツ文学の代表的な作家にあってどのように使われているかを、適宜、モダンクラシックの作家を比較対象に取り込みながら、テキストの分析を通じて見ていきたい。
具体的には、都市のなかの広場や街路(デーブリーン、バッハマン、アイヒンガ―)、図書館や美術館のアーカイブ空間(カネッティ、ゼーバルト、ベルンハルト)やごみ山・工場廃墟などの逆転したアーカイブ空間(ベルンハルト、グリュンバイン、ヒルビッヒ)、学校、病院、労働キャンプなど規律社会における「監禁」空間(ムージル、ベルンハルト、ペーター・ヴァイス、ヘルタ・ミュラー)などが考えられる。
受講生の主体的な参加をうながすために、授業は講義と演習を組み合わせた複合体として構想され、毎日、原則として、導入講義ののち、原典テキストの精読に2時間あて、翌日にそれを踏まえてディスカッションを1時間行う。

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キーワード : ドイツ現代文学、バフチン、アスマン、クロノトポス、
履修条件 : ドイツ語の既修者
履修に必要な知識・能力 : ドイツ語読解力
特記事項 集中講義:11月27日(月)から12月2日(金)
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
B_A-a [人文学の視座の理解]
人文学の基礎知識を踏まえて、現代人文学の視座の特質を理解できる。
作品に見出される文芸上の課題を自ら発見し、それを個々の作品や時代背景を十分に考慮した上で考察することができる。 作品に見出される文芸上の課題を個々の作品や時代背景を十分に考慮した上で考察することができる。 作品に見出される文芸上の課題を個々の作品に即して考察することができる。 作品に見出される文芸上の課題を考察することができない。
B_B1-c [外国語運用能力]
外国語の運用能力を高め、自らの専門的知識を世界に向って発信できる。
ドイツ語文学テキストの正確な読解に基づいてその内容を適切に踏まえつつ、自身の専門的見地から批判を加えることができる ドイツ語文学テキストを正確に読解し、その内容を適切に理解・要約することができる ドイツ語文学テキストを正確に読解することができる ドイツ語文学テキストを正確に読解することができない
B_A-c [言葉の理解]
「言葉」に対する自覚的かつ反省的な関わりを通じて、人間存在への理解を深める。
外国語文学テキストの正確な読解に基づいてその内容を適切に踏まえつつ、自身の専門的見地から批判を加えることができる 外国語文学テキストを正確に読解し、その内容を適切に理解・要約することができる 外国語文学テキストを正確に読解することができる 外国語文学テキストを正確に読解することができない
B_A-d [資料の理解]
史資料・文献・作品の分析と解釈、および実地調査などに基づいて、世界における文化・歴史・社会の多様性と共通性を理解し説明できる。
文学テキストの正確な読解に基づいてその内容を適切に踏まえつつ、自身の専門的見地から批判を加えることができる 文学テキストを正確に読解し、その内容を適切に理解・要約することができる 文学テキストを正確に読解することができる 文学テキストを正確に読解することができない
B_B1-b [専門文献の解釈]
専門分野の基本文献を精確に解釈、分析することができる。
専門文献の正確な読解に基づいてその内容を適切に踏まえつつ、自身の専門的見地から批判を加えることができる 専門文献を正確に読解し、その内容を適切に理解・要約することができる 専門文献を正確に読解することができる 専門文献を正確に読解することができない
B_C-a [積極性]
自ら進んで新しい問題に取り組む積極性を持つ。
自ら文献や資料を渉猟し,それらについて方法論的な観点から整理し,優れた知見を発表することができる。 自ら文献や資料を渉猟し,それらの考察からえた知見を発表することができる。 関連する文献・資料を自ら収集し,テクストの理解を深めることができる。 与えられたテクストや資料を理解できない。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : プリントを用意する。
参考書 : アライダ・アスマン:想起の空間――文化的記憶の形態と変遷(安川 晴基訳、水声社、2007)
ミハイル・バフチン全著作 第5巻 小説における時間と時空間の諸形式(伊東, 佐々木ほか訳、水声社 2001)
Handbuch Literatur & Raum. Ed. by Dünne, Jörg / Mahler, Andreas. de Gruyter 2015.
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 導入として・戦後ドイツ文学とクロノトポス・想起の空間――広場・街路、図書館・博物館、ごみ山・廃墟、刑務所・収容所 1日目
2 広場と街路(1):ベルリン / Alfred Döblin: Berlin Alexanderplatz; Katja Lange-Müller: Böse Schafe 演習 ドイツ語抜粋テキストの予習2時間
3 広場と街路(2):ウィーン / Ingeborg Bachmann: Malina; Ilse Aichinger: Kleist, Moos, Fasane. 演習 ドイツ語抜粋テキストの予習2時間
4 広場と街路(3):ディスカッション 演習 2日目
ドイツ語抜粋テキストの復習2時間
5 図書館と博物館(1): 導入講義:Wim Wenders: Der Himmel über Berlin; Elias Canetti: Die Blendung; W.G.Sebald: Austerlitz; Thomas Bernhard: Auslöschung. 演習 ドイツ語抜粋テキストの予習2時間
6 図書館と博物館(2): Thomas Bernard: Alte Meister; Bachmann: Der Fall Franza 演習 ドイツ語抜粋テキストの予習2時間
7 図書館と博物館(3):ディスカッション 演習 3日目
ドイツ語抜粋テキストの復習2時間
8 ごみ山と廃墟(1):導入講義:環境問題と東ドイツ文学について / Durs Grünbein: Gedichte und Essays 演習 ドイツ語抜粋テキストの予習2時間
9 ごみ山と廃墟(2): Wolfgang Hilbg: Die Weiber; Alte Abdeckerei 演習 ドイツ語抜粋テキストの予習2時間
10 ごみ山と廃墟(3):ディスカッション 演習 4日目
ドイツ語抜粋テキストの復習2時間
11 学校、病院、収容所(1):導入講義:管理社会論について / Robert Musil: Die Verwirrungen des Zöglings Törleß 演習 ドイツ語抜粋テキストの予習2時間
12 学校、病院、収容所(2):Thomas Bernhard: Die Kälte. Eine Isolation 演習 ドイツ語抜粋テキストの予習2時間
13 学校、病院、収容所(3):Herta Müller: Atemschaukel/ Peter Weiss: Meine Ortschaft 演習 5日目
ドイツ語抜粋テキストの予習2時間
14 学校、病院、収容所(4):ディスカッション 演習 ドイツ語抜粋テキストの復習2時間
15 まとめ 演習

成績評価
観点→
成績評価方法
B_A-a
[人文学の視座の理解]
B_B1-c
[外国語運用能力]
B_A-c
[言葉の理解]
B_A-d
[資料の理解]
B_B1-b
[専門文献の解釈]
B_C-a
[積極性]
備考(欠格条件、割合等)
レポート 50パーセント
出席 10パーセント
授業への貢献度 40パーセント

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 :
学習相談 学習相談 :

授業以外での学習に当たって : この集中講義は、2時間のドイツ語テキストの購読とそれを踏まえた1時間のディスカッションを1セットとして構成される。2時間の購読に対しては原則6ページの予習を求める。ドイツ語読解能力に応じて、通常2時間から4時間の予習を要する。ディスカッションのためには復習2時間程度を要する。

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)