文学部 人文学科 人間科学コース
言語学・応用言語学 専門分野
専門分野科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年: 「2年生 3年生 4年生」
対象学部等:
言語学・応用言語学講義 XII
Linguistics and Applied Linguistics (Lecture XII)
講義題目  本州方言における格の表現の多様性と歴史
成城大学文芸学部 准教授 竹内 史郎
科目ナンバリングコード: LET-HUM2722J
講義コード:
2017 後期
集中
箱崎 教室
J科目 (日本語, 日本語)
更新情報 : 2017/3/4 (13:39)
授業の概要  この講義は大きく二つに分かれ、前半で本州方言の格の表現の多様性について、後半では本州方言の格の表現の歴史について述べていくこととなる。格の表現の多様性を論じる前半では現代京都方言、古代京都方言、そして宮城県登米町方言を扱い、格の表現の歴史を論じる後半では、文献から知ることのできるかつての京都方言を扱う。かつての京都方言を含む本州方言は意外と類型論的な多様性に富んでおり、広く通言語的・類型論的な視点が必要となってくる。能力の及ぶ限り、通言語的研究や言語類型論の研究成果をふまえながら進めていきたい。日本語の格を考えるのは単純ではない。一見、格標示が何のためにそこに現れているかわからないことも多く、あってもなくてもどちらでもいいとも言えそうで、その機能はとらえどころがないように感じられる。しかし語順や有生性効果といった格と競合する手段を考え合わせるなら説明の見通しはずっとよくなる。これに加え、無助詞現象や取り立てとの関係を考慮することで、格の配列や組織、さらには文法化について重要な知見をもたらすことができる。

(This lecture course is designed to introduce students to the comparative and historical study of Japanese dialects. In the first half, this lecture course focuses on diversity of case marking strategy in contemporary Kyoto dialect, old Kyoto dialect and Toyoma dialect, and in the second half, focuses on the development of case marking in Kyoto dialect. It may be necessary to examine function of case marking in Japanese dialects from a cross-linguistic and typological perspective, which are rich in cross-linguistic and typological diversity.
 It is difficult to analyze the function of ga-marking and wo-marking because they alternate with the absence of a case marker. However, by considering word order and animacy effects, which are competing methods against case marking with respect to identifying subject and object, we get a fascinating new perspective on the alignment, organization and grammaticalization of case marking in Japanese dialects. In addition, comparing null argument with ga-marked argument, we relate case marking to information structure to provide explanation for the function of case marking in Japanese dialects.)
キーワード : 本州方言、格、多様性、歴史、文法化
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 : 特になし
特記事項
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
B_A-b [アプローチの理解]
専門分野の基礎知識に基づいて、人間と社会のあり方とそれへの多様なアプローチを理解できる。
●日本語族という括りの中で諸方言を位置づけることができ、その多様性を理解し、なおかつそれを保存していこうとする志を持っている。 ●本州方言の格表現を説明するのに通言語的・類型論的視点が必要であることを論述して示すことができている。 ●本州方言の格と標準日本語の格とを比較した場合、前者の特性について説明することができている。 ●日本語諸方言の文法の多様性を知ろうとするモチベーションがわかない。
●言語を分析する意義がわからない、そうする必要を感じないと思っている。
B_A-d [資料の理解]
史資料・文献・作品の分析と解釈、および実地調査などに基づいて、世界における文化・歴史・社会の多様性と共通性を理解し説明できる。
●文献の調査から知られることが、そのままで文法を反映しているのではなく、理論的な考察をふまえて洗練させていく必要のあることを理解している。 ●京都方言の文法変化を考える際に、数多く存在する文献の中からどれとどれを資料として選べばよいかについての知識を持っている。
●日本語歴史コーパス(CHJ)を利用して用例を集めることができている。
●古代や中世の文献に見える言語がかつての関西方言であることを説明することができている。
●日本語歴史コーパス(CHJ)がどういうものか理解している。
●古代や中世の文献に見える言語が標準日本語の祖先であると思っている。
●古典語を研究するための資料の調査がひたすら面倒なものだと思っている。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : 授業でプリントを配布する。
参考書 : 特になし
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 オリエンテーション
2 格の表現の多様性1(現代京都方言について)
3 格の表現の多様性2(現代京都方言について)
4 格の表現の多様性3(現代京都方言について)
5 格の表現の多様性4(宮城県登米町方言について)
6 格の表現の多様性5(宮城県登米町方言について)
7 格の表現の多様性6(古代京都方言について)
8 格の表現の多様性7(古代京都方言について)
9 格の表現の多様性8(まとめ)
10 格の表現の歴史1
11 格の表現の歴史2
12 格の表現の歴史3
13 格の表現の歴史4
14 格の表現の歴史5
15 全体のまとめ

成績評価
観点→
成績評価方法
B_A-b
[アプローチの理解]
B_A-d
[資料の理解]
備考(欠格条件、割合等)
期末試験

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 :
学習相談 学習相談 :

授業以外での学習に当たって : 授業の中で指示する。

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)