文学部 人文学科 人間科学コース 比較宗教学 専門分野 専門分野科目 (単位数 2) 選択科目 対象学年: 対象学部等: |
Cultural Anthropology (Lecture III)
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科目ナンバリングコード: LET-HUM2833J 講義コード: 2017 後期 集中 箱崎 共同演習室 教室 J科目 (日本語, 日本語) |
授業の概要 |
人類学とは、自己の生き方とは異質な人々の多様な生き方を知ることを通して、人類の社会・文化の多様性に通底する人類の普遍的な特性を探りながら、「人類はどこから来て、どのような存在であり、どこに向かおうとしているのか」という人類の過去と現在と未来を考えることで、人類の可能性と限界を問う学問である。本講義では、カナダ極北圏の先住民、イヌイトの現在の日常生活を手がかりに、そうした人類学の挑戦の一端を紹介する。 今日の世界では、グローバリゼーションが進展し、社会・文化の均一化が進む一方で、それと同時に、民族紛争をはじめとするナショナリズムも隆盛している。交通・通信技術の発達につれて産業資本主義経済が地球規模で進展し、均質な生活様式や価値観が浸透しながらも、民族や宗教の違いを強調する排他的な民族主義も同時に進行するという、一見すると矛盾する均質化と異質化が同時に進展しているのである。 この授業で紹介するカナダ極北圏のイヌイトもこの例外ではない。かつては狩猟・採集民の代表の一つとして知られ、私たちとは異質な生活を営む人々と考えられてきたイヌイトの人々も、今日では、グローバリゼーションの進展に伴って、サラリーマンとして収入を得、ハリウッド映画や日本のアニメ、テレビゲームを楽しむような高度消費社会に生きており、その生活は私たちの生活とよく似たものとなっている。しかし、一方で、依然として狩猟・漁労・採集からなる「伝統的な」生業活動を盛んに行い、イヌイト・アートと呼ばれる芸術に表象されるような価値観と世界観を世界に向かって発信し、「イヌイトの知識」(Inuit Qaujimajatuqangit)と呼ばれる近代科学とは異なる知識を「近代科学に抗する科学」として提示することで、自分たちの独自性を強調している。 それでは、なぜ、今日の世界では、こうした均質化と異質化という矛盾した状況が同時に進展しているのだろうか。そして、この矛盾はいったいどのような問題をもたらしているのだろうか。あるいは、こうした状況の中で、私たちとは異なる社会・文化の人々と交流するために大切なことは、どのようなことなのだろうか。この授業では、こうしたグローバリゼーションとナショナリズムの問題について、イヌイトの現在の生活を題材に考える。そして、その考察に基づいて、人類の過去と現在と未来を検討し、人類の可能性と限界について考えるための手がかりを探ってみたい。 () | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
キーワード : 人類学、カナダ・イヌイト、宇宙人類学、拡張する心、グローバリゼーション、ナショナリズム、野生の思考、文化相対主義の陥穽、本質主義批判、ポストコロニアル人類学、存在論、アンソロポシーン問題、絶滅 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
履修条件 : 履修に必要な知識・能力 : 特にない。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
特記事項 |
本講の開講は1月25日(木)から27日(土)の3日間、初日(25日)は1時間目からはじめます。
教職 : 教職(社会)(公民) 資格 : | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
到達目標 |
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー 九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー 九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ 九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ 九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ 九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
授業方法 |
テキスト : 参考書 : 『カナダ・イヌイトの民族誌:日常的実践のダイナミクス』(大村敬一、大阪大学出版会、2013年) 『文化人類学研究:先住民の世界』(本多俊和,・葛野浩昭・大村敬一編、放送大学教育振興会、2005年) 『極北と森林の記憶:イヌイットと北西海岸インディアンのアート』(齋藤玲子・岸上伸啓・大村敬一編、昭和堂、2009年) 『グローバリゼーションの人類学:争いと和解の諸相』(本多俊和・大村敬一編、放送大学教育振興会、2011年) 『宇宙人類学の挑戦:人類の未来を問う』(岡田浩樹・木村大治・大村敬一編、昭和堂、2014年) 授業資料 : 授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
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成績評価 |
GPA評価
成績評価基準に関わる補足事項 : | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
学習相談 |
学習相談 : 授業以外での学習に当たって : 授業がはじまる以前に、シラバスで紹介した文献を読んでおき、それら文献と授業中に紹介する文献に基づいて、授業終了後にレポートを執筆する。 合理的配慮について : 障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。 <相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階) (電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp) |