文学部 人文学科 人間科学コース
比較宗教学 専門分野
専門分野科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
社会人類学講義 III
Social Anthropology (Lecture III)
講義題目  社会人類学講義 III
就実大学経営学部 准教授 八巻 恵子
科目ナンバリングコード: LET-HUM4833J
講義コード:
2017 前期
集中
箱崎 共同演習室 教室
J科目 (日本語, 日本語)
更新情報 : 2017/3/14 (22:25)
授業の概要  1990年代初期に日本で始まった経営人類学研究は、社史(Company HistoryまたはBusiness Life History)ではなく社誌(Companygrapy)を書くことを目指し、「文明の装置としての企業」をとらえる研究として,会社共同体が創造する文化について報告を行ってきた。 会社は単に営利を目的とする組織ではない。そこで働くさまざまな職業の人々は、人生の多くの時間をそこで過ごす。会社員にとっての会社は生活のコミュニティであり、職場は文化空間である。
一方、アメリカにおける文化人類学と経営学との接点は、すでに1920年代に始まっていて、欧米のBusiness Anthropologyは20世紀後半までには大学院教育プログラムの設置を果たす一方で,より実践的な応用人類学も発展し、プロの文化人類学者(Practitioner)の専門的な職業も成立している。
 本講義で取り上げる事例は、ヨーロッパの航空会社で働く日本人の客室乗務員の仕事の人類学的研究で、多文化空間のサービス産業の現場で創り出される第三文化について、グローバル企業の仕事の参与観察を通じて報告を行う。
 また、近年の産業界では、単に消費者の価値観をとらえるだけでなく、市場を創り出す「文化操作」が積極的に行われている。人材育成や商品開発、市場開拓などのマーケティングの分野に、文化人類学的質的調査のスキルが求められている。日本や欧米の産業界のとりくみ事例を紹介し、ワークショップを通じてさらに理解を深めることを試みる。

(Purpose of this class is to understand diverse "Anthropology in Business" as an applied anthropology, "Ethnography in Business" with case studies and workshop. )
キーワード : 経営人類学、企業人類学、ビジネスのエスノグラフィ、サービス・リテラシー
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 : 教職(社会)(公民)
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
B_A-b [アプローチの理解]
文化人類学の基礎知識を基盤として、応用人類学的、経営学などの学問横断的なアプローチをから,産業社会の文化について理解を深めてゆく。
文化人類学の産業応用、学問分野横断的な発想を適応して、課題に実践的かつ創造的にとりくむことができる。 事例で取り上げた文化人類学の産業応用、学問分野横断的な発想や手法を正しく理解して、課題にアプローチができる。 事例で取り上げた文化人類学の産業応用、学問分野横断的な発想や手法について、アプローチの要点は3点以上あげて説明することができる。 事例で取り上げた文化人類学の産業応用、学問分野横断的な発想や手法について、アプローチの要点は3点以上あげて説明できない。
B_B2-f [社会との関わり]
文化人類学の産業応用として、産業界におけるさまざまな(組織文化,企業行動,消費者の価値,労働社会等)質的情報について理解力を高めるきっかけとする。
文化人類学の専門知識と質的調査のスキルを産業応用することで,産業界の課題解決の要請に応えられる可能性があることについて、自分の言葉で説明ができる。 文化人類学の専門知識と質的調査のスキルを産業応用することは,産業界の課題解決の要請に応えられる可能性があることについて、一部でも説明ができる。 文化人類学の専門知識と質的調査のスキルを産業応用している事例があることについて,産業界の側からの要請があることについて説明ができる。 文化人類学の専門知識と質的調査のスキルを産業応用している事例があることは説明ができる。
B_C-c [発想力]
文化人類学の調査手法を生かして産業社会の課題解決につなげられるような,質的情報の収集力,情報の編集力,新たな着想につなげる発想力を養うきっかけとする。
文化人類学の手法により質的情報の収集,情報の編集を行うことができ,産業社会の課題解決に導くことができるような具体的なアイデアを発想することができる。 文化人類学の手法により質的情報の収集,情報の編集を行うことができ,産業社会の課題や解決案を具体的に発想することができる。 文化人類学の手法により質的情報の収集,情報の編集を行うことができ,産業社会の課題を発見することができる。 文化人類学の手法により質的情報の収集,情報の編集を行うことができるが,産業社会の課題や解決案とつなげることができない。
B_C-f [社会貢献の意欲]
文化人類学のスキルを生かしてゆたかな社会を目指すために、人類や世界、地域社会の課題を見つけて解決しようとする、社会貢献への志向を高めるきっかけとする。
人類や世界,地域社会に貢献し,ゆたかな社会を創造するために,文化人類学を産業に応用することができるということについて,自分の言葉で論理的に説明することができる。 人類や世界,地域社会に貢献し,ゆたかな社会を創造するために,文化人類学を産業に応用することができるということについて,論理的に説明することができる。 人類や世界,地域社会に貢献し,ゆたかな社会を創造するために,文化人類学を産業に応用することができるということを説明することができる。 人類や世界,地域社会に貢献し,ゆたかな社会を創造するために,文化人類学を産業に応用するということと結びつけて考えることができない。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト :
参考書 : 八巻惠子(2013)『国際線客室乗務員の仕事−サービスの経営人類学−』東方出版。
Yamaki,K.(2016) 'Airline Culture: Interanational Flight Attendant Service Design.' Nakamaki,H. & Hioki,K. Eds. (2016)"Enterprise as an Instrument of Civilization: An Anthropological Approach to Business Administration." Springer.
McCreery,J. & Yamak,K.(2015) 'The Anthropology of Business & Administration in Japan.' Denny, R. & Sundrland, P.Eds."Handbook of Anthropology in Business." Routledge.
中牧弘允, 日置 弘一郎編(1997)『 経営人類学ことはじめ―会社とサラリーマン』東方出版。
授業資料 : 適宜配布する。

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 【1日目 3限】オリエンテーション
講義の目標と進め方、テーマ概要の説明、講師紹介
産業界というフィールドの見方について考える。
2 【1日目 4限】経営人類学とは何か
日本におけるビジネスの文化人類学的研究の大きな流れである共同研究の考え方を概観する。
3 【1日目 5限】ビジネスの文化人類学とは何か
産業界をフィールドとする文化人類学的研究の歴史を概観する。
4 【2日目 1限】会社のフィールドワークの方法論
会社のフィールドとして参与観察を実践する方法、インタビュー調査などについて理解を深める。
5 【2日目 2限】企業の文化人類学的研究
経営学的手法を交えた会社研究の方法を、航空会社を事例に説明する。
6 【2日目 3限】企業とイノベーションの文化人類学
近代における航空路線と航空技術の発達史をひいて「文明の装置」としての企業の文化創造を理解する。
7 【2日目 4限】産業界の文化人類学
企業がおかれた環境としての産業界、経済界、政界、グローバルな関係をどうみるかについて理解を深める。
8 【2日目 5限】サービスビジネスの文化人類学
サービスは文化である。文明の装置の環境適応としての組織のリストラクチャリングを理解する。
9 【3日目 1限】グローバル化の最前線と規範の揺らぎ
航空会社はグローバリゼーションを推進する主体である。航空機の空間の文化について考える。
10 【3日目 2限】旅と移動の文化人類学
航空機による旅行者の文化について,旅と移動の消費者文化として理解する。
11 【3日目 3限】仕事の文化人類学
グローバル企業のサラリーマン文化について,働くこととキャリアをテーマに深く理解する。
12 【3日目 4限】ホスピタリティの文化人類学
サービスとホスピタリティ,もてなし方を巡る多様な文化について深く理解する。
13 【3日目 5限】サービス・マーケティングと質的調査
ワークショップによるサービス価値の創造と商品企画,モックアップの作成。
演習 作成したモックアップについてのレポートと発表準備。
14 【4日目 1限】発表とレポート提出
前日作成した新商品についてモックアップを提示しながら発表を行う。レポートの提出。
演習
15 【4日目 2限】ビジネス人類学の大学教育
アメリカの大学教育の事例と国際学会の動向、欧米諸国の文化人類学の産業化を理解し、日本について考える。

成績評価
観点→
成績評価方法
B_A-b
[アプローチの理解]
B_B2-f
[社会との関わり]
B_C-c
[発想力]
B_C-f
[社会貢献の意欲]
備考(欠格条件、割合等)
プレゼンテーション
レポート
作品

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 : 出席は70%を条件とします。
学習相談 学習相談 :

授業以外での学習に当たって : 産業界はあらゆる人にとっての普段の日常の環境であることに注意を払いながら講義を聴き、現代社会の実践フィールドとしての理解を深めてもらいたい。

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)