文学部 人文学科 人間科学コース
比較宗教学 専門分野
専門分野科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
社会人類学講義 IV
Social Anthropology (Lecture IV)
講義題目  デザインエスノグラフィ:フィールドからの情報に基づくアイデア発想とコミュニティデザイン
千葉工業大学 先進工学部 教授 安藤 昌也
科目ナンバリングコード: LET-HUM4834J
講義コード:
2017 前期
集中
箱崎 共同演習室 教室
J科目 (日本語, 日本語)
更新情報 : 2017/9/13 (08:02)
授業の概要  近年、産業分野において文化人類学の専門教育を受けた人材が、商品開発やコミュニティデザインなどのためのリサーチの担い手として活躍する事例が増えつつある。こうした事例では、製品の利用者(当事者)及び利用者を取り巻くステークホルダーの社会を対象にした、エスノグラフィ(フィールドワーク)を実践し、そこでの人々の振る舞いや理解の構造から、新しい製品や解決策のアイデアや改善のヒントを得ることが行われている。
 昨年度の講義では、エスノグラフィに基づくアイデア発想までの過程について重点を置いて取り組んできた。本年度は、「文化人類学演習 VI(フィールド・イノヴェーション)」との連動を意識して、コミュニティデザインを対象に実施する。
 コミュニティデザインとは、地域における課題解決を目的に、デザイン的なアプローチによって地域の活動そのものを設計する取り組みである。商品開発とは異なり、多くのステークホルダーを巻き込む必要があるため、取り組みのハードルとしては高い。しかし、いわゆる「デザイン的に考える」視点を経験することにより、問題点の裏返しではなく、理想的な姿から解決策を考えるアプローチの重要性について理解することを狙いとして取り組む。
 なお、本講義は集中講義であるが、全4日間を2回に分けて実施する。そのため、最初の2日間と翌週の2日間の間に、若干の宿題を出すことを考えている。

(The purpose of this class is to understand the applied ethnography which are mainly applied to product development in industry. This class will conduct workshop to understand the approach of application ethnography.)
キーワード : 応用エスノグラフィ、デザインリサーチ、人間中心デザイン、エクスペリエンスデザイン、コミュニティデザイン
履修条件 : 文化人類学演習 VIを履修しておくことが望ましい
履修に必要な知識・能力 :
特記事項 本講義は、2日間の集中講義を2回に分けて実施する。
・9月13日(水)〜9月14日(木)
・9月21日(木)〜9月22日(金)
 
なお、本講義は「文化人類学演習 VI」との連動を意識している。フィールドワークに相当する部分は、この科目の成果物を用いる予定であり、履修予定者にはあらかじめ資料の読み込みをお願いする場合がある。
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
B_A-b [アプローチの理解]
本講義では、文化人類学の知識や理解を産業分野で応用するアプローチについて理解を深める。
自ら与えられたテーマにおいて、応用エスノグラフィの考え方を適用した、フィールドワークのアプローチを計画できる。 事例としてあげられた応用エスノグラフィのアプローチとその方法について、それぞれの目的を正しく説明できる。 事例としてあげられた応用エスノグラフィの要点を3点以上あげることができ、具体的にその必要性を説明できる。 事例としてあげられた応用エスノグラフィの要点を3点以上あげられない。
B_B2-b [問題提起力]
現実の問題をつぶさに捉えることを通して、問題の構造を理解し、他者にわかる形で提示できる能力を身につける。
フィールドワークで得られた結果から、問題の構造を明確に示すことができ、自身の解釈を論理的に述べることができる。 フィールドワークで得られた結果から、問題の構造を明確に示すことができる。 フィールドワークで得られた結果を整理し、事実から問題点の幾つかを説明することができる。 フィールドワークで得られた事実を述べるにとどまっている。
B_B2-f [社会との関わり]
文化人類学や社会学の学びを、直接的に社会に活かす方法としての応用エスノグラフィの実際に触れ、自らの専門性を高めるきっかけとする。
文化人類学や社会学の専門的知識が、社会のどのような要請に応えることができるスキルであると考えられるかを、自身の言葉で説明できる。 文化人類学や社会学の専門的知識が、社会のどのような要請に応えることができるスキルであるかと考えられるを、一部でも説明できる。 文化人類学や社会学の専門知識が、社会と関わっていることを説明できる。 文化人類学や社会学との接点を、応用亭な視点で説明できない。
B_C-c [発想力]
人々や社会の理解にとどまらず、得られた結果から、問題解決のアイデアを提案する発想力を養う。
フィールドワークで得られた結果に基づく洞察から、本質的な解決をもたらすようなアイデアを具体的に発想できる。 フィールドワークで得られた結果から、事実としてあげられた問題点を直接解決するようなアイデアを発想できる。 フィールドワークで得られた結果をもとに、解決アイデアを発想できる。 フィールドワークで得られた結果とは関係のないアイデア、もしくはアイデアを思いつくことができない。
B_C-f [社会貢献の意欲]
実在する漁村に対するフィールド調査の結果にもづいて、地域の問題を真剣に捉え提案を行うことを通して、地域貢献に対する意欲を形成するきっかけとする。
実際の対象のフィールドに赴き、フィールドでの人々とのコミュニケーションを通して地域の課題に対して自分なりの関わり方を実践できる。 机上での課題把握、課題解決の検討に留まらず、実際の対象のフィールドに赴き、フィールドでの人々とのコミュニケーションをとることができる。あるいはその意欲がある。 実際の対象のフィールドに対する興味関心をもち、資料等に基づいて地域の課題を把握でき、解決策を検討することができる。 地域課題に関する問題に関して、フィールドの人々への意識に基づいた解決策を検討することができない。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : 講義内で資料を配布する
参考書 : 安藤昌也『UXデザインの教科書』丸善出版, 2016
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 【1日目3限:オリエンテーション】
科目の目標と進め方、テーマの概要紹介、講師の自己紹介。地域の課題とそのデザイン思考による解決アプローチについて解説する。
2 【1日目4限:エスノグラフィとコミュニティデザイン】
産業分野で活用される応用エスノグラフィの事例を紹介し、どのような特徴あるいは、その効果と課題について議論する。合わせてコミュニティデザインについても概説する。
3 【1日目5限:フィールド情報の整理1】
本講義で対象とするフィールドである茂道について、情報を整理する。
演習
4 【2日目2限:フィールド情報の整理2】
引き続き、対象とするフィールドである茂道について、情報を整理する。
演習
5 【2日目3限:住民価値観のマップ化1】
これまで得られている、茂道の住民への聞き取りから得られた価値観を取り上げて、その価値観を用いて茂道に住む人々の価値観の全体像を描き出す。
演習
6 【2日目4限:住民価値観のマップ化2】
引き続き、価値観の全体像を視覚化する。
演習
7 【2日目5限:価値マップとキャストの作成】
描かれたマップに対して、茂道の環境や情報などとを対応づけて、理解を深めるとともに、代表的な複数の住民像の特徴を整理する(キャスト)
演習 価値マップ及びキャストの特徴を踏まえ、地域のどのような課題をどのように解決すると良いと考えるか、約1週間あるので自分なりの考えを検討してくる
8 【3日目2限:アイデア発想とデザインパターン】
アイデア発想について解説するとともに、コミュニティデザインのパターンについて紹介する。
9 【3日目3限:アイデア発想1】
デザインパターンなどを活用して、具体的なアイデアを発想する。
演習
10 【3日目4限:アイデア発想2】
引き続き発想する。
演習
11 【3日目5限:アイデア選出と理由の検討】
グループ内で複数のアイデアを選択し、その中で良いと感じるアイデアを投票によって選出する。またなぜそのアイデアが選出されたのか、その理由をディスカッションする。
演習
12 【3日目2限:コンセプトの検討】
選出されたアイデアとその理由を元に、導出すべきアイデアの方向性をコンセプトとして整理する。
演習
13 【4日目3限:シナリオとは】
アイデアは、人々の体験としてシナリオ化しなければ、具体的な取り組みへと展開することが難しい。そこで、シナリオを検討する方法について講義する。
14 【4日目4限:シナリオの検討】
得られたコンセプトから、具体的な取り組みアイデアを再度発想し、シナリオを作成する。
演習
15 【4日目:5限 発表およびレポート】
最終的に検討したアイデア及びシナリオについて発表する。

成績評価
観点→
成績評価方法
B_A-b
[アプローチの理解]
B_B2-b
[問題提起力]
B_B2-f
[社会との関わり]
B_C-c
[発想力]
B_C-f
[社会貢献の意欲]
備考(欠格条件、割合等)
レポート
プレゼンテーション
作品

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 : グループでのワークショップの成果のプレゼンテーションおよびレポートによって成績を評価する。なお作品は、ワークショップの成果の一部を提出することを想定している。
学習相談 学習相談 : 疑問点などがあれば、masaya.ando@it-chiba.ac.jpまでメールすること。

授業以外での学習に当たって :

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)