人文科学府 言語・文学専攻 日本・東洋文学 分野
国語学・国文学 専修
専修科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
日本語学特論 I
Japanese Linguistics (Specialized Lecture I)
講義題目  国語史資料論(辞書・語彙集を出発点に)
大阪大学大学院文学研究科 教授 岡島 昭浩
科目ナンバリングコード:
講義コード:
2017 前期
集中
箱崎 共同演 教室
J科目 (日本語, 日本語)
更新情報 : 2017/3/1 (00:36)
授業の概要  日本語史の資料となるものは、日本語で書かれているもの全てがそうであると言えるのだが、実際の研究には全てが使われるわけではない。従来、文学作品を中心とした言語史に対しては屢々批判がなされてきたが、現在でも、その批判を充分には乗り越えられずにいるのが現状である。どのような資料を、今後、日本語史に使ってゆくことが望まれるのかを考えたい。
 たとえば、語彙史の基礎的資料としては、語を積極的に登録した辞書や語彙集が中心となる。文学作品等では、どうしても、場面に制約され、使用される語彙にも偏りが生じる。一方で、辞書等は文脈が乏しい、活用語が一部の語形でしか現れないなどの欠点をもつ。
 そのような、日本語史の資料の問題をとりあげ、これからの日本語史研究に、どのように資料を探索して行けばよいかを考えたい。

(We will think about materials to explore the history of Japanese.)
キーワード : 辞書, 語彙集, 節用集, 語形
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項 9月19日-22日
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 : 教職(国語)
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
ML_A-c [研究史と方法論の体系的理解]
史料・文献・作品の分析と解釈などに基づいて、日本語の歴史を理解し説明できる。
日本語史の資料にどのようなものがあり、どのような分野の記述にどのような資料が適しているのかを、多くの分野について把握している。 日本語史の資料にどのようなものがあり、どのような分野の記述にどのような資料が適しているのかを、いくつかの分野について把握していて、他の分野についても、直ぐに搜し出すことが出来る。 日本語史の資料を探そうとした場合に、どのようなツールを使えば探し出せるのかを把握している。 日本語史の資料が、どのようなものであるのかを把握できていない。
ML_A-b [先行研究の読解]
専門分野の基本文献を探し出し、解釈、分析することができる。
日本語史を探るための文献にどのようなものがあり、どのような分野にどのような文献が詳しいかを、多くの分野について把握している。 日本語史を探るための文献にどのようなものがあり、どのような分野にどのような文献が詳しいかを、いくつかの分野について把握していて、他の分野についても、直ぐに搜し出すことが出来る。 日本語史を探るための文献を探そうとした場合に、どのようなツールを使えば探し出せるのかを把握している。 日本語史を探るための文献が、どのようなものであるのかを把握できていない。
ML_A-a [言語データの分析]
日本のさまざまな時代に書かれた文献から、言語史的なデータを取り出すことが出来る。
日本語史の資料を読もうとする際に、原資料を、辞典類を引きながらでも、適切に読むことが出来る。 日本語史の資料を読もうとする際に、原資料を、既存の注釈に頼りつつ、辞典類を引きながらでも、適切に読むことが出来る。 日本語史の資料を読もうとする際に、活字資料であれば、既存の注釈や辞典類を引きながらでも、適切に読むことが出来る。 日本語史の資料を読もうとしても、現代語訳がなければ、内容の把握をすることも出来ない。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : 適宜、プリントを配布する
参考書 : 『日本語の歴史』平凡社ライブラリー
『シリーズ日本語の歴史』岩波書店
授業資料 : http://kokugosi.g.hatena.ne.jp/

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 1日目
日本語史の資料について、外的には金石文・墨書土器等から、紙媒体、電子媒体までさまざまな状態があり、内容上も、漢字・仮名から、他の文字まで、様々なものがあることを確認し、それらと、日本語史の関係を考える。
また、「日本における記録」が「日本語の記録」と等価でないことも確認し、「日本語の記録の歴史」が「日本語の歴史」と等価でないことも確認し、どのようなものが「日本語の歴史」であり、どのように資料を探して行けば、そこに辿り着くのかについて考える。
文学資料が、日本語史研究の中心とされてきたことについても、その必然性と問題点とを考える。
自らの、日本文学史・日本史・日本語文法等の知識が十分であるのかを確認し、不足を感じたら補う。
2 2日目
〈日本語を自覚的に記録した資料〉として、辞書・語彙集を取り上げ、その諸相を見ながら、「近代的辞書」と前近代的辞書との違いを見る。さらに、日本語と日本語表記の関係をも考えて行く。
自分自身が、どのような辞書を有しているのかを確認する。
3 3日目
手書きされた資料と印刷された資料との扱いで注意すべき点を考える。また、二者の中間と呼ぶべきもの等についても、様々な「中間」の状態を考える。
現代社会において、「手書き」が必要である、また望ましいのは、どんな際であるのかを考える。
4 4日目
日本語史資料を電子媒体に載せることについても考える。単に表面を写したものから、テキスト化したもの、タグをつけたもの、等の違いを考え、それぞれ、どのような分野の研究に適しているのかを考える。
媒体を換えた時に、消える情報と、明示される情報に分かれることについて、実例を考えて欲しい。

成績評価
観点→
成績評価方法
ML_A-c
[研究史と方法論の体系的理解]
ML_A-b
[先行研究の読解]
ML_A-a
[言語データの分析]
備考(欠格条件、割合等)
レポート

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 : 大学院生については、レポートで成績を判定する。
学習相談 学習相談 :

授業以外での学習に当たって : 学校文法等を含む古典文学や、日本文学史・日本史の基礎的な知識が不足していると感じた場合には、自ら積極的に補って下さい。

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)