文学部 人文学科 文学コース
独文学 専門分野
専門分野科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
ドイツ文学講義 VI
German Literature (Lecture VI)
講義題目  現代ドイツ文学における「技術」
教授 小黒 康正
科目ナンバリングコード: LET-HUM3631J
講義コード: 19052606
2019 後期
毎週 火曜2限
伊都 A-118 教室
M/J科目 (日本語, German)
授業の概要 前期の講義テーマはドイツ文学における「自然」でした。後期では、西洋の文学や思想においてとかく「自然」の対となる概念「技術」を扱います。より具体的に言えば、ドイツ、それも現代ドイツの文学や思想における「技術」について皆さんと一緒に考えていく計画です。勿論、後期からの受講でもまったく差し支えはありません。

英語の technic やドイツ語の Technik の語源にあたるギリシア語「テクネ」 techne は、芸術や医術や弁論術などの「技芸」とも言うべき広義の「技術」として用いられていましたが、しかし近代に入りますと、主として「生産技術」と言う狭義の「技術」として用いられるようになりました。言うまでもなく、西洋、それもヨーロッパの文学や思想における「技術」の問題は多様で複雑な展開があります。そのことを意識しながら、本講義では近代における「時計」、そして現代における「原発」に焦点を絞って考察を行う予定です。この二点に近現代における「技術」の問題が最も色濃く反映されていることは間違いありません。

ヨーロッパにおける「技術」の複雑な経緯は、ヨーロッパ、それも近現代ドイツの文学や思想に極めて屈折した形で刻み込まれています。本講義では、以下の6冊を扱いながら、「技術」の問題を考察する予定です。6冊全部を読んでいただくのが望ましいですが、心配はご無用、全冊読まれなくても構いません。私としましては、1冊でも多く読んで授業に臨んでいただければ幸いです。多く読んでいただければいただくほど、それだけ皆さんの糧になることは間違いありません。


1.せめぎ合う物質:ホフマンスタール『チャンドス卿の手紙』(1902年)→ 檜山哲彦訳、岩波文庫、1991年。
2.現代テクノロジーの不安: フランツ・カフカ『巣穴』(1928年)→ 『カフカ寓話集I』、池内紀訳、岩波文庫、1998年。
3.現代エコロジー思想の先駆:フリードリヒ・ゲオルク・ユンガー『技術の完成』(1946年)→ F. G. ユンガー研究会訳、今井敦・桐原隆弘・中島邦雄監訳、人文書院、2018年。
4.生きた時間と死んだ時間: ミヒャエル・エンデ『モモ』(1973年)→大島かおり訳、岩波少年文庫、2005年。
5.辺境の時計職人:ヘルタ・ミュラー『心獣』(1994年)→ 小黒康正訳、三修社、2014年。
6.破局としての未来: 多和田葉子『献灯使』(2018年)→講談社、2014年。

 なお、毎回書いていることですが、私の講義は常に次の三つの点で共通しています。(1)本質を問うこと、(2)脱線が多いこと、(3)役に立つこと、以上の三つです。

(1)本講義はドイツ文学の講義ですが、同時に文学の講義でもあります。いわゆる文学入門と解されても構いません。私にとって入門の授業は最も本質を問う授業だと思っています。これまであまり文学作品を読んでこなかった方が受講されても構いません。むしろ大歓迎です。この講義を通じて文学の本質を少しでも理解していただければと思っています。

(2)文学研究は、哲学と並んで、人間とは何か、世界とは何か、自分とは何かを問う学問として、ある種の人間学であります。それだけに、文学研究は、百科全書的であり、別の言い方をしますと、ある種の雑学です。これまで私の授業を受講された先輩や友人にお聞きください、小黒の講義はどんな授業だったかと。受講された多くの方々授業アンケートに書かれました、「雑談が楽しみだった」「雑談が役に立った」「雑談をもっとしてほしかった」などと。当方、文学の本質を問うあまり、ついつい脱線をしてしまいました。

(3)私の授業では、本質を問い、雑談を交えながら、レポートの書き方を指導します。私なりに徹底的にです。その証左として、これまで全員のレポートに朱を入れて返却してきました。かなり大変な作業ですが、体力が続く限り、今回も行うつもりです。分野を問わず、大学でも、社会でも役に立つレポートの書き方を教えます。まあ、私の講義はいわば道場、気軽に門を叩いてください。入門された方々には「竹刀」の振り方を伝授するつもりです。こうした稽古があって初めて「木刀」が振れるようになり、最後に「真剣」勝負ができるようになります。

(Die Vorlesung beschäftigt sich mit der "Technik" in der modernen deutschen Literatur. / The lecture deals with the "technique" in modern German literature.)
キーワード : 技術、ホフマンスタール、フリードリヒ・ゲオルク・ユンガー、ミヒャエル・エンデ、ヘルタ・ミュラー、クリスタ・ヴォルフ、多和田葉子
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
授業計画 テキスト : 授業中に指示する。
参考書 : 授業中に指示する。
授業資料 :

進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 導入
2 講義
3 講義
4 講義
5 講義
6 講義
7 講義
8 講義
9 講義
10 講義
11 講義
12 講義
13 講義
14 予備日
15 予備日

授業以外での学習に当たって :
学習相談 : 本授業の終了後、ならびにオフィスアワー(火曜3限)にて相談に応じる。
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
B_A-a [人文学の視座の理解]
人文学の基礎知識を踏まえて、現代人文学の視座の特質を理解できる。
講義内容に関する問題を十全に説明できる。 講義内容に関する問題を充分に説明できる。 講義内容に関する問題を概ね説明できる。 講義内容に関する問題を説明できない。
B_B2-c [思考能力]
専門分野に固有の問題設定や研究手法を正しく身に付けることができる。
みずからの思索をみずからの言葉でかなりよく論述できる。 みずからの思索をみずからの言葉でよく論述できる。 みずからの思索をみずからの言葉で概ね論述できる。 みずからの思索をみずからの言葉で論述できない。
GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。
成績評価
観点→
成績評価方法
B_A-a
[人文学の視座の理解]
B_B2-c
[思考能力]
備考(欠格条件、割合等)
小テスト
レポート

成績評価基準に関わる補足事項 : 平常点50%+レポート50%(レポートの執筆要領ならびに採点基準を授業中に数回にわけて説明する)
その他 その他 : 基本的に講義形式の授業です。但し、授業中に何度か書いてもらうレスポンスペーパーを通じて、講師と学生との相互交流を図り、授業が一方通行にならないように努めます。なお、この科目はEU研究ディプロマプログラム(EU-DPs)指定科目です。同プログラムについて、詳しくは以下のサイト(http://eu.kyushu-u.ac.jp/indexjp.html)をご参照ください。

教職 :
資格 :

更新日 : 2019/10/3 (10:57)