人文科学府 歴史空間専攻 広域文明史学 分野 西洋史学 専修 専修科目 (単位数 2) 選択必修科目 対象学年: 対象学部等: |
Historical Sources in Early Modern Europe (Seminar I)
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科目ナンバリングコード: 講義コード: 2019 後期 毎週 火曜3限 伊都イーストゾーン 演習室 教室 E/J科目 (日本語, English) |
授業の概要 |
今回は、20世紀転換期イギリス、ブリストルに生きたMary Cliffordという女性の活動、生き方から、女性の仕事とその活動から見えるジェンダー観、階級観、家庭性などを明らかにした論文、Martin, Moira, ‘Single Women and Philanthropy: a case study of women’s associational life in Bristol, 1880-1914’, Women’s History Review, Vol.17, No.3, July 2008, pp.395-417を講読する。 イギリスでは、博愛団体(philanthropy)による貧困者、病者などに対する救済活動が近世以来行われてきた。特に19世紀には、子どもや女性に関わる無償の慈善、救済活動は「女性の領域」として特にミドルクラス以上の女性のリスペクタビリティを保証する営みとして多くの女性たちが関わった。20世紀転換期は、そうした博愛団体による事業が、次第に公的関心のもと制度化され、福祉国家として整備されていく時期である。福祉国家化が、女性の活動の公的事項化を可能にしたが、同時に皮肉なことに、官僚制度のもとで女性がその業務において周辺化されたともいわれる。 本論文は、博愛団体に参加し活動した女性に焦点をあて、その具体を明らかにしている。特に、当時の女性の生き方を規定していた結婚生活、家庭生活と団体活動、公的業務との関係は具体的にはどういったものだったのか。ケーススタディの対象として独身女性に特に注目しているのは、それが当時の女性の生活において重要な要素だったからである。 1960年代の女性運動のなかで、「個人的なことは政治的なことである(The personal is the political.)」という標語が使われたことは有名である。女性の領域とされた私的なこと、個人的なことが、極めて政治的、歴史的、社会的につくられたものであること、にも関わらず非政治性を帯びている(政治性とは無関係な語りを可能にしている)ということ自体が、明るみにだされ、探究の対象でなければならないということを意味している。私的領域、家庭性をその理想的な生きる場所とされ、また自らその領域でイニシアティブをもつことを選んだ中流層の女性たちが、同時に公的な領域で活動するとは、当時の社会においてどういうことを意味していたのか。そして、厳密に言えば自分が形成した家族のいない独身女性という存在は、そこでどういう意味を纏ったのかを探ってみたい。 英語論文を読む前に、出島有紀子「慈善活動と女性のシティズンシップ1870-1900年――英国バーミンガムの<フレンドレス・ガールズ>救済組織を中心に――」『ジェンダー研究』第5号、お茶の水女子大学ジェンダー研究センター、2002年を読み、導入とする。 (This course aims to familiarize students with the source materials available for the study of women's work and life in the turn of 20th century Britain. We would discuss about gender, class and the welfare state through the philanthropic effort by a single woman.) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
キーワード : 女性 職業 福祉国家 20世紀転換期イギリス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
履修条件 : 履修に必要な知識・能力 : | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
特記事項 |
教職 : 資格 : | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
到達目標 |
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー 九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー 九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ 九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ 九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ 九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
授業方法 |
テキスト : Martin, Moira, ‘Single Women and Philanthropy: a case study of women’s associational life in Bristol, 1880-1914’, Women’s History Review, Vol.17, No.3, July 2008, pp.395-417 参考書 : | L.ダヴィドフ、C.ホール著、山口みどり他訳『家族の命運−イングランド中産階級の男と女1780〜1850』名古屋大学出版会、2019年。 授業資料 : 授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
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成績評価 |
GPA評価
成績評価基準に関わる補足事項 : 発表および発言、参加度により評価する。発表の際の、参考文献、論文などの調査および検討も重要なポイントである。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
学習相談 |
学習相談 : メールで申し出てください。適宜対応します。 nonomura.toshiko.868@m.kyushu-u.ac.jp 授業以外での学習に当たって : 論文は、文脈を理解しなければ読むことはできない。担当以外の箇所も必ず読み、不明点、疑問点などを授業で確認すること。 合理的配慮について : 障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。 <相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階) (電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp) |