人文科学府 言語・文学専攻 日本・東洋文学 分野
国語学・国文学 専修
専修科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
日本語史特論 IV
History of Japanese Language (Specialized Lecture IV)
講義題目  言語文化と日本語史―言語と文化の相対化を考える―
教授 高山 倫明
科目ナンバリングコード:
講義コード:
2019 後期
毎週 火曜2限
伊都イーストゾーン 教員室 教室
J科目 (日本語, 日本語)
更新情報 : 2019/9/10 (16:14)
授業の概要  新しい高等学校学習指導要領「国語」に、共通必履修科目「言語文化」が立てられた。指導要領「国語編」解説(平成30年7月)によれば、急速なグローバル化の進展を前提に「自らのアイデンティティーを見極め,我が国の一員としての責任と自覚を深めることが重要であり,先人が築き上げてきた伝統と文化を尊重し,豊かな感性や情緒を養い,我が国の言語文化に対する幅広い知識や教養を活用する資質・能力の育成が必要」であり、これを踏まえて「上代から近現代に受け継がれてきた我が国の言語文化への理解を深めること」に主眼を置いた共通必履修科目を新設した、とある。
 日本の言語文化に対する理解を深めること自体は大いに歓迎すべきことである。ただ、その解説にも「英語など他の言語には見られない,国語に特徴的な語句」とか、「「わび」,「さび」,「あはれ」,「不易流行」など,我が国特有の美意識を表す語」のように、他には見られない、特有の、といった表現が散見されるが、そのような言説は、どのような知見に基づいているのであろうか。
 在留外国人数が年々増加し、さらに、就労を目的とする新たな在留資格が作られ、外国人材の受入れがさらに加速されようとしている現在、様々な集団の中に非母語話者が含まれるのはごくふつうの光景になっている。教育現場も例外ではない。「言語文化」の授業が、反証可能性の低い文化論の押しつけになってしまったら、政府のいう「双方が尊重し合える共生社会の実現」にも逆行することになるだろう。
 筆者は国語教育の専門家ではないが、日本語の歴史を細々と研究してきた立場から、言語と文化の接点を考察し、それぞれを相対化する視点の重要性を、方言のステレオタイプや中央語と方言の関係性とともに考えてみたいと思う。
講義は概ね以下のような順序で進行する。
  一 普遍か特殊か
  二 言語の相対化
  三 文化の相対化
  四 中央語と方言

(This lecture considers Japanese and Japanese culture based on a historical point of view. )
キーワード : 日本語史 言語文化 音声学 方言ステレオタイプ 中央語
履修条件 : 特になし
履修に必要な知識・能力 :
特記事項
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 : 教職(国語)
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
ML_A-c [研究史と方法論の体系的理解]
国語学・国文学、中国文学、英語学・英文学、独文学、仏文学、言語学ないしはこれらの領域を横断する研究のうち一つを対象として、当該分野における研究史と方法論を体系的に説明できる。
日本語史研究の方法を広く深く理解している。 日本語史研究の方法を広く理解している。 日本語史研究の方法を概ね理解している。 日本語史研究の方法を十分に理解するに至らない。
ML_A-b [先行研究の読解]
文学を対象とする領域では、過去に蓄積された重要な文献、とりわけ古典を厳密かつ精確に読解し、先行研究を踏まえつつその内実を深く掘り下げて説明できる。
先行研究をよく理解し、批判的に分析することができる。 先行研究を理解し、批判的に分析することができる。 先行研究に関する一定以上のの知識を持つ。 先行研究に関する知識に不足する。
DL_B1-a [自立した研究活動]
人文基礎の領域において、新たな方法論や知見を提起しうる研究者として自立した研究活動ができる。
講義内容を正しく理解し、批判的に自らの考えを展開することができる。 講義内容を正しく理解し、自らの考えを展開することができる。 講義内容を理解し、自らの考えも持つことができる。 講義内容を概ね理解できる。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : プリントを配布し、スライド資料を併用する。
参考書 :
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 普遍か特殊か
2 普遍か特殊か(承前)
3 言語の相対化(本居宣長と五十音図の論)
4 言語の相対化(大和言葉を考える)
5 言語の相対化(大和言葉を考える、承前)
6 言語の相対化(音声学(Phonetics)と音素論(Phonemics))
7 文化の相対化(言語と文化の接点)
8 文化の相対化(言語と文化の接点、承前)
9 文化の相対化(書き言葉の歴史)
10 文化の相対化(エティック(etic)とイーミック(emic))
11 中央語と方言(中央語の歴史)
12 中央語と方言(中央語と方言―「古語は辺境に残る」という言説―)
13 中央語と方言(言語変化の不可避性)
14 中央語と方言(「方言コスプレ」とステレオタイプ)
15 総括

成績評価
観点→
成績評価方法
ML_A-c
[研究史と方法論の体系的理解]
ML_A-b
[先行研究の読解]
DL_B1-a
[自立した研究活動]
備考(欠格条件、割合等)
レポート

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 :
学習相談 学習相談 : 木曜5時限目のオフィスアワーの他、可能なかぎり随時相談に応じる。メールでの問い合わせも可(アドレスは配布資料に記載する)。

授業以外での学習に当たって :

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)