文学部 人文学科 哲学コース
倫理学 専門分野
専門分野科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
倫理学基礎論講義 VIII
Basic Theories of Ethics (Lecture VIII)
講義題目  東西のニヒリズム — ニーチェ、ハイデッガー、西谷啓治
京都工芸繊維大学基盤科学系 教授 秋富 克哉
科目ナンバリングコード: LET-HUM3178J
講義コード:
2023 前期
集中
伊都イーストゾーン 教室
M/J科目 (日本語, German)
更新情報 : 2023/4/3 (13:13)
授業の概要 ニーチェが主張し、ハイデッガーが批判的に継承した「ニヒリズム」は、かつて宗教や哲学の根本的問題であった。しかし、昨今、この言葉はほとんど聞かれなくなったようである。「ニヒリズム」はすでに超克されたのだろうか。それとも、そこにはまた別の特殊な事情があるのだろうか。本講義の目的は、私たちの世界を考えるため、改めてこの主題を取り上げることにある。講義では、ニヒリズムという主題を、その独自な伝統との連関で問うたニーチェとハイデッガーの思想を考察すると同時に、ヨーロッパ起源のこの主題を近代日本の立場にとって受け止めた西谷啓治の思想を紹介して考察する。特に、20世紀の戦後世界を生きたハイデッガーと西谷両者の思想的立場を、ニーチェとの対決、ニヒリズム思想の内実、現代の技術世界への洞察といったことを比較の対象として、順次取り上げていきたい。

(“Nihilism”, which was asserted radically by Nietzsche for the first time and deepened critically by Heidegger again, was once a fundamental problem of religion and philosophy. However, the word seems to be almost unheard of these days. Has "nihilism" already been overcome? Or are there other special circumstances? The purpose of this lecture is to take up this subject again in order to consider our world. The lecture will examine the ideas of Nietzsche and Heidegger, who questioned the theme of nihilism in relation to their own traditions, and at the same time introduce and discuss the ideas of Keiji Nishitani, who accepted this theme of European origin from the standpoint of modern Japan. In particular, we would like to discuss the positions of both Heidegger and Nishitani, who lived in the postwar world of the 20th century, by considering their confrontation with Nietzsche, the contents of nihilist thought, and their insight into the modern technological world.)
キーワード : ニヒリズム、歴史、世界、神、存在、無、宗教、技術
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項 2023年7月25日(火)より28日(金)まで
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
U_A-1 [主体的な学び]
深い専門的知識と豊かな教養を背景とし、自ら問題を見出し、創造的・批判的に吟味・検討することができる。
哲学の広範かつ確実な基礎知識を踏まえ、現代世界と人間に関わる問題について多様な哲学的アプローチ(問いの設定)を十分に理解できる。 哲学の基礎知識を踏まえ、現代世界と人間に関わる問題について多様な哲学的アプローチ(問いの設定)を理解できる。 哲学の基礎知識を踏まえ、現代世界と人間に関わる問題について哲学的アプローチ(問いの設定)を理解できる。 哲学の基礎知識が不十分で、現代世界と人間に関わる問題について多様な哲学的アプローチ(問いの設定)を理解することができない。
U_B-1 [人文学の広範な知識と理解]
人文学全般の多様な専門分野の基礎知識を身につけ、人文学固有の思考や方法を説明できる。
「言葉」に対する自覚的かつ反省的な関わりを通して、その可能性の射程を十分に測るとともに、人間存在への理解をしっかりと深めることができる。 「言葉」に対する自覚的かつ反省的な関わりを通して、その可能性の射程を測るとともに、人間存在への理解を深めることができる。 「言葉」に対する自覚的かつ反省的な関わりを通して、人間存在への理解を持つことができる。 「言葉」に対する自覚的かつ反省的な関わりに関心を持たず、言葉の可能性の射程や人間存在への理解を深めることができない。
U_B-2 [専門分野の知識と理解]
それぞれの専門分野の諸領域のそれぞれの基礎知識、その領域に固有の問題設定や研究手法を身につけ、それらを説明できる。
哲学の領域で古典となったテクストに忠実に向かい、その内実を正しく理解する。また、テクスト相互の関係をしっかりと押さえ、種々の論点を広く取り出すことができる。 哲学の領域で古典となったテクストに忠実に向かい、その内実を正しく理解する。また、テクスト相互の関係を押さえ、種々の論点を取り出すことができる。 哲学の領域で古典となったテクストの内実をほぼ正しく理解する。また、テクスト相互の関係をある程度押さえることができる。 哲学の領域で古典となったテクストの内実、テクスト相互の関係を十分に押さえることができない。
U_B-3a [哲学コース固有の課題]
過去の思想やその表現に対する批判的考察を通じて、人間存在を深く理解し、それを説明できる。
主題となっている事象を総合的かつ有機的にしっかりと把握して、自分の着実な力とすることができている。 主題となっている事象を総合的かつ有機的に把握する能力を身に付けることができている。 主題となっている事象を一定程度把握する能力を身に付けることができている。 主題となっている事象を総合的かつ有機的に把握する能力を身に付けることができない。
U_C-1-1 [文献分析力]
それぞれの専門分野の基本文献を正確に解釈、分析することができる。
与えられた主題を、普遍性と個別性の双方の観点から徹底的に考察し、現代世界のなかに位置づけて豊かに思考する能力を身に付ける。 与えられた主題を、普遍性と個別性の双方の観点から考察し、現代世界のなかに位置づけて思考する能力を身に付ける。 与えられた主題を適度に理解し、現代世界のなかに位置づけて思考する能力を身に付ける。 与えられた主題を、普遍性と個別性の双方の観点から考察し、現代世界のなかに位置づけて思考する能力を身に付けることができない。
U_C-2-1 [知識・理解の深化と統合]
それぞれの専門分野の内容に関する深い理解と、学問固有の思考方法、研究手法を獲得し、知識を有機的に総合し、論文を作成することができる。
講義内容と自らの問題関心を自発的に結びつけ、そこから新たな種々の主題を見出し展開する積極性を持つ。 講義内容と自らの問題関心を結びつけ、そこから新たな主題を見出し展開する積極性を持つ。 講義内容と自らの問題関心を結びつけて考察する積極性を持つ。 講義内容と自らの問題関心を結びつけ、そこから新たな主題を見出し展開する積極性が認められない。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : ・板書
・テキスト(紙媒体)
参考書 :
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 西谷啓治『ニヒリズム』を紹介し、講義全体の概要と目的を述べる。
2 西谷啓治『ニヒリズム』のニーチェの記述をもとに、ニーチェのニヒリズム思想と西谷のスタンスを考察する(1)。
3 西谷啓治『ニヒリズム』のニーチェの記述をもとに、ニーチェのニヒリズム思想と西谷のスタンスを考察する(2)。
4 西谷啓治『ニヒリズム』のニーチェの記述をもとに、ニーチェのニヒリズム思想と西谷のスタンス、さらにハイデッガーへの言及を考察する(3)。
5 ハイデッガーの『ニーチェ講義』をもとに、ニーチェのニヒリズム思想とハイデッガーのスタンスを考察する(1)。
6 ハイデッガーの『ニーチェ講義』をもとに、ニーチェのニヒリズム思想とハイデッガーのスタンスを考察する(2)。
7 ハイデッガーの『ニーチェ講義』をもとに、ニーチェのニヒリズム思想とハイデッガーのスタンスを考察する(3)。
8 ニーチェのニヒリズム理解を再検討して、ハイデッガーと西谷双方のアプローチを考察する。自由なディスカッションを行う。
9 ハイデッガーの「存在の歴史」の立場を踏まえ、ハイデッガー自身のニヒリズム理解を考察する(1)。
10 ハイデッガーの「存在の歴史」の立場を踏まえ、ハイデッガー自身のニヒリズム理解を考察する(2)。
11 ハイデッガー後期の技術理解を取り上げ、ニヒリズムとの連関を考察する。
12 西谷の『宗教とは何か』をもとに、「空」の立場について考察し、合わせてニヒリズムの超克について論じる(1)。
13 西谷の『宗教とは何か』をもとに、「空」の立場について考察し、合わせてニヒリズムの超克について論じる(2)。
14 西谷の『宗教とは何か』をもとに、現代技術への洞察とニヒリズムの関係について述べる。特に、この書における歴史理解を考察する。
15 全体の総括の後、自由なディスカッションを行う。

成績評価
観点→
成績評価方法
U_A-1
[主体的な学び]
U_B-1
[人文学の広範な知識と理解]
U_B-2
[専門分野の知識と理解]
U_B-3a
[哲学コース固有の課題]
U_C-1-1
[文献分析力]
U_C-2-1
[知識・理解の深化と統合]
備考(欠格条件、割合等)
レポート 毎回授業の最後に簡単な感想(コメント)を書いてもらう。

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 :
学習相談 学習相談 :

授業以外での学習に当たって :

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)