文学部 人文学科 歴史学コース
西洋史学 専門分野
専門分野科目 (単位数 1)
選択必修科目
対象学年:
対象学部等:
ヨーロッパ史学演習 XA
European History (Seminar X)A
講義題目  ホロコーストの特異性(シンギュラリティ)とは何か?U
准教授 今井 宏昌
科目ナンバリングコード: LET-HUM3443J
講義コード:
2023 秋クォータ
毎週 月曜3限
伊都イーストゾーン 西洋史研 教室
M/J科目 (日本語, German)
更新情報 : 2023/4/16 (22:53)
授業の概要  ホロコーストはいわずと知れた人類史上未曾有の大量殺戮であり、その過去をめぐってはドイツのみならず、文字通り世界規模での議論が展開されてきた。特にドイツの学界や世論にとって決定的な意味をもったのは、1986年に巻き起こった「ドイツ歴史家論争」であった。そこではホロコーストのもつ「唯一無比」な性格、いわば「特異性(シンギュラリティ)」が重視され、それ以降、ホロコーストを比較史的に扱うことはしばしタブーとされた。しかし、そのようなタブーはもはや破られつつあり、近年ではホロコーストが他の大規模暴力と複合的に結びついた現象であること、それゆえ比較こそ重要な手法であることが共通認識となりつつある。
 本演習では、このような研究の流れを踏まえながら、ミヒャエル・ヴィルト「ホロコーストの特異性とは何か?」(2022年)をテキストとして採用する。
 演習中は⽂法の確認のほか、歴史的な背景や⽂脈、歴史⽤語や専⾨⽤語などを適宜解説する。

(In this seminar, students will continue to develop their knowledge and reading skills in history. Students need to interpret an essay and documents written in German on the "Singularity of the Holocaust" for their presentations.)
キーワード :
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項 テキストについての詳細は、Moodleのコースを参照(後期開始前に掲載)。
出席は演習への参加を通じて確認する。
連絡先:imai*lit.kyushu-u.ac.jp(*は@)

この科目はEU研究ディプロマプログラム(EU-DPs)開講科目に該当する。同プログラムについて、詳しくは以下のサイトを参照のこと。http://eu.kyushu-u.ac.jp/indexjp.html
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 : 教職(社会)(地理歴史)
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
U_A-1 [主体的な学び]
深い専門的知識と豊かな教養を背景とし、自ら問題を見出し、創造的・批判的に吟味・検討することができる。
深い専門的知識と豊かな教養を背景とし、自ら問題を見出し、創造的・批判的に吟味・検討することができる。 深い専門的知識と豊かな教養を背景とし、自ら問題を見出し、創造的・批判的に吟味・検討することがある程度できる。 深い専門的知識と豊かな教養を背景とし、自ら問題を見出す。 深い専門的知識と豊かな教養を背景とし、自ら問題を見出せない。
U_B-3b [歴史学コース固有の課題]
先行研究を批判的に読む中で自らの問題関心を鋭敏にし、史・資料を解読し史跡を調査することにより、自らの視角から、ある特定の地域と時代の社会像を復原できる。
先行研究を批判的に読む中で自らの問題関心を鋭敏にし、史・資料を解読し史跡を調査することにより、自らの視角から、ある特定の地域と時代の社会像を復原できる。 先行研究を批判的に読む中で自らの問題関心を鋭敏にし、史・資料を解読し史跡を調査することにより、自らの視角から、ある特定の地域と時代の社会像をある程度復原できる。 先行研究を批判的に読む中で自らの問題関心を鋭敏にし、史・資料を解読し史跡を調査することができる。 先行研究を批判的に読む中で自らの問題関心を鋭敏にし、史・資料を解読し史跡を調査することができない。
U_C-1-1 [文献分析力]
それぞれの専門分野の基本文献を正確に解釈、分析することができる。
専門分野の基本文献を精確に解釈、分析することができる。 専門分野の基本文献を解釈、分析することがある程度できる。 専門分野の基本文献を邦訳することができる。 専門分野の基本文献を邦訳することができない。
U_C-1-4 [外国語運用能力]
外国語の運用能力を高め、自らの考えを表現できる。また、自らが所属する専門分野が扱わない外国語を学び、言語の多様なあり方を説明できる。
外国語の運用能力を高め、自らの考えを表現できる。また、自らが所属する専門分野が扱わない外国語を学び、言語の多様なあり方を説明できる。 外国語の運用能力を高め、自らの考えを表現できる。また、自らが所属する専門分野が扱わない外国語を学び、言語の多様なあり方をある程度説明できる。 外国語の運用能力を高め、自らの考えを表現できる。 外国語の運用能力を高め、自らの考えを表現できない。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : Michael Wildt, Was heißt: Singularität des Holocaust?, in: Zeithistorische Forschungen/Studies in Contemporary History, Online-Ausgabe, 19 (2022), H. 1.
URL: https://zeithistorische-forschungen.de/1-2022/6022
参考書 : ロバート・イーグルストン(田尻芳樹/太田晋訳)『ホロコーストとポストモダン:歴史・文学・哲学はどう応答したか』(みすず書房、2013年)
ヴォルフガング・ヴィッパーマン(増谷英樹[他]訳)『ドイツ戦争責任論争:ドイツ「再」統一とナチズムの「過去」』(未來社、1999年)
ダン・ストーン(上村忠男編訳)『野蛮のハーモニー:ホロコースト史学論集』(みすず書房、 2019年)
ティモシー・スナイダー(池田年穂訳)『ブラックアース:ホロコーストの歴史と警告』(慶應義塾大学出版会、2016年)
ジグムント・バウマン(森田典正訳)『近代とホロコースト(完全版)』(筑摩書房、2021年)
J・ハーバーマス[他](徳永恂[他]訳)『過ぎ去ろうとしない過去:ナチズムとドイツ歴史家論争』(人文書院、1995年)
フランク・バヨール/ディータァ・ポール(中村浩平/中村仁訳)『ホロコーストを知らなかったという嘘:ドイツ市民はどこまで知っていたのか』(現代書館、2011年)
ヴォルフガング・ベンツ(中村浩平/中村仁訳)『ホロコーストを学びたい人のために(新装版)』(柏書房、2012年)
マイケル・ベーレンバウム(石川順子/高橋宏訳)『ホロコースト全史』(創元社、1996年)
石田勇治/武内進一編『ジェノサイドと現代世界』(勉誠出版、2011年)
石田勇治/福永美和子編『現代ドイツへの視座 歴史学的アプローチ〈1〉:想起の文化とグローバル市民社会』(勉誠出版、2016年)
石田勇治/川喜田敦子編『現代ドイツへの視座 歴史学的アプローチ〈2〉:ナチズム・ホロコーストと戦後ドイツ』(勉誠出版、2020年)
芝健介『ホロコースト:ナチスによるユダヤ人大量殺戮の全貌著』(中央公論新社、2008年)
高橋秀寿『ホロコーストと戦後ドイツ:表象・物語・主体』(岩波書店、2017年)
武井彩佳『歴史修正主義:ヒトラー賛美、ホロコースト否定論から法規制まで』(中央公論新社、2021年)
永岑三千輝『アウシュヴィッツへの道:ホロコーストはなぜ、いつから、どこで、どのように』(横浜市立大学学術研究会、春風社 (発売)、2022年)
根本正一『民主主義とホロコースト:ワイマール/ナチ時代のホワイトカラー』(現代書館、2018年)
橋本伸也編『せめぎあう中東欧・ロシアの歴史認識問題:ナチズムと社会主義の過去をめぐる葛藤』(ミネルヴァ書房、2017年)
橋本伸也編『紛争化させられる過去:アジアとヨーロッパにおける歴史の政治化』(岩波書店、2018年)
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 テキストに関する説明 演習
2 テキストの読解 演習
3 テキストに関する討論 演習

成績評価
観点→
成績評価方法
U_A-1
[主体的な学び]
U_B-3b
[歴史学コース固有の課題]
U_C-1-1
[文献分析力]
U_C-1-4
[外国語運用能力]
備考(欠格条件、割合等)
プレゼンテーション 60%ほど。
授業への貢献度 40%ほど。
出席 5回以上(クォーターの場合は3回以上)の欠席は除籍とする。

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 : 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染が懸念される状況にある、ないし疑わしい症状がある場合は、当日の授業開始までにMoodleのメッセージ機能やメールで教員まで連絡すること。
学習相談 学習相談 : オフィスアワーのほか、必要であれば個別に面談(その際、事前に連絡すること)。

授業以外での学習に当たって : 毎週テキストの指定部分を事前に通読し、不明な点や疑問に思う点などを予め確認しておくこと。

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)