文学部 人文学科 人間科学コース
社会学・地域福祉社会学 専門分野
専門分野科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年: 2年生 3年生 4年生
対象学部等:
地域福祉社会学講義 IX
Sociology of Community Welfare (Lecture IX)
講義題目  地域福祉社会学講義\
松山大学人文学部社会学科 教授 山田 富秋
科目ナンバリングコード: LET-HUM4871J
講義コード:
2023 後期
集中
伊都イーストゾーン 教室
E/J科目 (日本語, English)
更新情報 : 2023/3/31 (14:15)
授業の概要 この講義では臨床社会学の視点と方法の習得を目指す。臨床社会学はナラティヴ・アプローチを採用する。それは、上からの政策的な視点ではなく、苦悩する人々の視点に立つ質的研究方法である。具体的には人々の生きられた経験の語り(ナラティヴ)を、語りの背後にある社会的・歴史的文脈へ位置づけることを通して、具体的な苦悩を当事者の見地から理解しようとする。授業で取り上げるトピックは(1)精神障害者を初めとした障害者の処遇の歴史(2)薬害HIV感染被害問題(3)ハンセン病問題の順番で、臨床社会学的アプローチから明らかになる世界を提示する。(1)では隔離収容主義の時代からノーマライゼーションと共生社会までの歴史をたどり、(2)ではメディアの単純な善悪二元論と薬害被害者の「生きられた経験」とのズレに焦点を当て、(3)では被害者であると同時に生活者でもあるハンセン病回復者の語りを歴史的文脈に即して理解する。ここから、苦悩する人々に対する「ケア」の可能性を探求する。

( This course aims to open the new approach to the lived experience of social sufferings which is that of the clinical sociology. The clinical sociology is the qualitative research method which tries to embed the narratives of the suffering people in the adequate social and historical context to understand them from the standpoint of themselves. Three topics are examined in terms of this approach. The first is the historical treatment of the disabled from the mentally ill to the severely handicapped. The second is the HIV tainted blood product incident in Japan in 1980s. The third is the prolonged incarceration of the patients of the Hansen's disease in Japan. We explore the possibilities of providing care to the suffering people based on the examination of the three topics.)
キーワード : 臨床社会学 ナラティヴ 当事者の見地
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項 2024年2月初旬の予定
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
U_B-1 [人文学の広範な知識と理解]
人文学全般の多様な専門分野の基礎知識を身につけ、人文学固有の思考や方法を説明できる。
臨床社会学的アプローチについて基本的視点を理解できるだけでなく、具体的な社会問題に応用できる。 人文学の中の社会学の基礎知識を踏まえて、臨床社会学の視座の特質を理解できる。 人文学の中の社会学の基礎知識について理解できる。 人文学の中の社会学の位置づけがある程度理解できる。
U_C-2-1 [知識・理解の深化と統合]
それぞれの専門分野の内容に関する深い理解と、学問固有の思考方法、研究手法を獲得し、知識を有機的に総合し、論文を作成することができる。
臨床社会学の基礎知識に基づいて、社会的苦悩への質的研究方法を踏まえた多様なアプローチを理解できる。 臨床社会学の基礎知識に基づいて、人間と社会のあり方とそれへの多様なアプローチを理解できる。 社会学の基礎知識に基づいて、人間と社会のあり方とそれへの多様なアプローチを理解できる。 社会学の基礎知識に基づいて、人間と社会のあり方を理解できる。
U_B-3d [人間科学コース固有の課題]
「人間」・「社会」に対する自覚的かつ反省的な関わりを通じて、人間存在への理解を深め、学生自ら設定したテーマで論文を作成できる。
現代世界における様々な社会問題を、臨床社会学的な視点から、当事者の見地に立って理解し説明できる。 現代世界における様々な社会問題を、臨床社会学的な視点から批判的に理解し説明できる。 現代世界における様々な社会問題を社会学的に理解し、批判的に説明できる。 現代世界における様々な社会問題を、批判的視点から理解し説明できる。
U_A-2 [協働]
多様な知の交流を行い、他者と協働し問題解決にあたることができる。
社会問題について批判的な討論を行い、当事者の視点を踏まえた多面的な視点から、自分の意見を組み立てる姿勢を養うことができる。 社会学の基礎を踏まえた批判的な討論を通して、自らの意見を多面的に組み立てる姿勢を養うことができる。 批判的な討論を通して、自らの意見をより客観的視点から組み立てる姿勢を養うことができる。 批判的な討論を通して、自らの意見を組み立てる姿勢を養うことができる。
U_C-1-2 [研究手法]
それぞれの専門分野に固有の問題設定を理解し、研究手法を正しく身に付けて実践し、必要な史資料や文献を収集できる。
質的研究能力に基づいて、研究成果を系統立てて整理する論理的思考能力を、社会学や教育分野を初めとした様々な職種へと活用できる。 質的研究能力に基づいて、研究成果を系統立てて整理する論理的思考能力を、様々な分野で活用できる。 社会学の研究能力に基づいて、研究成果を系統立てて整理する論理的思考能力を、様々な分野で活用できる。 社会学の研究能力に基づいて、研究成果を整理する論理的思考能力を、ある程度応用できる。
U_A-1 [主体的な学び]
深い専門的知識と豊かな教養を背景とし、自ら問題を見出し、創造的・批判的に吟味・検討することができる。
当事者の見地という新たな視点から問題提起を行い、それを解決するための臨床社会学的方法を提示する能力を身に付ける。 社会学的視点から新しい問題提起を行い、それを解決するための方法を提示する能力を身に付ける。 社会学的視点から問題提起を行い、それを解決するための方法を提示する能力を身に付ける。 従来の視点から問題提起を行い、それを解決するための方法を提示する能力を身に付ける。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義 各講義終了毎に、コミュニケーションカードに質問とコメントを書いてもらい、次の授業の最初に、優秀なコメントを紹介し、寄せられた質問に応答することによって、授業の内容の一層の理解を図る。
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : 授業資料(電子媒体)とスライド資料(電子媒体)をmoodle上で配付する。
参考書 : 山田富秋,2011年『フィールドワークのアポリア』せりか書房
山田富秋,2020年『生きられた経験の社会学』せりか書房
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 臨床社会学とナラティヴ・アプローチの概説 授業資料の予習 1.5時間
授業へのコメント1.0時間
授業の復習   1.5時間
2 隔離収容主義におけるケアの可能性−石川信義の描く1960年代の精神科病棟 授業資料の予習 1.5時間
授業へのコメント1.0時間
授業の復習   1.5時間
3 ゴッフマンの全制的施設論 授業資料の予習 1.5時間
授業へのコメント1.0時間
授業の復習   1.5時間
4 自立生活運動と障害学の誕生 授業資料の予習 1.5時間
授業へのコメント1.0時間
授業の復習   1.5時間
5 コミュニティ・ケアと長野県の「さくら会」の試み 授業資料の予習 1.5時間
授業へのコメント1.0時間
授業の復習   1.5時間
6 薬害エイズ問題のメディア報道と生きられた経験とのズレ 授業資料の予習 1.5時間
授業へのコメント1.0時間
授業の復習   1.5時間
7 薬害HIV感染被害者のナラティヴ 授業資料の予習 1.5時間
授業へのコメント1.0時間
授業の復習   1.5時間
8 感染告知とインフォームドコンセント 授業資料の予習 1.5時間
授業へのコメント1.0時間
授業の復習   1.5時間
9 スティグマとしてのHIV/AIDSの現在 授業資料の予習 1.5時間
授業へのコメント1.0時間
授業の復習   1.5時間
10 ハンセン病者をめぐる近代日本の隔離政策−戦前と戦後 授業資料の予習 1.5時間
授業へのコメント1.0時間
授業の復習   1.5時間
11 療養所入所者の語りから見る長島愛生園の歴史 授業資料の予習 1.5時間
授業へのコメント1.0時間
授業の復習   1.5時間
12 戦後のハンセン病政策 授業資料の予習 1.5時間
授業へのコメント1.0時間
授業の復習   1.5時間
13 沖縄におけるインテグレーション政策 授業資料の予習 1.5時間
授業へのコメント1.0時間
授業の復習   1.5時間
14 ハンセン病コントロールにおける「宮古方式」の独自性 授業資料の予習 1.5時間
授業へのコメント1.0時間
授業の復習   1.5時間
15 まとめ−社会的苦悩とケアの可能性 授業資料の予習 1.5時間
授業へのコメント1.0時間
授業の復習   1.5時間

成績評価
観点→
成績評価方法
U_B-1
[人文学の広範な知識と理解]
U_C-2-1
[知識・理解の深化と統合]
U_B-3d
[人間科学コース固有の課題]
U_A-2
[協働]
U_C-1-2
[研究手法]
U_A-1
[主体的な学び]
備考(欠格条件、割合等)
授業への貢献度 コミュニケーションカードの提出 30%
レポート 最終レポートの提出 70%

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 : 各授業終了時のコミュニケーションカードの内容とレポートの合算で評価する。評価の内訳は、それぞれ、コミュニケーションカード=30%+レポート=70%とし、合計100%とする。
学習相談 学習相談 :

授業以外での学習に当たって : 授業資料の予習 1.5時間 コミュニケーションカードの提出 1.0時間 授業の復習 1.5時間

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)