文学部 人文学科

人文学科共通科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
西洋古典学講義 IV
Occidental Classics (Lecture IV)
講義題目  古代文芸論における基礎的概念の検討
桜美林大学リベラルアーツ学群 准教授 田中 一孝
科目ナンバリングコード: LET-HUM4092J
講義コード:
2023 後期
集中
伊都イーストゾーン 仏文学演習室 教室
M/J科目 (日本語, ギリシャ語)
更新情報 : 2023/4/3 (13:00)
授業の概要 この授業の目標は、西洋古代における文芸論のおける基礎概念を理解し、その特徴を言葉で説明できるようになることです。たとえば、現代では文芸作品を芸術としてとらえることがありますが、古代には芸術という概念は存在しませんでした。その代わりに、「模倣(ミーメーシス)」という概念が重要な役割を果たしていました。また、現代は文芸作品を「フィクション/ノンフィクション」という区分を用いて鑑賞しますが、古代にはそうした概念は存在しませんでした。それでは古代の人々は、芸術やフィクションなどの概念を持たずに、どのように文芸を鑑賞していたのでしょうか。ひょっとしたら、現代で当たり前のように用いられている概念の方が特殊なものかもしれませんよね。この授業では、文芸について集中的に論じたプラトンやアリストテレスの議論を中心に検討し、その歴史的意義を考えてもらいます。

(The aim of this course is to understand the basic concepts of literary criticism in ancient philosophy and to explain their characteristics. For example, literary works are sometimes regarded as art, but the concept of art did not exist in antiquity. Instead, the concept of 'mimesis' (imitation) played an important role. Also, while today we appreciate literary works using the concenpts of 'fiction/nonfiction,' such a category did not exist in antiquity. So how did ancient people appreciate literary works without concepts such as art and fiction? In this course, we will examine the arguments of Plato and Aristotle, who discussed poetry and artistic works, and consider their historical significance.)
キーワード : ギリシヤ哲学 文芸論 プラトン アリストテレス 芸術
履修条件 : 特になし
履修に必要な知識・能力 : 特になし
特記事項 2024年1月29日−2月2日に開講予定。
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
U_B-1 [人文学の広範な知識と理解]
人文学全般の多様な専門分野の基礎知識を身につけ、人文学固有の思考や方法を説明できる。
先行研究の状況を十分に理解し、現代においてプラトンとアリストテレスの文芸論がどのように評価されているのかを説明できる。 先行研究の状況を理解する姿勢を持ち、現代においてプラトンとアリストテレスの文芸論がどのように評価されているのかを説明できる。 先行研究の状況を理解する姿勢を持っているものの、プラトンとアリストテレスの文芸論を自らの観点から理解しようとしている。 先行研究を参照せず、プラトンとアリストテレスの文芸論を独自に理解しようとする。
U_C-1-1 [文献分析力]
それぞれの専門分野の基本文献を正確に解釈、分析することができる。
西洋古代特有の概念を理解するために、様々なテキストを参照して精緻に検討することができる。 西洋古代特有の概念を理解するために、様々なテキストを参照して検討することができる。 西洋古代特有の概念を理解するために、限られたテキストのみを参照する。 現代の概念をそのまま当てはめて、西洋古代特有の思考を理解しようとする。
U_C-1-2 [研究手法]
それぞれの専門分野に固有の問題設定を理解し、研究手法を正しく身に付けて実践し、必要な史資料や文献を収集できる。
西洋古典学のメソドロジーを踏まえて、各種ツールがあることや、文献探索方法について十分に理解している。 西洋古典学のメソドロジーを踏まえて、各種ツールがあることや、文献探索方法について理解している。 西洋古典学研究のための各種ツールがあることや、文献探索方法について理解している。 西洋古典学のメソドロジーを考慮しないで文献を読解しようとする。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義 授業担当教員による解説(又は板書)を主とした形態であり,時折,学生との問答を通じて,関連の知識を深めていきます。
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : スライド資料のファイルを配布します。
参考書 : 〇以下の日本語訳を読んでおくと、授業をより楽しめるでしょう。
・プラトン・藤沢令夫(訳)(1979)『国家』岩波文庫
※全集版がありますが、手に取りやすい文庫版であれば、上巻の第2-3巻と下巻の10巻を読んでください。
・プラトン・森進一(訳)(1975)『プラトン全集:イオン』岩波書店
・アリストテレス・朴一功(訳)(2017)『アリストテレス全集:詩学』
※アリストテレス全集は古いものと新しいものがあります。新しい方を読んでください。

〇プラトンが中心ですが、専門的な議論について日本語で予習したいのであれば、拙著があります。
・田中一孝(2015)『プラトンとミーメーシス』京都大学学術出版会

〇古代の文芸論全般を扱ったとても優れた研究書としては以下があります。全部を読むのは大変なので、たとえばアリストテレスのカタルシスに興味があるのであれば、その部分だけ読むという読み方がいいでしょう。
・Halliwell, S.(2002), The Aesthetics of Mimesis: Ancient Texts and Modern Problems,Princeton; Princeton University Press.
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 古代における哲学と詩のジャンル論(1):哲学と詩の争い? 授業開始までに、参考書の欄に示した『国家』と『イオン』、『詩学』を日本語訳で読むことを強く推奨します。
2 古代における哲学と詩のジャンル論(2):知者としての詩人
3 古代における哲学と詩のジャンル論(3):フィクション概念の不在
4 詩的狂気の伝統
5 模倣概念史(1):プラトン以前の用法
6 模倣概念史(2):プラトンの模倣芸術論
7 模倣概念史(3):アリストテレスの模倣概念
8 模倣概念史(4):プラトンの残響
9 理想国家における検閲(1):芸術は世界を映す鏡か
10 理想国家における検閲(2):プラトン『国家』『法律』における倫理主義的芸術論
11 理想国家における検閲(3):アリストテレス『政治学』
12 アリストテレスの悲劇論(1):美的快楽
13 アリストテレスの悲劇論(2):カタルシス
14 アリストテレスの悲劇論(3):ミュートス
15 観衆の「共感」と劇場支配制

成績評価
観点→
成績評価方法
U_B-1
[人文学の広範な知識と理解]
U_C-1-1
[文献分析力]
U_C-1-2
[研究手法]
備考(欠格条件、割合等)
レポート レポートで100%評価します。

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 :
学習相談 学習相談 :

授業以外での学習に当たって :

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)