人文科学府 人文基礎専攻 哲学・倫理学 分野
倫理学 専修
専修科目 (単位数 2)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
西洋倫理学特論 VIII
Western Ethics (Specialized Lecture VIII)
講義題目  東西のニヒリズム — ニーチェ、ハイデッガー、西谷啓治
京都工芸繊維大学基盤科学系 教授 秋富 克哉
科目ナンバリングコード:
講義コード:
2023 前期
集中
伊都イーストゾーン 教室
M/J科目 (日本語, German)
更新情報 : 2023/4/3 (13:20)
授業の概要 ニーチェが主張し、ハイデッガーが批判的に継承した「ニヒリズム」は、かつて宗教や哲学の根本的問題であった。しかし、昨今、この言葉はほとんど聞かれなくなったようである。「ニヒリズム」はすでに超克されたのだろうか。それとも、そこにはまた別の特殊な事情があるのだろうか。本講義の目的は、私たちの世界を考えるため、改めてこの主題を取り上げることにある。講義では、ニヒリズムという主題を、その独自な伝統との連関で問うたニーチェとハイデッガーの思想を考察すると同時に、ヨーロッパ起源のこの主題を近代日本の立場にとって受け止めた西谷啓治の思想を紹介して考察する。特に、20世紀の戦後世界を生きたハイデッガーと西谷両者の思想的立場を、ニーチェとの対決、ニヒリズム思想の内実、現代の技術世界への洞察といったことを比較の対象として、順次取り上げていきたい。

(“Nihilism”, which was asserted radically by Nietzsche for the first time and deepened critically by Heidegger again, was once a fundamental problem of religion and philosophy. However, the word seems to be almost unheard of these days. Has "nihilism" already been overcome? Or are there other special circumstances? The purpose of this lecture is to take up this subject again in order to consider our world. The lecture will examine the ideas of Nietzsche and Heidegger, who questioned the theme of nihilism in relation to their own traditions, and at the same time introduce and discuss the ideas of Keiji Nishitani, who accepted this theme of European origin from the standpoint of modern Japan. In particular, we would like to discuss the positions of both Heidegger and Nishitani, who lived in the postwar world of the 20th century, by considering their confrontation with Nietzsche, the contents of nihilist thought, and their insight into the modern technological world.)
キーワード : ニヒリズム、歴史、世界、神、存在、無、宗教、技術
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項 2023年7月25日(火)より28日(金)まで
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
G_A-1 [修士:人文学と現代文化の理解]
人文学の知識をもとに、現代文化のあり方とそれへの多様なアプローチを説明できる。
対象とする思想家の一次テクストを厳密に読解し、その内実と思想的可能性を的確に把握することができる。 対象とする思想家の一次テクストを厳密に読解し、その内実を的確に把握することができる。 対象とする思想家の一次テクストをある程度読解し、その内実を大まかに把握することができる。 対象とする思想家の一次テクストを厳密に読解することができず、またその内実を的確に把握することができない。
G_A-2 [修士:専修分野の知識と理解]
当該分野における研究史と方法論を説明できる。
主題となっている事柄の歴史と内実の全体を正しく把握し、その将来的射程を的確に捉える。 主題となっている事柄の歴史と内実を正しく把握し、その将来的射程を的確に捉える。 主題となっている事柄の歴史と内実をある程度把握し、その将来的射程を自分なりに受け止める。 主題となっている事柄の歴史と内実、およびその将来的射程を、的確に捉えることができない。
G_B-1-2a [修士:文献の読解力]
過去に蓄積された重要な文献、とりわけ古典を厳密かつ精確に読解し、先行研究を踏まえつつ批判的に考察することができる。
講義の主題と自らの研究領域ないし問題関心を相互に照らし合わせ、その全体を理論的に説得的に展開できる。 講義の主題と自らの研究領域ないし問題関心を相互に照らし合わせ、その全体を理論的に展開できる。 講義の主題と自らの研究領域ないし問題関心を関係づけ、多少なりとも理論的に展開できる。 講義の主題と自らの研究領域ないし問題関心を相互に照らし合わせて、その全体を理論的に展開することができない。
G_B-1-4 [修士:表現力]
専門分野の内容に関する深い理解と、学問固有の思考方法を獲得し、高度に専門的な知識を有機的に総合できる。
把握した内実をもとに、さらに種々の主題へと展開させ、自らの関心とする積極性を身に付ける。 把握した内実をもとに、さらに種々の主題へと展開させる積極性を身に付ける。 把握した内実をもとに、関連する主題との連関を探る。 把握した内実をもとに、さらに種々の主題へと展開させる積極性を持たない。
G_B-2-1 [修士:知識・理解の深化と統合]
新たな視点から問題提起を行い、それを解決するための方法を提示できる。
G_B-2-2 [修士:独創性]
新たな視点から問題提起を行い、それを解決するための方法を提示できる。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : ・板書
・テキスト(紙媒体)
参考書 :
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 西谷啓治『ニヒリズム』を紹介し、講義全体の概要と目的を述べる。
2 西谷啓治『ニヒリズム』のニーチェの記述をもとに、ニーチェのニヒリズム思想と西谷のスタンスを考察する(1)。
3 西谷啓治『ニヒリズム』のニーチェの記述をもとに、ニーチェのニヒリズム思想と西谷のスタンスを考察する(2)。
4 西谷啓治『ニヒリズム』のニーチェの記述をもとに、ニーチェのニヒリズム思想と西谷のスタンス、さらにハイデッガーへの言及を考察する(3)。
5 ハイデッガーの『ニーチェ講義』をもとに、ニーチェのニヒリズム思想とハイデッガーのスタンスを考察する(1)。
6 ハイデッガーの『ニーチェ講義』をもとに、ニーチェのニヒリズム思想とハイデッガーのスタンスを考察する(2)。
7 ハイデッガーの『ニーチェ講義』をもとに、ニーチェのニヒリズム思想とハイデッガーのスタンスを考察する(3)。
8 ニーチェのニヒリズム理解を再検討して、ハイデッガーと西谷双方のアプローチを考察する。自由なディスカッションを行う。
9 ハイデッガーの「存在の歴史」の立場を踏まえ、ハイデッガー自身のニヒリズム理解を考察する(1)。
10 ハイデッガーの「存在の歴史」の立場を踏まえ、ハイデッガー自身のニヒリズム理解を考察する(2)。
11 ハイデッガー後期の技術理解を取り上げ、ニヒリズムとの連関を考察する。
12 西谷の『宗教とは何か』をもとに、「空」の立場について考察し、合わせてニヒリズムの超克について論じる(1)。
13 西谷の『宗教とは何か』をもとに、「空」の立場について考察し、合わせてニヒリズムの超克について論じる(2)。
14 西谷の『宗教とは何か』をもとに、現代技術への洞察とニヒリズムの関係について述べる。特に、この書における歴史理解を考察する。
15 全体の総括の後、自由なディスカッションを行う。

成績評価
観点→
成績評価方法
G_A-1
[修士:人文学と現代文化の理解]
G_A-2
[修士:専修分野の知識と理解]
G_B-1-2a
[修士:文献の読解力]
G_B-1-4
[修士:表現力]
G_B-2-1
[修士:知識・理解の深化と統合]
G_B-2-2
[修士:独創性]
備考(欠格条件、割合等)
レポート 毎回授業の最後に簡単な感想(コメント)を書いてもらう。

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 :
学習相談 学習相談 :

授業以外での学習に当たって :

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)