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文学部長挨拶

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九州大学文学部の近況 ―遠隔授業のなかの一年間―

文学部長 清水 和裕

文学部同窓会会員の皆様、いかがお過ごしでしょうか。新型コロナ(COVID-19)が猛威を振るうなか、みなさまそれぞれに大変な一年間をお過ごしであったことと、推察いたします。

二〇二〇年四月より、佐伯弘次前学部長に代わって清水が文学部長を拝命いたしました。上山あゆみ教授(言語学)・遠城明雄教授(地理学)を副研究院長に迎え、三人で文学部の運営をすすめております。何卒よろしくお願い申し上げます。

本年度は、文学部にとっても試練の年であり、同時に遠隔授業という新たな授業スタイルを開始したという点で出発の年でもありました。この一年間、入学式を始め多くの行事が中止となり、対面の授業もほとんどできず、学生の皆さんはキャンパスに足を踏み入れることも、講座の友人と談笑することもできませんでした。遠隔授業は、教員にとっても学生諸君にとっても全く未知の試みであり、いくつかの不都合も発生しました。しかし、一方で、距離を問わず大学の授業に参加できるという新しい生活スタイルは、一部の学生さんに思いがけない利点をもたらした面もあるようです。今後、対面とオンラインの二つの授業スタイルの良い面を合わせて活用することが、文学部にも問われていくことになります。

さて、例年に則って、文学部の近況をご報告いたします。

まず学生諸君の動向ですが、二〇二〇年三月に一四八名の学士課程卒業者と三〇名の大学院修士課程修了者を送り出しました。四月には、一五四名の学士課程入学者と、三一名の大学院修士課程入学者、一四名の博士後期課程進学・入学者を迎えました。また九月には、五名の学士課程卒業者、五名の修士課程修了者を送り出し、十月には九名の修士課程入学者を迎えました。

AOⅡ型入試の文学部国際コースは三年目となり、本年も十名の新入生を迎えました。第一期生は三年生になり、二期生は二年生として専門課程に進学しましたが、国際的な活躍を目指す国際コースにとって、事実上留学の道が閉ざされた本年度の状況には難しいものがありました。一刻も早く再び国際社会の門戸が開き、学生諸君が自由に各国に羽ばたける日が来ることを望んでやみません。また、文系四学部合同で運営する「文系四学部副専攻プログラム」は本年度、第一期の修了生を送り出します。それに先だって、人文科学府では副専攻プログラム修了生を対象とした「文系四学部副専攻プログラム入試(クロス入試)」の制度を開始し、実施いたしました。文系学部の垣根を超えた新しいタイプの学生を養成することが期待されています。

学生の受賞として、博士後期課程三年の辻大地氏が第十一回日本学術振興会育志賞を受賞しました。また、二〇一九年度の学府長賞には、大賞に高木留美氏(英語学・英文学専修)・陳陸琴氏(言語学専修)の二名が、優秀賞には川崎優氏(倫理学専修)・岩元恕文氏(イスラム文明史学専修)・池田奈央氏(独文学専修)の三名が選ばれました。

教員については、二〇二〇年三月をもちまして、後小路雅弘教授(芸術学)、高木彰彦教授(地理学)が定年で退職なさいました。先生方の文学部に対する長年のご貢献に、この場を借りて感謝を申し上げたいと思います。また七月三〇日付けでアシュトン・ラザラス講師(広人文学)が退職され、ユタ大学に転出されました。

一方、教員の採用については、二〇二〇年十月一日付けで元特定プロジェクト助教のヤン・ユー氏が講師(広人文学)として採用になり、着任されました。この人事は、昨年度に申請し採択された大学改革活性化制度改革計画「人文学国際教育研究拠点の拡充による国際日本学の展開」によるものです。

さらに二〇二〇年四月一日付で、香月比呂助教、二宮愛理助教、稲森雅子助教が、五月一日付けで山田絵美助教が、七月一日付で石川健助教が着任されました。また特定プロジェクト教員(旧外国人教師)としては四月一日付で景浩准教授(中国文学)が着任されました。同じく特定プロジェクト教員(旧外国人教師)ウルリヒ・ヨハネス・バイル教授は、新型コロナ禍の影響で大幅に来日が遅れ、十二月一日付の着任となりました。バイル教授の着任に当たっては関係各位に多大なご尽力をいただきました。感謝いたします。

二〇二〇年は総長改選に伴い、石橋達朗総長の下で九州大学全学の新執行部体制が発足いたしました。文学部に関わることといたしましては、宮本一夫教授(考古学)が副学長・九州大学附属図書館長を任期満了に伴って辞され、代わって十月より久保智之教授(言語学)が同じく副学長・附属図書館長に就任されております。宮本先生、六年間ありがとうございました。

また本年度は、井口千雪講師(中国文学)が二〇二〇年度日本中国学会賞を受賞されております。

人文科学研究院の事業として、例年九州大学出版会から出版している人文学叢書については、第十六巻に、人文科学府長賞大賞受賞論文から出版する(甲)として酒井健太朗『アリストテレスの知識論:『分析論後書』の統一的解釈の試み』を、第十七巻に、人文科学研究院に所属する教員の単著(乙)としてクラーマー・スベン助教の『昭和の大合併と住民の帰属意識』を、刊行しました。

令和元年度から始まった概算要求事業「人文学国際教育研究拠点の整備事業」は二年目を迎えています。国際的研究教育活動に制限がかかるなかでも、積極的に事業を展開し、十月には部局内措置として人文学国際研究センターを設置しました。二〇二一年一月から三月にかけては公開講座「東洋染織品の移動と変容」(協力:京都国立博物館)を全四回にわたってオンライン開催をし、多くの受講者を集めています。

概算要求事業の一環であるJICA開発大学院連携プログラム「日本を知るためのプログラム」も二年目を迎えました。本プログラムは順調に受講生を増やし、現在四二名の世界各地からの留学生が登録・受講をして、英語によって日本の開発体験と日本学についての教育を受けています。

人文・法・経・人環の文系四部局の連携による人社系協働教育・研究コモンズは、九州大学人社系の活動を結びつける中心的な組織として、その活動を活発化させています。前述の「副専攻プログラム」はその教育面での試みですが、研究面においても精力的にいくつものシンポジウムを開催しました。

社会連携について、朝日カルチャーセンター福岡との連携講座は、前期は中止となりましたが、後期には無事実施の運びとなり、人間科学コースによる「人間科学の最前線」を開講しました。言語運用総合研究センターは、例年の国語教育セミナーを中止しましたが、日本語教育セミナー・言語聴覚療法セミナーは二〇二一年二月から三月にかけて、オンラインで実施となっております。また国際交流の面では、韓国東義大学校人文社会大学との部局間交流協定が改定され、またグラスゴー大学との学術交流が行われました。

末尾ながら会員の皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。未曾有の新たな状況を迎えつつも、文学部はますます発展して参ります。今後とも同窓生の皆様のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

(しみず かずひろ イスラム文明史学)

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