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文学部長挨拶

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九州大学文学部の近況

文学部長 上山 あゆみ

文学部同窓会会員の皆様、いかがお過ごしでしょうか。まだ新型コロナウィルスの感染者数は多いものの、少しずつ以前の生活様式に戻そうという機運も見られるようになってきていると思います。一日も早く、安心してマスク無しの生活を送れるようになることを願ってやみません。

さて、本年度からは、文学部長として上山、副研究院長として遠城明雄教授(地理学)、青木博史教授(国語学)、の三人の体制で、文学部を運営しております。引き続きご支援をよろしくお願い申し上げます。

今年度からは、プログラミングが学習内容とされる「情報」科目が高校の必修となり、令和七年度には、この新課程の学生が大学に入学してくることになります。社会全体としてもデジタル化への関心が高くなり、大学法人の第四期中期目標・中期計画においてもデジタル社会に対応できる大学を目指すことが求められています。人文科学研究院では、二〇二二年度から六年間に渡って、文部科学省大学教育再生戦略推進費「デジタルと掛けるダブルメジャー大学院教育構築事業 ~Xプログラム~」の助成を受けることになりました。これは、大学院人文科学府、統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻、数理・データサイエンス教育研究センターが連携することによって、人文情報学(デジタルヒューマニティーズ)の修士課程の設置を目指すものです。人文学とデータサイエンスの両方を修めることによって、高度人文情報人材を養成することを目指しています。教員自身も必ずしも人文情報学の全貌を把握しているわけではありませんが、この取り組みがこれまでの人文学の蓄積を未来につないでいく使命を果たす一端になればと思っています。

昨年度、文学部では、同窓会の皆様のお力を得て、文学部と同窓会の共催による文学部就職支援セミナーを開催いたしましたが、本年度も引き続き、オンラインにて文学部就職支援セミナーを行いました。十一月十六日、十一月三十日、十二月七日、十二月二十一日、一月十一日の五日間にかけて、北九州市、九州電力、西日本鉄道、福岡銀行、テレビ西日本、明治安田生命、福岡市、福岡県、西日本新聞社、株式会社麻生・官庁の担当者の方々が、それぞれ学生の皆さんと就職相談を実施してくださいました。昨年よりも参加企業・官庁も増え、喜ばしい限りです。快くご協力をいただきました倉富同窓会会長、またすべての面においてお骨折りをいただきました常任幹事の長井雅典様(仏文学)はじめ同窓会のみなさまに心より感謝の言葉を述べさせていただきます。どうもありがとうございました。今後も引き続きこのような企画を継続し、文学部の学生さんたちを支援するとともに、同窓会の重要性をアピールしていきたいと考えております。

さて、例年にならって、本年度の文学部の近況をご報告いたします。

まず学生についてですが、二〇二二年三月に一四九名の学士課程卒業者と二九名の大学院修士課程修了者を送り出しました。四月には、一六二名の学士課程入学者と、三一名の大学院修士課程入学者、十四名の博士課程進学・入学者を迎えました。また九月には、二名の学士課程卒業者、九名の修士課程修了者、二名の博士後期課程修了者を送り出し、十月には三名の修士課程入学者と三名の博士課程入学者を迎えました。

総合選抜Ⅱ型入試の文学部国際コースは五年目となりましたが、本年は、国際コース始まって以来、応募者が九名しかおらず、定員(十名)を下回ってしまうという事態に見舞われました。パンデミックがほぼ三年続いた結果、せっかくの国際コースであるにもかかわらず、先輩たちがほとんど留学の機会を得ることができなかったことが大きな原因かと推測しています。しかし、集中的な英語・国際日本学教育を受けたことが卒業後のキャリアに生かされることは間違いないと確信していますので、二〇二三年度は、あらためて広報活動にも力を入れようと思っています。

二〇二一年度の学府長賞には、大賞に田中美佳氏(朝鮮史学専修)・林愼将氏(英語学・英文学専修)の二名が、優秀賞には濱岡桜氏(インド哲学史専修)・松倉宏真氏(イスラム文明史学専修)・石川充ユージン氏(独文学専修)の三名が選ばれました。

教員については、二〇二二年三月をもちまして、久保教授(言語学)が定年で、今里准教授が名古屋大学への転出のため、退職なさいました。久保教授は学部長を経験されただけでなく、ご退職の間際まで全学の委員として文学部に多大なご貢献をしてくださいました。お二人に、この場を借りて深く感謝を申し上げたいと思います。

一方、教員の採用・昇任については、二〇二二年四月一日付で荒木和憲准教授(日本史学)、十月一日付で前田雅子准教授(英語学・英文学)が着任され、四月一日に青木博史准教授(国語学・国文学)が教授に、今井宏昌講師(西洋史学)が准教授に、そして五月一日に大西克智准教授(哲学・哲学史)が教授に昇任されました。また十二月一日には九州大学のSENTAN-Q と呼ばれる制度を修了して太田真理講師(言語学)が准教授に昇任されました。年度内には、このほか二名の採用人事と二名の昇任人事が行われており、来年のこの場でご報告することとなります。さらに助教としては二〇二二年四月一日付で、米良ゆき助教、田中美佳助教、大澤遼可助教が着任されました。人文科学研究院の事業として例年九州大学出版会から出版している人文学叢書について、二〇二一年度は、第二十巻に人文科学府長賞受賞大賞受賞論文から出版する(甲)として須藤龍真氏の『古典インドの議論学:ニヤーヤ学派と仏教徒との論争』を、第二十一巻に人文科学研究院に所属する教員の単著(乙)として林愼将助教(二〇二一年度当時)のLabels at the Interfaces: On the Notions and the Consequences of Merge and Contain を刊行し、二〇二二年度は、第二十二巻に、人文科学研究院に所属する教員の単著(乙)として大澤遼可助教の『ノヴァーリスにおける統合的感官としての「眼」:「自己感覚」から「心情」へ』を、刊行しました。

令和元年度から始まった概算要求事業「人文学国際教育研究拠点の整備事業」は昨年度で終了しました。人文・法・経・人環の文系四部局の連携による人社系協働教育・研究コモンズも順調に事業を展開しています。

社会連携について、朝日カルチャーセンター福岡との連携講座は、本年度も無事実施の運びとなり、文学コースによる「本当は教えたくない、知られざる作家・すぐれた注釈家たち」と人間科学コースによる「人間科学が捉える時間と空間」を開講しました。言語運用総合研究センターは、本年度はコロナ禍前と同様に、国語教育セミナー・日本語教育セミナー・言語聴覚療法セミナーを行なっております。

以上、末尾ながら会員の皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。今後とも同窓生の皆様のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

(うえやま あゆみ 言語学)

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