九州大学文学部・大学院人文科学府・大学院人文科学研究院

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国語学・国文学研究室

文献からの出発

全国屈指の蔵書量を誇り、資料に即した実証主義的学風が本研究室の特色である。地方であることは、この情報化時代にあってはもはやマイナスではなく、むしろ中央を相対化する視点をもたらしてくれると考えてよい。またグローバリゼーションの時代でもあるが、母語やそれによって構築され蓄積されてきた文化に対する深い理解と明確な価値観が、より一層求められていると確信する(それらをことさら特別視し祭り上げる風潮には与しないが)。同時に世界への発信を急務と考え、海外からの留学生の積極的な受け入れにも努めている。

このような基本姿勢のもと、国語学(日本語研究)の分野では日本語の時間的変容(日本語史)と空間的変容(方言)の研究を中心的課題に据え、これまでの学問的蓄積の継承・発展を期するとともに、時代の趨勢を踏まえた様々なアプローチを行っている。また、国文学(日本文学研究)では、堅実な文献学・訓詁注釈に立脚した実証主義を貫き、各時代にわたる文学作品の内実を解明するとともに、それをとりまく社会状況の精神史的意味の追究を行っている。

授業の多くは演習形式で行われ、資料の読解や、各自が持ち寄ったテーマについての討議が中心となる。大学院においては、修士論文や博士論文の目標をしっかりと定め、その進捗状況を定期的に発表することが課せられる。各自の研究テーマは自主性に任されており、提出される論文は時代・分野・方法も多種多様である。スタッフ一同は、教科書的知識の習得ではなく、新たな知識を得るための方法論、そして、真理にむかって自由に研究を楽しむ喜びを、ここで知ってほしいと願っている。

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教員

青木 博史(AOKI Hirofumi)国語学・国文学講座/教授

  • 専門
    日本語文法史
  • 専門分野
    語形成、ヴォイス、複文など、多岐に亘る文法現象の歴史的研究。中世末期言語資料の文献学的研究。
  • 主要業績
    『語形成から見た日本語文法史』(ひつじ書房、2010年)
    『日本語文法の歴史と変化』(編著、くろしお出版、2011年)
    『日本語歴史統語論序説』(ひつじ書房、2016年)
    『文法化・語彙化・構文化』(共著、開拓社、2020年)

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川平 敏文 (KAWAHIRA Toshifumi) 国語学・国文学講座/教授

  • 専門
    近世文学・思想史
  • 専門分野
    17~18世紀における思想と文学の動態を研究している。特に徒然草の受容史、俳文学史(俳論・俳文中心)、近世随筆、学者・文人の伝記研究など。
  • 主要業績
    『兼好法師の虚像―偽伝の近世史』(平凡社、2006年)
    『徒然草の十七世紀―近世文芸思潮の形成』(岩波書店、2015年)
    『長崎先民伝注解』(共編、勉誠出版、2016年)
    『徒然草 無常観を超えた魅力』(中公新書、2020年)

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岡田 貴憲 (OKADA Takanori) 国語学・国文学講座 / 准教授

  • 専門
    中古文学
  • 専門分野
    平安時代物語・日記文学の研究。特に、『源氏物語』ほか作り物語の注釈的研究、および平安仮名日記の資料的研究。
  • 主要業績
    『『和泉式部日記』を越えて』(勉誠出版、2015年)
    『『和泉式部日記/和泉式部物語』本文集成』(共編著、勉誠出版、2017年)
    『ひらかれる源氏物語』(共編著、勉誠出版、2017年)
    『『堤中納言物語』滴注』(共著、新典社、2023年)
    『平安仮名日記本文考』(武蔵野書院、2023年)

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古川 大悟(FURUKAWA Daigo)国語学・国文学講座/講師

  • 専門
    古代語文法
  • 専門分野
    推量・推定の助動詞を中心とする古代日本語助動詞の研究。
  • 主要業績
    「萬葉集のラシ:ベシとの関係をふまえて」『国語国文』92-10(2023年)
    「『詞林采葉抄』の論述の特徴:「奈良都」・「忍照難波」の読解を通じて」『萬葉』236(2023年)
    「「推量」認識の史的展開」『国語語彙史の研究 42』(和泉書院、2023年)
    「助動詞ムの意味:意志から推量へ」『国語国文』92-2(2023年)

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