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比較宗教学研究室

宗教の内へそして宗教を超えて

本研究室の活動には二本の柱がある。ひとつは、人類の知恵の蓄積が現代世界の激しい変化のなかで、どのような形をとるかを考えること(対象としての宗教とその周辺)。もうひとつは、生きられた経験と生活世界のほうから、あくまで現場をふまえて実証的に考えること(方法としての文化人類学)。そのいずれか一方にかたよらないことが理想である。

構成員(2022年度)は、教員2名、院生4名、研究生2名、学部生25名(内休学2名)である。卒業論文執筆のための演習に加えて、調査実習の演習と、外部の非常勤講師2名を招聘しての集中講義がある。

本年度の調査実習は、ライフヒストリー調査を行っている。身近でよく知っているように思える事柄であっても、よくよく目を凝らして観察し、話を聞いてみれば、驚くほど多くの発見があることを授業を通して体感することができるだろう。

卒論演習では、日常生活の中で気に留まるような小さな疑問から、研究に値する問いを立て、独自の調査を行うことを目指す。2年生では先行研究の読み方から自らの卒業論文の問いをたて、3年生では各自のフィールドワークを行い、4年生で卒業論文の形に成形する。そのため進学希望者は、2年進学時にはある程度の読書も済せ、何を研究したいかがあきらかになっていることが望ましい。また3年進学時には現地調査を行うので人との関わりを疎んじない姿勢が好ましい。

大学院生になると、研究テーマを深め、調査の目を国外にも向ける必要も生じる。ゼミ内での発表と議論を経て、研究会・学会など学外での活動にも羽を大きく広げていくことになる。学会活動としては、事務局としては九州人類学会を支え、『九州人類学会報』を中心に盛んな活動をおこなっている。また西日本宗教学会では、例会を中心として、積極的な貢献を果たしている。

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教員

飯嶋 秀治 (IIJIMA, Shuji) 共生社会学講座/准教授

  • 専門
    共生社会システム論、調査地は日本、バリ、オーストラリア
  • 専門分野
    現在は主にオーストラリア先住民アランタの研究を行っている。主な関心は、人が危機に直面した時にその危機といかにつきあうのか、ということにある。その危機とのつきあい方の1つに宗教が大きく関わってくる。但し、世界社会と言われる現代において、調査地と調査者とは、既に幾つもの関わりの中を生きてしまっている。そうした関わりの中で、適切な言葉を与えて関係を見やすくすること、また、そこから立ち現われる生の可能性の共有を思索している。
  • 主要業績
    『言語と身体−聖なるものの場と媒体』(共著、岩波書店、2004年)
    『福の民 暮らしのなかに技がある』(編著、福岡市、2010年)
    『フィールドワークの安全対策』(共著、古今書院、2020年)

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高橋 沙奈美 (TAKAHASHI Sanami) 共生社会学講座/講師

  • 専門
    宗教社会学、ロシア、ウクライナの地域研究
  • 専門分野
    宗教は普遍的価値に基づいた信者集団の連帯を説くトランスナショナルな性格を持つ一方で、土着の要素を取り込んで特定集団のアイデンティティと記憶を担保するナショナルな性格を持つ。これらの狭間で、①ロシアにおける聖人崇敬と記憶の問題、②社会貢献活動を通じたウクライナの教会と社会の関係を研究テーマとしている。宗教が国家権力の統制下に置かれ続けていた地域で、宗教的共同体が果たしうる公共的な役割の可能性と限界について考えていきたい。
  • 主要業績
    『ソヴィエト・ロシアの聖なる景観─社会主義体制下の宗教文化財、ツーリズム、ナショナリズム』(単著、北海道大学出版会、2018)
    『ロシア正教会古儀式派の歴史と文化』(共著、明石書店、2019)
    『宗教遺産テクスト学の創成』(共著、勉誠出版、2022

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