沿革
本学は、既設の東京帝国大学、京都帝国大学のほかに九州の地に帝国大学をという機運のもと、1903(明治36)年4月に京都帝国大学の一分科として設置された京都帝国大学福岡医科大学を母体に、1911(明治44)年1月1日、九州帝国大学として開学しました。以来百年にわたって知の拠点として機能しています。
文学部は、1924(大正13)年9月勅令第224号をもって法文学部の一学科として発足し、勅令第225号により法文学部の講座名称及びその数が規定されました。
戦後の1947(昭和22)年10月、帝国大学令が改正され、帝国大学は国立総合大学となり、本学の名称も九州大学と改められました。ついで1949(昭和24)年4月、法文学部が分離し、文学部が独立しました。同年5月には学制改革が行われ、旧制の九州大学は新制の九州大学に包括されました。また、1953(昭和28)年4月には新制度による大学院が発足し、文学研究科が開設されました。
文学部は設立当初20講座を有し、その後いくつかの講座が増設整備されましたが、1998(平成10)年に発足した大学院人間環境学研究科に文学部人間科学科所属の5講座9名が移動し、その結果、4学科24講座3大学科目の規模となりました。
また、1999(平成11)年5月の学校教育法の改正を機に、九州大学では、自律的に変革し活力を維持し続けるシステムの形成を模索し、2000(平成12)年4月の「全学大学院重点化」の完了と同時に、「学府・研究院制度」を全国で初めて導入しました。これは、大学院の教育研究組織である「研究科」を、大学院の教育組織としての「学府」と、教員の所属する研究組織「研究院」とに分離して、相互の柔軟な連携を図るもので、文学部は、大学院教育組織「大学院人文科学府」、研究組織「人文科学研究院」、学士教育組織「文学部」の体制となりました。2018(平成30)年9月に、長い伝統を持つ箱崎キャンパスから伊都キャンパスイーストゾーンに移転し、人文学の研究・教育の拠点としてさらなる発展の機運に満ちています。
人文科学研究院は、研究促進の母体として諸学問分野の伝統を重んじ、哲学、歴史学、文学の3部門の下に19講座を置いています。
大学院人文科学府は、研究者および高度専門職業人の育成を旨とし、個別の学問分野を基礎としながらも、人文学諸学問分野の多様性と有機的連関とに重きを置いて、人文基礎、歴史空間論、言語・文学の3専攻の下、10分野18専修、1コースから構成されています。
文学部は、幅広い人文学的な知識を習得し、人文学的な思考法を身につけることによって、知性と人間性を練磨する場として全体を一学科(人文学科)とし、哲学、歴史学、文学、人間科学の4コースの下に21の専門分野が置かれています。また、総合型選抜による国際コースが存在します。
本学部の卒業生は、第1期生の出た1928(昭和3)年から2021(令和3)年3月までの間に、旧制1,069名、新制9,378名、計10,447名に達しています。卒業生は、教育界、官界、さらには広く実業界にも迎えられており、現代社会の変化に対応できる新たな人材の育成に努めています。
大学院については、旧制大学院課程による文学博士の学位を授与された者43名、1953(昭和28)年4月設置の新制度による文学研究科の修士課程(2年)、博士(後期)課程(3年)における文学修士の称号を授与された者2,191名、博士の学位を授与された者253名となっています。また、論文提出により博士の学位を授与された者は、279名です。
I. 人文科学研究院の理念
- 人類が過去に遺した東西の伝統的文化遺産を継承し、その中に示される普遍的価値をさらに発展させ、人間の精神生活の豊饒化および人間性の尊厳の確立に寄与する。
- 現代社会が直面する危機的な諸問題に真摯に取り組み、人文科学の観点からその解決への指針を探求し提示することに努める。
II. 人文科学研究院の研究目的・研究目標
- 研究目的
(1)「人間の学」としての人文科学の確立
(2)原典の精確で豊かな理解、理論と実証の高度な融合
(3)国際レベルの研究の推進 - 研究目標
(1)「共同研究プロジェクト」の計画・実施
(2)国際レベルの個別研究及び相互交流の促進
III. 文学部の教育目的・教育目標
- 教育目的
(1)人文科学としての幅広い教養の修得
「基本的素養」、「思考力・表現力」、「総合的視野」の養成を図り、個別の分野の越えた、人文科学としての幅広い教養を身につけさせる。
(2)基礎的な知識を基にした専門教育の充実 - 教育目標
(1)「文学部コアカリキュラム」の導入
(2)「コース共通科目」の充実
(3)専門分野教育の一層の充実
IV. 人文科学府の教育目的・教育目標
- 教育目的
(1)総合的な教育の推進
多彩な専門分野の結集する学際的な本学府の特徴を活かし、個別の専門分野にとどまらない総合的、学際的なカリキュラムを導入することにより、「環境問題」や「グローバル化」といった現代社会の諸問題に対処できる人材の養成を行う。
(2)国際的な研究教育の推進
(3)必ずしも大学教員を目指さない大学院生など、学生の多様化に対応した教育の実施 - 教育目標
(1)学際的な知識・教養を身につけさせるために開講されている「現代文化論」科目の改善および充実
(2)高学歴社会に相応しい大学院教育を行うためカリキュラムなどの検討を行う。