イスラム文明は、地中海から中央アジアにいたる諸文明が交差することで生まれた、史上屈指の文明である。その核となるイスラムは、単に人々の心のよりどころとなるだけではなく、政治・経済・社会の諸制度の形成に中心的な役割を果たしてきた。本研究室は、このようなイスラム文明の諸現象を歴史学的に解明するために創設された。異なる文明の異なる意識や価値観と向き合うため、ここでは、何よりも一次史料にふれることを大切にしている。アラビア語、ペルシア語、トルコ語といった現地語史料を通じて、対象とする時代や地域社会のあり方を学ぶのである。
一方、自由闊達な研究が、本研究室のモットーでもある。教員の研究分野や授業内容にとらわれず、自ら新しい研究分野に挑戦し、新しい問題意識を開拓する意欲ある学生をこそ求めている。異文化の歴史に対する旺盛な好奇心をもち、自主性に富んだ諸君とともに、新しい歴史学を生み出したい。