学会誌『デアルテ』の電子公開について
九州藝術学会 会員の皆様
初夏の日差しがまぶしく感じられる季節となりました。会員の皆様にはご健勝のことと拝察いたします。
さて、九州芸術学会では、近年、学会誌『デアルテ』の電子公開について、主に総会の場で議論してきました。第88回大会(2013年)総会において、デアルテ投稿規定の改定に関し、
将来的なデアルテの電子公開に関わる図版著作権の問題が話題になりました。翌年90回大会では、具体的に、『デアルテ』電子公開の要望がありましたので、幹事会として検討していく旨回答いたしました。
総会での意見の中には、作品の図版使用に関して慎重な意見もありましたし、デアルテのうち図版の問題がなく、学術的に見ても貴重な「ミュージアム・ミュージアム」を、とりあえず電子公開する意見もありました。
その後、91回92回と総会等で検討状況を報告し意見を交わしてまいりましたが、総会参加者は限られることから、ここで、これまでの意見と、それをふまえての幹事会の考えを、会員諸氏にお知らせし、
以下の4つの課題に関しまして、皆様の意見を広く求めることで、今後の活動の指針にしたいと考えました。
1. 公開方法について
幹事会の方針案→「九州大学学術情報リポジトリ」に登録して公開する。
論文の電子公開には、主に次の3つの登録方法があります。
(1)国立情報学研究所(NII) (美学会『美学』など*『美学』は5/22にJ-STAGEに移行)
(2)J-STAGE(例:日本哲学学会『哲学』)
(3)各大学図書館の学術(機関)リポジトリ(例:広島芸術学会『藝術研究』)
ただ、国はJ-STAGEに一本化する方針のため、登録先は、実際にはJ-STAGE、あるいはどこかの大学図書館のリポジトリのふたつの選択肢に絞られると思われます。
このふたつのどちらに登録するか幹事会で議論をしました。学術(機関)リポジトリが、雑誌やニュースレター、リーフレットなど紙媒体で発行されたものをオンラインで公開することが想定されているのに対し、
J-STAGEは、本格的な電子ジャーナルが想定されています。つまり、一切紙媒体は使わず、投稿から査読、校正、掲載、発行までの一貫したシステムが特徴です。論文を一刻も早く全世界に向けて公開したい理科系の論文発表が想定されているようです。
九州大学附属図書館の学術(機関)リポジトリである「九州大学学術情報リポジトリ」は、デアルテ本体を提出し、当該箇所を指示すれば、登録してもらえます。図版のマスキングなども指示すればきれいにやってくれます。
一方J-STAGEは、学会の方で公開のための電子的なコンテンツを作成しなければなりません。したがって、学会や事務局の規模から考えると、当学会としてJ-STAGEに登録することは手間や経費の面で、少なくとも現状では、現実的ではないように思われます。
では、学術(機関)リポジトリは大学図書館ならどこの大学でも良いかといえばそうではなく、編集事務局が一貫して九州大学に置かれてきたことを根拠に、『デアルテ』は九州大学の成果物として、九州大学学術情報リポジトリに登録を認められました。
したがって、ほかの大学においてその大学の成果物として登録が認められることは難しいと思われます。どこの大学図書館に登録するかという点では、九州大学以外はかなり難しいと思われます。
こうしたことから、九州大学学術リポジトリに登録して公開することが、現実的な選択であると、幹事会では考えました。しかし、(九州大学に事務局が置かれてきたとはいえ)当学会と九州大学はまったく別の組織であり、その学会誌が九州大学の成果物として公開されることには、慎重な意見がありましたし、否定的な意見があることも当然だろうと思います。
2. 図版掲載の問題について
幹事会の方針案→論文執筆者が掲載を希望し、かつ著作権処理および所蔵家の掲載許諾が
得られた図版のみ掲載する。
美術史の論文に固有の問題として図版掲載の問題があります。美術史領域の論文においては、多くの場合、美術作品の図版の掲載は不可欠です。図版の使用に関しては、著作権の問題があります。これに関しては、電子公開に際し、執筆者が著作権者の許諾を得られない場合には、九州大学学術情報リポジトリでは図版にマスキングすることは容易なことから、
執筆者が希望する場合のみ、図版を公開するという方針を幹事会では考えました。しかし、問題は著作権法の範囲内の問題にとどまらず、作品所蔵者の使用許諾の問題があり、これについてはマスクをしても解決できない問題を含むことから、論文の公開には慎重な意見もあります。美術史学会の学会誌である『美術史』がいまだ電子公開をしていないことから、
『美術史』の動向を見守り、拙速は避けるべきという意見もあります。
3. 電子公開時期の問題
幹事会の方針案→『デ アルテ』公刊後1年後以降とする。
『デアルテ』全体が電子公開されると、『デアルテ』が売れなくなる、あるいは学会員数の減少につながることが想定されます。幹事会では、他の学会を参考にして、発刊後1年間は電子公開しない方針を立てました。あるいはもっと長く(あるいは短く)という意見もあるかと思います。
4. 先行公開
現在、ミュージアム・ミュージアムの一部と目次その他論文以外の部分に関しては、九州大学学術情報リポジトリで、先行して公開しています。参考にしてください。これに関しても、否定的な意見があるようでしたら、取りやめます。
※(参考) 九州大学学術情報リポジトリ(QIR)について(九大図書館HPより抜粋)
九州大学学術情報リポジトリ(QIR)は、学術雑誌掲載論文をはじめとして、テクニカルペーパー、紀要論文、学位論文など、九州大学所属の教員・大学院生(名誉教授や以前所属していた方も含みます)の著作物を収集・蓄積・保存し、インターネットを通じて学内外に原則として無償で配布するものです。
近年、学術雑誌の価格高騰が問題となる中で、研究者自らの手で公開し、世界中の研究者にオープン・アクセスを提供できる学術(機関)リポジトリは、世界中で注目され、世界各地の多くの大学が設置しています。こうした学術(機関)リポジトリを公開することは、大学及び研究者にとってさまざまなメリットがあります。
九州大学学術情報リポジトリに登録されたコンテンツは、九州大学が運営する学術情報リポジトリから直接検索することもできますが、Googleなどのサーチエンジンや、JAIRO(国立情報学研究所)、OAIsterなどの論文検索システムで、世界中のコンテンツと一緒に検索することもできます。
九州大学学術情報リポジトリ https://www.lib.kyushu-u.ac.jp/ja/services/qir/overview
以上、経過報告をいたしました。皆様の幅広い意見をいただき、今後の活動に生かしていきたいと思いますので、メールあるいは郵便などでご意見をお寄せください(6月20日まで)。ご意見を集約し、次回総会に諮るとともに、HPあるいはメール、郵便等で結果を報告いたします。どうぞよろしくお願いします。
九州藝術学会 代表幹事 後小路 雅弘
ご意見の送付先:
郵送:〒819-0395 福岡市西区元岡744
九州大学大学院 人文科学府研究員 藝術学研究室内
九州藝術学会事務局
電子メール: the_kyushu_art_society@yahoo.co.jp
topへもどる