平成30年度人間環境学研究院萌芽的学際研究助成「現場に応答することから始まる人間環境学プログラムの萌芽的学際研究」

□概要:
【背景】大学で人間環境学を研究教育する際、さまざまなリスクがそこには潜んでいる。現在九州大学では、野外活動ガイドライン(実施済み)、実験室ガイドライン(実施予定)、 学外活動ガイドライン(検討中)を策定しており、各種の領域で行われる研究教育活動のガイドラインとして3つの柱に しようとしているのもそうしたリスク回避の側面がある。人間環境学においても、都市・建築学部門、教育学部門、人間 科学部門でそれぞれフィールドワークや実験が行われており、この動きに漏れるものではない。 他方で現在人間環境学は発足後20年を迎えようとしており、そこでは伊都キャンパスに移転し、九州大学の諸学問分野 が高度に機能化する環境下で、さらなる学際的研究教育の成果を期待されつつある。
【目的】このため、本研究では、これまでの箱崎キャンパスでの人間環境学の20年を回顧し、今後の伊都キャンパスでの 人間環境学のプログラムをより円滑に実装するために、「現場に応答することから始まる人間環境学プログラム」 の具体的構想を行う。具体的には、この目標に達するため、1年で以下3つの課題に取り組む。
【課題1】人間環境学研究院・学府でこれまで行われてきた学際教育の成果と課題を整理しなおす。これまで部局全体 で行ってきたシリーズ人間環境学、人間環境学コロキウム、多分野連携プログラム、人間環境学フォーラムなどの個別の 試みを有機的に組み合わせることを検討する。
【課題2】現在九州大学で策定している全学の3種類のガイドラインは人間環境学府においても大きく関わる方針であ り、研究分担者は様々な角度から現場への対応を実践/研究してきた経験があるためそれを相互に学び合い、あらゆる研 究教育のベースとなる安全安心な研究教育環境を機能させるための具体化を行う。
【課題3】研究分担者だけでは包括的な安心安全環境を網羅し難い場合、適宜学内外から専門家を招聘/研究分担者が 出かけてリサーチする。以て、安心安全な就学環境下で、学際的研究環境を無理なく機能させる人間環境学のプログラム 案を複数構想し、人間環境研究院・学府の今後に資する。
【展望】人間環境学の学際性は様々な形で問われてきたが、発足20年を経て一つのキャンパスに収まるにあたり、学際性 や文理融合を唱えてきた領域はその内容を問われてくることであろう。本研究はそれを先んじて行うものとなる。

□メンバー:
飯嶋秀治(代表:人間科学部門)
池田 浩(分担:人間科学部門)
尾崎 明仁(分担:都市・建築学部門)
神野 達夫(分担:都市・建築学部門)
末廣 香織(分担:都市・建築学部門)
竹熊 尚夫(分担:教育学部門)
元兼 正浩(分担:教育学部門)

□研究会案内
■第1回目8/20(月曜日)16:40-18:10@文学部棟2階比較宗教学研究室( http://www2.lit.kyushu-u.ac.jp/access/ )
飯嶋秀治「学外活動ガイドライン」
末廣香織「災害時におけるKASEIプロジェクト」
元兼正浩「学校におけるリスクマネジメント」

■第2回8/22(水曜日)14:50-17:20@文学部人文科学等2階比較宗教学研究室( http://www2.lit.kyushu-u.ac.jp/access/ )
池田浩「大企業の失敗と隠ぺい研究」
竹熊尚夫「海外における教育実践」
尾崎明仁「持続可能な都市建築」

■第3回2/6(水曜日)14:00-16:00
飯嶋秀治「学外活動ガイドラインとSCRT」
平野琢「企業のリスクマネジメント」
矢原徹一「事前教育と事後対応」
岡村耕二「CSIRT」

■第4回2/15(金曜日)14:00-16:00
吉良安之「臨床心理学と心理学的緊急対応」
入江秀晃「紛争調停と保護者対応」
神野達夫「安全・安心への人間環境学的アプローチ」
トータルディスカッション

■第5回2/27(水曜日)14:00-15:00
広告会社にてリスク・マネジメント・プログラムについてミーティング

■第6回3/7(木曜日)11:30-12:00
理事ミーティングにおいてSchool Crisis Response Team組織化ほかを提言

□口頭発表
3/5(火曜日)11:00-12:00
人間環境学研究院学生フォーラムにおいて「現場に応答することから始まる人間環境学プログラムの萌芽的学際研究」発表
6/9(日曜日)13:30-16:30
宗教と社会学会において「調査倫理から教育ガイドラインへ」発表予定
8/27(火曜日)-31(土曜日)
International Union of Anthropology ane Ethnographic Sciences、Teaching and Learning Anthropologyにて”Needs for International Solidalities on Fieldwork Education”発表予定