平成29年度 九英会総会議事録(平成30年2月17日開催)

平成29年度九大英文会(九英会)総会は、平成30年2月17日に文学部棟4階の文学部会議室にて開催されました。

まず小谷会長より開会の挨拶がありました。来年度夏から箱崎キャンパスが伊都に移転する事、今年度の九英会が箱崎キャンパスで行われる最後の総会ということ、今年度3月で小谷先生が定年退職されることを話されました。

続いて、西岡先生より現在の状況報告がなされました。ケアリー・ベノム先生が年度末の任期満了に伴い来年度より新たな英語学の先生をお迎えする事、テッド・クロンツ先生が引き続き英文研究室に在籍されることが報告されました。また新たに15名の2年生、2名の3年生が英文研究室に配属され、修士課程には8名が入学、博士課程には2名の社会人が編入したことが報告されました。さらに博士論文提出者が2名(アメリカ文学:課程2名)であったことも報告されました。

次に、鵜飼先生より九英会の会計報告が本荘裕紀子氏より『九大英文学』の会計報告がなされ、会員の方々に承認されました。その後に議題審議が行われ、翌年度の九英会から『九大英文学』に15万円ほどの寄付が提案され、拍手で了承されました。

総会終了後、「フォークナーと<境界>の政治学」という題で、小谷耕二先生からご講演をいただきました。内容は、アメリカ南部文学における<境界>の働きについてでした。ここでいう<境界>とは地理的なものに限定せず、登場人物の思考や感情の中に構築されるものでもあると定義されました。<境界>の働きとして、人間のアイデンティティの形成、権力関係やイデオロギーの反映、固定的ではなく透過性を持つことの三点を挙げられたうえで、『行け、モーセ』と『墓地への侵入者』の登場人物に注目し、彼らの<境界>超越願望とその手段について説明されました。また、登場人物たちが<境界>を超えようとする際に生じる身体的接触と心の接触を“touch”と表現され、心だけが真実を理解できるという視点から、“touch”を通じた<境界>超越によって心のつながりが生まれるということを強調されました。

小谷先生のご講演後、同会議室にて懇親会が催されました。今年度も多数の九英会会員の方にご参加いただき、和やかな雰囲気の中で交流を深めることが出来ました。