開催日時
2023年5月20日(土)・21日(日)
開催校:熊本大学 黒髪北地区
(ニュース第170号(大会プログラム)はこちら)
開催場所
熊本大学 黒髪北地区
〒860-8555 熊本市中央区黒髪2丁目40番1号
自由報告部会の概要
自由報告( 1 ) 5月20日(土)10:30 〜12:30
杜安然(熊本大学大学院)
人々はいかに帰還できたか――中国三峡ダム開発移民にとっての家郷の意味
山田富秋(松山大学)
COVID-19のスティグマをHIV感染者の生活史から考える
高野和良(九州大学)
過疎内包型地域圏における高齢者と他出子との関係――2021年田万川調査の結果による予備的考察
徳野貞雄(トクノスクール・農村研究所)
「ポスト農業社会」の憂鬱
自由報告( 2 ) 5月20日(土)10:30〜12:30
MITCHELL Andrew Neil(熊本大学)
Japan’s century long energy dilemma: a social systems exploration
荘秀美(台湾東呉大學)
台湾における独立型社会福祉士の開業状況と動向
唐玉虹(台湾東呉大學)・荘秀美(台湾東呉大學)
Implementation and issues of community-integrated service centers in Taiwan(台湾地域包括支援センターの実施と課題)
趙碧華(台湾東呉大學)
Application of AI and social enterprise innovation in elderly care services in Taiwan(台湾における人工知能と社会的企業のイノベーションの介護サービスへの応用と課題)
自由報告( 3 ) 5月21日(日)10:00〜12:00
山下亜紀子(九州大学)・速水聖子(山口大学)・横田尚俊(山口大学)
地域を往還する災害支援活動――福岡県大牟田市の事例から
速水聖子(山口大学)・山下亜紀子(九州大学)・横田尚俊(山口大学)
災害支援経験と防災へのフィードバック――東日本大震災における宮崎県の事例
藤本延啓(熊本学園大学)
熊本地震と災害ボランティアの歴史――2011年以降を中心に
三隅一人(九州大学)
災害の累積と脆弱性――熊本地震、武雄豪雨、コロナ禍
自由報告( 4 ) 5月21日(日)10:00 〜12:00
近藤功行(沖縄キリスト教学院大学)
新聞記事を通してみる障害・障がい記載の現状と展望
篠原遼子(九州大学大学院)
ソーシャルセクターにおけるミレニアル世代女性リーダーのキャリア形成
徐??(熊本大学大学院)
地域環境保全活動における女性リーダーの現状と課題――熊本市の女性リーダーのライフヒストリーから
友枝敏雄(関西国際大学)
フューチャー・デザインという方法の可能性
自由報告( 5 ) 5月21日(日)13:00〜15:00
有馬恵子(立命館大学大学院)
京都市出町商店街における路上販売とローカルコミュニティ
堤圭史郎(福岡県立大学)
ホームレス問題と「地域共生社会」
山本努(神戸学院大学)
生活構造の概念に文化体系への参与を含むべきか――鈴木広氏の生活構造概念についての微かな、しかし、社会学の大問題に関わる若干の疑問
山本努(神戸学院大学)
農村社会学の小集落モノグラフ調査の重要性――限界集落の概念における量的規定と質的規定の齟齬に触れながら、また、農業センサスの統計分析に示唆されての研究ノート
自由報告( 6 ) 5月21日(日)13:00〜15:00
木下佳人(熊本大学大学院)
在日コリアンにとって「在日コリアンの条件」とはどのようなものか?――民団青年会参加者への調査から
井手靖子(社会理論動態研究所)
国家神道と天皇教――天皇制の宗教的役割を考察する
吉田耕平(鎮西学院大学)・吉野浩司(鎮西学院大学)
ニコライ・ティマシェフの〈権力と倫理の社会学〉――亡命ロシア知識人史に照らして
小林孝行(岡山大学名誉教授)
日本のエンカと韓国のトロット三考(再再考)
シンポジウムの概要
困難な状況におかれている子ども・若者への社会的支援――現状分析と社会学者のかかわり方
5月20日(土)14:00 〜 17:00(報告・討議を含む)
司会 稲月正(北九州市立大学)
報告者(以下、題目は仮題)
第1報告 稲月正(北九州市立大学)
排除に抗する支援とその仕組みづくり――NPO法人抱樸による子ども・若者支援を事例に
第2報告 桑畑洋一郎(山口大学)
信仰に基盤を置いた支援――天理教里親を事例に
第3報告 益田仁(中村学園大学)
学校からの排除と地域における包摂――子どもの居場所・ちゃちゃルームを事例として
コメンテーター 足達咲希(自立援助ホームかんらん舎)
奥田知志(NPO法人抱樸)
園井ゆり(広島大学)
シンポジウムの概要
稲月正(北九州市立大学)
現在、さまざまな排除を受け、不安定な生活や不利な状況におかれている子ども・若者は少なくありません。本シンポジウムでは、@子ども・若者をとりまく社会的排除に抗する社会的支援について社会学的な現状分析を提示すること、Aそうした社会的支援における社会学者の位置づけを考えることを目的としています。本来、論点は1つに絞った方がよいのですが、今回はあえて2つにしてみました。支援について研究する社会学者も支援のプロセスに組み込まれていると考えたからです。
社会的排除に抗する社会的支援においては、社会保障制度の拡充、国によるモノ・ヒト・カネの十分な分配が必要であることは言うまでもありません。同時に、人びとの生活が展開されている地域社会の状況に合わせた支援の仕組み、社会への信頼や共同・協働性の構築、当事者と支援者間の対話と自己決定も重要です。本シンポジウムでは、こうした社会的支援の両輪を意識しつつ、主に後者について議論したいと考えています。現時点での報告題目、報告者、報告概要は以下の通りです(50音順)。
稲月正(北九州市立大学)「排除に抗する支援とその仕組みづくり−NPO法人抱樸による子ども・若者支援を事例に」
NPO法人抱樸は、北九州を中心にホームレス状態にある人や生活困窮者への社会的な支援を行っています。このNPOは、@排除され困難な状況におかれている個人への支援(個人への働きかけ)とA支援のための社会資源の創出と各種機関連携の仕組みづくり(社会への働きかけ)をセットで行うことを目指しています。本報告では、そうした実践のうち「子ども家族まるごと支援」と「生活支援付き住宅事業」に焦点をあて、@それらが必要とされる社会的背景、Aその効果と課題について現状分析を提示したいと考えています。また、私はそのNPOに参加しながら、調査を行ってきました。報告では、このような関わりの中で感じた自らの役割や葛藤についても考えてみたいと思います。
桑畑洋一郎(山口大学)「信仰に基盤を置いた支援―天理教里親を事例に」
本報告では、天理教を信仰しながら里親養育を実践している、いわゆる天理教里親に注目し、第1に天理教里親がどのような里親養育を実践しているのか、第2にそうした実践がどのように信仰と関連付けられているのか/いないのか、第3にそうした実践がどのような帰結を導きうるのか、の3点に注目しながら分析を進めていくこととします。その中から、里親養育の対象となる要保護児童――すなわち、生まれ育った家族からの/への排除を経験してきた子どもや若者――に対して天理教里親が提供する、家族的な共同性の可能性を探ることにしたいと考えています。またそうした、天理教里親への分析そのものに加えて、里子という排除対象を支援する天理教里親の研究において、社会学者としてどのような関与をしているのか/しうるのかといったことも、報告者自身の調査・分析をめぐる経験や葛藤を紹介しながら議論したいと考えています。
益田仁(中村学園大学)「学校からの排除と地域における包摂―子どもの居場所・ちゃちゃルームを事例として」
福岡市によりあいの森という特養があります。高齢者をたらい回しにしない。隔離しない。縛らない。薬漬けにしない。老いの時間とリズムに付き合う。そんな支援を行っている施設です。その敷地内に、不登校や発達特性をもつ子どもの居場所(ちゃちゃルーム)が地域住民の手によってつくられました。本報告では、その場を手掛かりとしながら、家族と地域の関係性を、学校の変化も押さえつつ論じてみたいと思います。具体的には、フィールドワークや関係者へのインタビューに基づいて、その場がつくられた経緯を整理し、その機能・役割を示すことで、子育て・子育ちの地域での分有の現代的な一形態を示してみたいと思います。また副次的な視点として、社会学者(である報告者)とその場のかかわり――時々顔を出す先生、遊び相手、話し相手、連絡調整係――をもとに、研究者としての機能的側面と、ひとりの人間としての存在的側面の双方に目配せをしながら考えてみたいと思います。
コメンテーターは、以下の3名の方にお願いしています(50音順)
足達咲希(自立援助ホームかんらん舎)
奥田知志(NPO法人抱樸)
園井ゆり(広島大学)
なお、司会・進行は、稲月が務めます。皆様、どうぞご参加ください。
問い合わせ先
連絡は以下までお願い致します
〒819-0395
福岡市西区元岡744
九州大学文学部社会学・地域福祉社会学研究室内
西日本社会学会事務局
092-802-5287
sociowest@lit.kyushu-u.ac.jp
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