文学部
哲学コース
哲学 専攻
専門科目 (2単位)
哲学史演習 IX
講義題目:メルロ=ポンティの哲学を読む
本務なし山下 通
前期・通常

水曜3限
授業の概要 この授業では昨年に引き続いてモーリス・メルロ=ポンティ(1908−1961)という人の哲学について学んでいきたいと思いますが、それと同時に、哲学という学問に興味を持った人、また、持ちつつある人に向けてこの授業が導入的な役割を果たすことができればと考えています。

メルロ=ポンティという人の哲学について一口で言うことはなかなか難しいですが、彼は「身体」というわれわれにとって最も身近な存在について綿密で細やかな思索を繰り広げました。メルロ=ポンティが書いたものも、行動心理学や教育心理学、言語、芸術、そして政治などこちらも多岐にわたってていて、なかなか全体像をつかむだけでも大変かもしれません。

さらにその影響も、昨年の授業シラバスでも触れましたが、美術や建築、ロボット工学、そして介護や看護など多方面へと拡大しており、そのようなことから考えても決して図書館の本棚の隅で埃をかぶったままになるようなものではありません。現在を生きる私たちが思索をいうものを行う際に、メルロ=ポンティの哲学は非常に有効な参照軸となるのではないかと思います。

しかし、いきなりメルロ=ポンティの書いた論文を読んでも、彼の問題意識がどこからきているのか、哲学という文脈に慣れていない人にとってはなかなか読み取ることが難しいのではないかと思います。そこでこの授業では、メルロ=ポンティ以外の哲学者の話も交えながら、その比較や交差のなかで、彼の哲学に徐々に近づき、特色を理解していきたいと思います。

また、最近の僕の関心がメルロ=ポンティの政治哲学にあることから、メルロ=ポンティが政治に関連して歴史や社会をどのように考えたかについても随時触れていきたいと思います。


授業の計画
1.イントロダクション―哲学入門?―
2.悪しき神が私を欺く(デカルト)
3.時間とは記憶である(ベルクソン)
4.道徳の起源は怨恨感情である(ニーチェ)
・・・その他

上に挙げた項目について、各々2回程度の授業で講義したいと思います。しかし、最初に立てた計画通りにいかないのも人生です。ということですので項目の数や内容、順番は状況によって変化します。

こうした段階を踏まえて、最終的にはメルロ=ポンティ自身が書いた論文をみんなで読むというゼミ形式の授業になればいいなと考えています。
学習目標 (1) 全般的な教育目標:
メルロ=ポンティの哲学について理解を深める。

(2) 個別の学習目標:
哲学者の書いたものを読むことに慣れ、そこで何が主張され、また、何が批判されているのかを読み解く力をつける。加えて、自分の研究テーマに関して様々な観点から考えることを学ぶ。
授業の進め方 開講後、しばらくは講義形式で行います。そして、開講科目名に「哲学史演習」とあるとおり、最終的にはテキストを決め、発表者やコメンテータ、その他の参加者の自由な発言や議論によって授業を進めて生きたいと考えていますが、使用テキストについては集まった受講生の興味・関心などを考慮して選びたいと思います。

もちろん、メルロ=ポンティについてほとんど知識がない、あるいは、そんな人の名前初めて聞いたという方の受講も大歓迎です。楽しくのんびり授業をすすめていきましょう。
教科書等 特に指定しません。そのつど担当教員(つまり僕です)が用意したハンドアウトや関連する文献のコピーを使って授業を進めます。
<参考図書>
授業が進むなかで、そのつど受講生に有益なのではと僕が考える本を紹介していきたいと思います。
成績評価方法 出席60%、レポート40%で成績評価します。また、毎回授業の最後の5分間を使ってその日の授業での疑問点・感想などを書いてもらいたいと思います。(その際は文庫本程度の大きさの紙を配布します。)
学習相談 ゼミ終了後や研究室・図書館でボーっとしているのを見かけたときなど、学内にいるのをみかけたらいつでもどうぞ。もちろんメールでも随時受け付けます。
その他 休講通知やその他連絡用にツイッターのアカウントを作成しました。@festinalente74です。

対象学年:2年生以上