文学部
哲学コース
倫理学 専攻
専門科目 (2単位)
現代倫理思想講義 I
講義題目:メタ倫理学
講師吉原 雅子
前期・通常

金曜3限
授業の概要  倫理学で問題にすることは、特殊な事柄ではありません。所謂普通の人の普通の価値観が考察の対象となります。といってもそれは、問題のないところに問題をでっち上げているのではありません。実際問題として、私達が抱える価値や思想には対立があります。それがどういう論理構造によって生じているものか、対立の根底にあるものを探ろうという試みでもあるのです。
 私達が日常的に表明している、あるいは明確にであれボンヤリとであれ考えている道徳的見解を考察していくうちに、根本的な問題は我々の用いている言葉や概念の理解にある、ということに行きつきます。これは驚くべきことのように思われるかもしれません。人生を悲観した人が自殺をしていいか?という問題に対して、言葉がどう関係しているというのでしょうか?しかし、「善い」とか「正しい」とか、「真実である」等といった言葉の理解は、実は倫理的問題を考えるための重要な部分であり、それなしではいかなる具体的問題も完全に解明されることはありません。
 このように倫理に関する概念を明確にしていく学をメタ倫理学といいます。この講義では、メタ倫理学が倫理的問題の解明にとって本質的な部分であることを理解してもらうこと、更に、メタ倫理学の考え方にはどのようなものがあるかを知ってもらうことを目標とします。さらにそれらの考えを参考にして、倫理的問題の「答えを教えてもらう」のではなく、主体的に考え答えを見つけ出して行くコツを身に着けていって欲しいと思います。
 特に、倫理学を専門に学ぼうという人は、倫理学研究において必須となる基本概念と基本的理論について解説しますので、入門的授業として、一通り聴いていただけたらと思います。
 昨年度と内容が重複しますが、出席者の顔ぶれに応じて、アプローチの方法やクローズアップする部分を変えるなど、対応したいと思います。
学習目標 (1) 全般的な教育目標:
倫理的な問題の論じ方を学ぶ

(2) 個別の学習目標:
メタ倫理的観点の重要性・必要性を知ること。
道徳的主張をめぐるさまざまな議論を理解すること。同時に倫理学研究において有効な基本概念に馴染むこと
それらを通して、自分自身で主体的に論じる姿勢とコツを身に着けること
授業の進め方 基本的にはこちらが解説し、みなさんにレポートなどは課しませんが、随時みなさんの意見を聞くつもりですし、皆さんで議論していただきたいと思います。「正しい答え」はいりませんから、積極的な発言を期待します。
教科書等 特になし。必要に応じてプリントを配布します。
成績評価方法 出席はとります。また、レポートか試験を課します。
ただし、授業中や授業後の発言、質問を最重視します。
学習相談
その他 教職(社会)(公民)