文学部 哲学コース 倫理学 専攻 専門科目 (2単位) |
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前期・通常 火曜3限 |
授業の概要 | 日本倫理思想史において仏教思想がどのような役割を果たしてきたかについてはいまだ充分に究明しつくされているとはいいがたい。その理由の一端は、対象とすべきテキストが抽象的な準位の教説から民俗レヴェルのそれにいたるまできわめて多岐にわたっており、それがために、なかなか統一像を結びがたいところにある。本講義では、ひとまず説話集という形態のテキストに焦点を絞り、かつて熾烈に「仏」になることにあこがれたひとびとの痕跡と、いわば素手で取り組むことによって、その倫理思想史的意味のみならず、倫理学的意味をも自ら問うことを目的とするものである。 テキストは昨年度からの継続で『今昔物語集』(巻3より)。 |
学習目標 | (1) 全般的な教育目標: 日本の古代から中世にかけて、多くのひとびとが仏教と出会い、仏になることへの衝迫にとらえられたことの倫理学的意味や、説話集という形式での思想伝播の特質について考える。 (2) 個別の学習目標: @仏の教えや仏そのものがどのような存在としてその当時のひとびとの前に立ち現れていたのか、A日本倫理思想史において仏教はどのような意義・役割を担ってきたのか(いるのか)等々を考察する。 |
授業の進め方 | 原則として当番制による輪読形式を採用しつつ、必要とあらば学生の疑問や質問に応答する恰好で、要所要所において教員が適宜コメントを施して理解や思索を促す。 |
教科書等 | <教科書> 現段階では未定。 <参考図書> 日本倫理思想史全体にかかわる文献集としては相良亨編『日本思想史入門』(ぺりかん社)。 なお、古文・漢文・仏教史等の知識は特に前提にはしないし、学識の多寡それ自体は問題ではないが、手頃な古語辞典・仏教辞典(岩波仏教辞典など)が手元にあることが望ましい。また、そもそも日本倫理思想史がどのような学問であるかのを確認し、テキストをどのように相手取るのか等々、その手つきを学ぶには、佐藤正英著『日本倫理思想史入門』(東大出版会)が好著。蛇足ながら、仏教についてきわめて大まかなアウトラインを手っ取り早く概観するには、C.G.ワング著『仏教』(青土社 宮島訳)が便利ではある。 |
成績評価方法 | 発表内容および期末レポートによる総合評価。 |
学習相談 | 随時;要予約 |
その他 | 説話集研究としては既に数年目にはいるが、とりわけ『今昔物語集』はきわめて多面的な内容をもち、”仏教”説話集としてひと括りにはできない豊かさをそなえている。”話素”の豊富さゆえにに扱いにくい印象をもたれることを承知のうえ、初学者も臆することなく参加されたい。受講資格等は不問。 対象学年:2年生以上 履修条件:特になし。 教職(社会)(公民) |