文学部 哲学コース インド哲学史 専攻 専門科目 (2単位) |
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前期・通常 木曜2限 |
授業の概要 | インドといえばカレー,カースト,ヒンドゥー教などなど,我々の日常に関係のあるインドと,若干の高校教科書の知識が思い起こされる.最近ではヨーガやITという単語も思い浮かぶ.ちょっと前まで,インドといえば「神秘の国」であった.そのイメージは,西洋に対する東洋の思想(理想)を体現したものである.60年代の長髪のヒッピーとくれば,インド放浪というのがパターンであった.巷にあふれる旅行記によれば,インドに行っただけで世界観が変わるらしい.(ちなみに,わたしは,十数回訪れたが,一向に世界観は変わってこない.)ビートルズが訪れたのも,ガンジス上流のヒンドゥー教の聖地リシケシュであった.日本人にとって,さらに,インドはお釈迦様の国,天竺であった.(ちなみに釈尊が生まれたルンビニーは現在のネパールである.)日本人にとってのインドは「多様」である. 本講義が扱うのは,インドの宗教,特にヒンドゥー教である.神話も扱う.シヴァは巨大なリンガ(男性器)で描かれ,怪鳥ガルーダに乗ってヴィシュヌ神は飛び回る.ブラフマー神は人妻に横恋慕.それがばれて大変な目に遭う.怪童クリシュナは刺客の魔女の乳房を吸い尽くす.そのカラフルな神話の世界は,モノクロの寺院になれた日本人には,どぎつすぎるかもしれない.シンガポールの街中で突如出くわすヒンドゥー寺院のけばけばしさと騒々しさを思い出して欲しい. 神話だけではない.ヨーガもある.そう,「神秘の国」であるインドは怪しい修行法が一杯である.『ヨーガ経』を見れば,様々な超能力が身につくとされている.中世初期のシヴァ教文献も,怪しげな修行法が満載である.現在のヨーガの直接の根源であるハタヨーガも,文献を見てみると,いろいろと怪しげな修行法が書いてあるではないか.詳しくは授業で扱いたい. 本講義では,インドの宗教・文化・美術を「いいとこ取り」で紹介する.巷の知的好奇心に応える「インド講義」が狙うところである.実社会で直接に役立つことのない文化の香る高尚なインド講義を目指す.インドに興味のある向きは参加されたい.特段,前提知識は必要ではない.(ただし最低限,インドカレーは好きであってほしい.)前提となる知識がなくとも聞けば分かるように話すつもりである. |
学習目標 | (1) 全般的な教育目標: インドの宗教文化について、文献資料等の証拠に基づきながら理解する。「こんなことがあるらしい」という不確かな知識ではなく、「こういうことがあった」「こういうことが言える」という明快な知識と洞察を狙う。 (2) 個別の学習目標: 歴史的経緯を踏まえ、インドの独自性に注目しながらも、底に流れる「(同じ)人間の知の働き」を読み取る。つまるところ「インド人って変わってるねー」に終わることなく、「なるほどね、こういうわけね」という理解を目指す。 |
授業の進め方 | こちらで用意するレジメ資料を用いながら講義形式で進める。寺院美術、神像については、プロジェクターも用いながら解説する。毎回,出席を取るため,感想・質問用紙を最後に配る.質問は,次週に回答するようにする.不明点については復習・再解説を行う.できるだけ学生諸君との相互のやり取りを大事にしていきたい. |
教科書等 | <教科書> 授業で指示する <参考図書> 授業で指示する.本講義が扱う領域は様々な分野にまたがるが,例えば神話について知りたい向きには上村勝彦『インド神話』(ちくま学芸文庫,1200円)を推薦する. |
成績評価方法 | 出席50%,小テスト(最終回に一回)50%の総合評価.毎回出席を確認する.小テストは,授業内容を理解しているかどうかを確認するためのものであり,授業に出席していれば容易に解答できるレベルのものである.授業で扱った各点について解説を求める記述問題である. |
学習相談 | 授業後随時 |
その他 | サンスクリット語の知識は必要としない 対象学年:2年生 3年生 4年生 教職(社会)(公民) |