文学部
哲学コース
インド哲学史 専攻
専門科目 (2単位)
インド哲学史演習 III
講義題目:ジャイナ教のアートマン存在論証
筑紫女学園大学 准教授宇野 智行
前期・通常

金曜3限
授業の概要 9世紀の白衣派ジャイナ学僧ハリバドラ・スーリによる『ダルマ・サングラハニ』の,アートマン存在論証部分を講読する.なお『ダルマ・サングラハニ』本文はプラークリット韻文であるため,マラヤギリ(12世紀)によるサンスクリット散文注釈『ティーカー』を合わせて講読する.
『ダルマ・サングラハニ』では約120詩節に渡って,精神的実在であるアートマンの存在を否定する唯物論者の学説が批判されており,当時の唯物論を知る重要な手がかりであるにも関わらず,従来近代語に翻訳されることがなかった.また,『ティーカー』には唯物論やジャイナ教のみならず,数多くの他学派の典籍が引用されており,インド哲学思想の百科事典とも言いうる資料となっている.これらをつぶさに読解することにより,古代インドの自我論の解説を行う.
学習目標 (1) 全般的な教育目標:
唯物論者およびジャイナ教における人間観・生命観を理解することができる.

(2) 個別の学習目標:
・唯物論者のアートマン否定の論理を理解する.
・ジャイナ教におけるアートマン観を理解する.
・両者による議論の応酬から,アートマンに関わる否定論証,存在論証の方法論を理解する.
授業の進め方 『ダルマ・サングラハニ』および『ティーカー』の翻訳を発表してもらい,検討・解説する.
教科書等 <教科書>
Dharmasamgrahani, Vol.1. Shresti Devacandra Lalbhai Jaina Pustakoddhara Fund Series 39, Bombay: Devacandra Lalbhai Jaina Pustakoddhara, 1916.

<参考図書>
授業中に指示する.
成績評価方法 出席状況(30%)と毎回の翻訳発表(70%)により評価する.
学習相談 授業後に相談を受ける.
その他 対象学年:3年生 4年生
履修条件:梵語初歩を履修していることが望ましい.ただし必須条件ではない.
教職(社会)(公民)