文学部
哲学コース
インド哲学史 専攻
専門科目 (2単位)
仏教学演習 IV
講義題目:阿弥陀経の原典解読
浄土真宗誓行寺 住職阿 理生
後期・通常

金曜2限
授業の概要 仏教は八万四千の法門といわれるほどに、種々の機会や人々の機根(能力)に応じて、多種多様の思想と実践とを実に豊かに包容している。それら法門の根底にはいずれも、人生の苦悩への直視とそれからの超克(智慧と修行)が示されている。今回の授業で触れてみたいのは、大乗仏教に属する『阿弥陀経』である。この経は浄土の法門であり、いわゆる浄土教の拠り所である所依(しょえ)の経の一つである。歴史的に東アジアでは最もよく読まれてきた経の一つであり、その名を知らない者はいないと言ってよい。この経に対する解説や解釈は古来おびただしいものがある。その原典であるサンスクリット本が現存しているので、漢訳やチベット訳とも対照しながら解読していきたい。言語学的・思想的な問題点に関しての従来の学説にも充分に目を向けながら、文献学的に正確に文脈をたどっていきたい。
学習目標 (1) 全般的な教育目標:
人間の普遍的課題である人生苦の克服・解脱が、仏教の浄土教では具体的にどのように示されるのかを理解し、インド哲学における仏教の独自性がどこにあるのかを知る。

(2) 個別の学習目標:
仏教思想史における『阿弥陀経』の位置付けとその意義を知ること。その経の個々の術語の意味を的確に理解し、そして文法的にも梵文が正確に読めるようになること。。梵文とチベット訳・漢訳との対照による解読法に慣れ親しむこと。
授業の進め方 初回は文献学上の解説をなし、第2回目から解読を進める。必ず予習を必要とする。漢訳とチベット訳も対照しながら読んでいく。
教科書等 <教科書>
Sukhavati Vyuha,ed.by Max Muller and B.Nanjio,Anecdota Oxoniensia,Aryan Series,Vol.T,Pt.U,Oxford 1883. 北畠利親編著『梵蔵漢対照 仏説阿弥陀経 訳注』永田文昌堂 平成18(2006)。後者はコピーではなく、本を各自入手するのが望ましい。

<参考図書>
中村元・紀野一義『浄土三部経 上・下』岩波文庫ワイド版。 その他は授業中に必要に応じて、そのつど指示する。
成績評価方法 平常の授業における予習と発表の熱心さ及び理解度によって評価する。出席率にも関わる。
学習相談 毎授業後に受け付ける。
その他 対象学年:学部 3年生 4年生
履修条件:サンスクリット語初級の履修