文学部 芸術学コース 美学・美術史 専攻 専門科目 (2単位) |
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前期・通常 金曜2限 |
授業の概要 | 日本には、中世以来、中国の宋元時代、朝鮮の高麗時代に制作された仏画が舶載され、今もかなりの作品が現存している。これらの作品群は、日中の美術史の狭間で、いわば境界領域に周縁化され、その国籍や美術史上の位置づけも論者によって異なる場合がある。 この授業では、とくに南宋の都杭州で制作された絵画全般について考えていく。従来、南宋の都杭州の絵画については、宮廷の世俗画と禅宗における水墨画を中心に論じられてきたが、この授業では、全学期まで考察してきた南宋の杭州で制作された可能性の高い着色系の仏画を南宋絵画史の中に位置づけるための作業として、日本に伝来する禅宗系の頂相や水墨画、南宋の宮廷絵画について検討を加え、杭州をめぐるさまざまな場と人とモノとの関係性のなかで、南宋の都杭州で制作された絵画の多様な様相を探ることにする。 |
学習目標 | (1) 全般的な教育目標: 美術史学は、造られたモノである作品と人との対話を前提とする。対話の相手は、寡黙であるが、じつは歴史の証言者である。それでは作品との対話は如何に実践しうるのか。人との対話で発生するおなじ問題が、美術史学の解釈にも介在している。教養や知識の蓄積だけでなく、物事を等身大の問題として考え、それを実践していく力を培ってほしい。 (2) 個別の学習目標: 杭州で制作されたさまざまな絵画作品を視覚的かつ歴史的に理解する。一方、異国の絵画が日本に伝来してきたことに起因するさまざまな制度を検証していく中で、今日的課題となっている他者・異文化理解という観点の重要性を具体的に喚起していきたい。 |
授業の進め方 | 杭州で制作された絵画作品を詳細に観察し、中国や日本、あるいは高麗の作品等と比較検討する。適宜、経典、地方誌、地図・絵図、参考図版等の資料を配布し、作品に付随するさまざまなコンテクストを浮かび上がらせる。 |
教科書等 | <参考図書> 井手誠之輔『日本の宋元仏画』日本の美術418号(至文堂、2001年) 小川裕充・井手誠之輔共編『故宮博物院A 南宋の絵画』(2005年3月) |
成績評価方法 | 試験100%。ただし、試験問題は、授業に出席しないと回答できない内容を課す。 |
学習相談 | オフィスアワーにて対応する。 |
その他 | 対象学年:2年生 3年生 4年生 |